第63回「読み取るチカラ」は国語だけじゃない! 謎解き・夏休みの自由研究・レポートに役立てよう

執筆者:鈴木亮介(Z会進学教室 調布教室長/国語科)
記事更新日:2022年07月08日

「読み取るチカラ」は国語だけじゃない! 謎解き・夏休みの自由研究・レポートに役立てよう

こんにちは。Z会調布教室教室長の鈴木です。突然ですが読者の皆さんは自分の「読解力(読み取るチカラ)」に自信はありますか?ニュースなどで「子どもの読解力が低下している」という話を聞いたことがある人も多いと思います。

私も普段、Z会進学教室で小中学生に国語の授業をしていて、「読み取るチカラ」の大切さと、それを伸ばすための訓練の大切さは年々高まっているように感じます。それと同時に、「読み取るチカラ」は国語という教科にとどまらず、算数や理科、社会、全ての学びの根幹に宿る大切な力だと感じます。実際に、高校入試の小論文でも様々な教科の知識と考え方を駆使して課題をよみとり、解いていくタイプの出題が増えています。

教科を横断・ミックスする「読み取るチカラ」はどうやって身につけていけば良いでしょうか?

 


読み取るチカラはこんなところにも

謎解きや夏休みの自由研究でも必要になる読解力は、Z会の本「99%の小学生は気づいていない!?」シリーズの、その名も『読み取るチカラ』に書かれていました!

本の目次を見てびっくり!その一部をここに紹介しますね。「ラスコー壁画のナゾ」、「豆苗をうまく育てるには?」、「ステンドグラスを作ろう!」、「聖徳太子ってどんな人?」 …とても興味深いテーマが並びます。

中でも「豆苗をうまく育てるには?」というタイトルが気になったので、少し中身を皆さんにご紹介したいと思います。

豆苗(とうみょう)という植物を皆さんはご存知でしょうか。グリンピースの若い葉っぱで、サラダやいため物に使われる野菜です。その葉っぱなど生えている部分を切って食べた後、根を水に浸しておくと、また芽が出てくるのですが、学習教室のサキさんとユイトさんは、その根を育てて観察日記を記録することになりました。ところが、サキさんの方はうまく育てることが出来なかったようです…

「サキも少しは、芽が出たんだね。どうして失敗したのかなあ。」
「途中まではよかったのかな。」
するとケイコさんが声をかけました。
「成功したユイトの記録と比べて、どこかちがうところはあるかな?」
読み比べてリョウが言います。
「入れ物がちがうね。ユイトは浅い入れ物に入れたけど、サキは深い入れ物に入れている。」
「でも、他はそんなにちがわないみたい。」
ユイトが言ったので、ケイコさんが今度は、
「じゃあ、同じところはどんなところ?」
とたずねました。

話はこの後も続き、観察日記を読み比べていくことになります。

皆さんはこの会話を読んで、どんなところに注目したでしょうか?

「どんなところが同じで、どんなところがちがうか」に着目していくことはとても大切ですね。比べることで、失敗の要因が明らかになります。このように比べて考えるのも、「読み取るチカラ」が発揮されているからこそできることなのですね。

学習教室のユイト、サキたちはこの後、同じように行っていた「水やり」について、観察日記をさらに見比べることで、そのやり方が少し違っていたことに気付きます。違いに着目し、さらに「前はどうだったのか」、「その後どうなったか」という変化に着目したことで、失敗の原因にたどりつくことができました。

読み取るチカラの5レベルとは

『読み取るチカラ』の監修をされた卯月啓子さんによると、読み取るチカラには5レベルあるということです。早速見ていきましょう。

レベル1 情報を見つける。
レベル2 情報を自分の言葉に置きかえる(リテリング)。
レベル3 情報をもとに、考えを広げる(理解の始まり)。
レベル4 情報の中から知識を習得する。
レベル5 知識を積極的に活用する。

レベル1 情報を見つける。
まず出発点は「書いてあることを正しく受けとること」だと本には書かれています。確かに、書いてあることを文字通り、正確に読むことが第一歩ですね。よく、「謎解き」というと自分勝手にあてずっぽうの推理をしたり、大人になっても「こう言っているに違いない」と決めつけたり早とちりをしたりして、トラブルに発展してしまうことがあります。落ち着いて、書いてあることだけを受け取りましょう。

レベル2 情報を自分の言葉に置きかえる。
レベル1の読み取りができたら、続いてはその情報を自分の言葉で言いかえてみよう、と本には書かれていました。なぜ「言いかえる」必要があるのかというと、何が起きたのかなどの情報を自分の言葉でまとめることで、情報をかみくだいて理解できるからです。私も実際に国語の授業では説明文の要約を宿題にしますし、生徒が模試や過去問の質問に来たときは「これって簡単に言うとどんな話だった?」と聞いて話してもらうようにしています。

勉強を人に教えることで、自分の理解が深まるということもありますよね。言葉をそのまま短くするだけではなく、図や表に置きかえてみるのもよいでしょう。

レベル3 情報をもとに、考えを広げる(理解の始まり)。
Z会の本『読み取るチカラ』ではここからがさらに大事だと書かれていました!レベル2で整理した情報をもとに、さらに考えを広げていくことが大切です。

考えを広げるというのは、疑問に思うことや質問したいことなどを考えたり、今まで自分が経験したことと同じか、違うか、など、自分自身の思いや考えを加えて整理していくということです。まとめた情報を今までの経験や知識と照らし合わせて考えていくことで、読み取った情報が点ではなく、面としてつながっていき、より深くできたりもっとくわしく知りたくなったりするのです。

私も以前、読書感想文を書くときには「なぜ」と「もしも」の2つが大切だ、という記事を書きました(https://www.zkai.co.jp/juku/junbi_02/)。疑問・質問を考えることに加えて、推論(もしかしたら…)を考えることも、読み取りを深めていく際に役立ちます!

Z会の本『読み取るチカラ』ではこのあとさらに、「レベル4 情報の中から知識を習得する。」、「レベル5 知識を積極的に活用する。」と続きます。詳しい内容は、ぜひ本を手に取り、読んでみてください!

99%の小学生は気付いていない?

今回学んだ「読み取るチカラ」の5レベルを皆さんもぜひ、実際に使ってみましょう。たとえば夏休みの自由研究で、「どんなテーマにしたらいいかな」と思ったときには、本屋さんや図書館に行き、新聞記事や本を手にしてみましょう。まずレベル1「読み取る」ところから始めて、自分で「研究課題」を見つけていくのです。 

今回紹介した本『読み取るチカラ』には、教科書では学べない、これから生きていくために大切なことがたくさん書かれています。気になった人はぜひ、『読み取るチカラ』を本屋さんで買って読んでみてください。夏休みの自由研究や読書感想文、レポートが一味違ったものになることを願っています。

❖書籍紹介リンク
https://www.zkai.co.jp/books/guide/id-5404/

「99%シリーズ」特設サイトURL
https://www.zkai.co.jp/books/99series/


この記事の著者

鈴木亮介(すずき・りょうすけ)
2013年よりZ会進学教室にて中学生の国語、小6公立一貫校受検コースの文系を担当。立川教室や池袋教室を中心に数多くの6年生の作文指導に携わり、南多摩中、立川国際中、大泉中などの合格者を輩出。2016年よりZ会に入社し、同年より調布教室の教室長を務めるほか、国語科の一員として校正業務、冬期講習単科ゼミ「西の作文」の講座設計・教材作成も担当。肥薩線の三段スイッチバックのごとく「地味にすごい」をモットーに教壇に立つ。

調布市の学習塾・個別指導塾「Z会調布教室」

 

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