2024年度「京大世界史」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2024年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会世界史担当者からのメッセージ

・京都大学の世界史入試は、教科書の流れに沿って用語の内容、因果関係、世界史上の意味・意義などを丁寧に学習していれば、ほぼ対応可能な問題です。出題傾向の変化が少ないので、大問Ⅱ・Ⅳでは取りこぼしを最小限にするように、大問Ⅰ・Ⅲでは問題の要求に的確に応えた解答を書き上げられるように、着実に対策を行っていきましょう。

・Z会の通信教育 本科「京大講座 世界史」の3~8月では、世界史上の重要ポイントを整理した導入テキストを用意しています。豊富な地図や図・表、年表などを用いて、知識だけでなく入試で問われる視点も学ぶことができますので、京大世界史で必要な各時代・地域の“理解の核”を習得することができます。また、秋以降は、入試問題と同じ300字の論述問題など実戦的な問題演習に毎回取り組み、添削指導を受けることで、論述力のアップをはかります。答案作成力を磨いて、京大合格をめざしましょう!

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今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:90分)

  • 例年通り大問Ⅰ・Ⅲは300字論述(各20点)、大問Ⅱ・Ⅳは長文下線部・空欄補充(各30点)の大問4題構成。
  • 全体的な難易度は例年並みであった。

2024年度入試の特記事項

  • 例年同様、大問Ⅰ・Ⅱがアジア史中心、大問Ⅲ・Ⅳが欧米史中心の出題であった。
  • 2024年度の大問Ⅱ・Ⅳは、2022年度・2023年度に引き続き語句記述問題と小論述のみで構成され、2021年度で見られたような4文正誤問題は出題されなかった。
  • 大問Ⅱ・Ⅳでは例年1〜5問程度小論述問題が出題されるが、2024年度は大問Ⅳで1問出題されたのみであり、2023年度の6問から大きく減少した。
  • 2023年度に目立った戦後史からの出題が大きく減少し、古代から戦後まで幅広い時代から、大きな偏りなく出題された。

合否の分かれ目はここだ!

  • 90分という制限時間に比してかなり問題量が多いのが特徴である。大問Ⅱ・Ⅳでそれぞれ30問程度の小問が課される上に、大問Ⅰ・Ⅲで300字の論述問題が課されるため、時間配分が重要となる。
  • 大問Ⅱ・Ⅳは、2023年度に比べ小論述問題の数が大きく減少した上、語句記述問題も取り組みやすい問題が多かったため、失点は最小限に留めたい。大問Ⅱ・Ⅳを手早く処理し、大問Ⅰ・Ⅲに十分に時間をかけることが高得点を取るポイントである。
  • 大問Ⅰ・Ⅲの論述問題は、必要となる知識は概ね教科書レベルであったが、問題の条件に沿って書くべき内容をしっかりと見極め、まとまりのある解答に仕上げる工夫が必要であった。
  • 一部の問題でやや細かい知識が必要となったものの、苦手な分野や学習が手薄な範囲を残さず、教科書の全範囲を丁寧に対策していれば、高得点を確保することが可能であった。

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大問別のポイント

 大問 I 

16世紀末から19世紀末に至る朝鮮と中国の関係の変化について説明する論述問題であった。

  • 問題文で示された『熱河日記』における年代の表記方法から、当時の中国と朝鮮の関係性を推測した上で、その内容を問題の要求に沿って解答に盛り込む必要があった。
  • 必要となる知識は概ね教科書レベルであったものの、教科書とはやや異なる視点からの出題であった。盛り込むべき内容を想起することや、まとまりのある解答に仕上げることに苦労した受験生もいたであろう。

 

 大問 II  

A:遼寧省の歴史をテーマに、魏晋南北朝時代までの中国史を中心に出題された。
B:イスラーム世界の聖地をテーマに、古代〜現代のアジア史、とくに西アジア史を中心に出題された。

  • (3)では戦国時代の中国について、空欄gではメッカ・メディナ両聖都についての地理的な知識が必要とされた。
  • (6)や(11)、(15)は教科書とはやや異なる切り口からの出題であった。とくに(15)は戦後史からの出題であったこともあり、苦戦した受験生もいたと思われる。
  • 空欄dや(17)、(19)ではやや細かい知識が必要とされた。

 

     大問 III  

    キリスト教世界がローマ=カトリック教会とギリシア正教会とに分裂していく過程について説明する論述問題であった。

    • 論述問題で頻出の地域からの出題であり、必要となる知識は概ね教科書レベルの基本的なものであったため、史実誤認や不正確な表現はなくしたい。
    • 問題文の中で論述の始点・終点が明確に示されていないため、論述すべき時代を、問題の要求と制限字数に対して過不足のない形で定める必要があった。
    • 「教皇領の形成と関連づけながら」と指示されているため、関連する内容を漏れなく解答に盛り込みたい。
    • 問題文に「8世紀に力点をおいて」とあることから、8世紀の出来事については多く字数を割く一方、それ以外の時代についてはコンパクトにまとめることがポイントであった。

     

     大問 IV  

    • Aは黒海周辺地域の歴史、Bはヨーロッパにおける共通語のあり方をテーマに、それぞれ古代〜近・現代の欧米史を中心に出題された。Aでは東ヨーロッパ史、Bでは西ヨーロッパ史からの出題が比較的多かった。
    • 概ね基本的な出題であり、教科書と異なる切り口の問題もほとんど見られなかったため、失点は最小限に抑えたい
    • Bでは文化史が比較的多く出題された。学習が手薄になりがちな分野であるが、漏れなく対策しておくことが求められる。
    • (14)は試験内で唯一の小論述問題であった。基本的な問題なので、手堅く得点したい。
    • (18)は問題文で示された出来事を知識として押さえていなくとも、当時のヨーロッパ情勢を想起すれば正答にたどり着けたであろう。

     攻略のためのアドバイス

    京大世界史を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

    ●要求1● 教科書全範囲の基礎的知識を網羅する「知識力」

    まずは、「知識力」の養成を。遅くとも受験生の夏休み終了までには、全時代の概略と、教科書の太字語句の意味を押さえることを目標にしよう。並行して論述問題にも取り組み、「知識を文章でまとめる」ことにも慣れていきたい。

    ●要求2● 問題の要求を的確に捉える「読解力」

    京大世界史攻略のためには、知識力の養成と並行して論述問題にも取り組み、本番まで定期的に問題演習を行う習慣をつけてほしい。

    問題の要求を的確に捉える「読解力」を身につけるためには、問題文を丁寧に読むことが重要である。何となく知っていることを羅列するのではなく、問題文中の時代・地域の指定、「意義」「背景」「経緯」「変化」「特徴」「影響」などといった問いかけに対して、最も適した解答を意識しながら解答を作成しよう

    復習時に自分の解答作成の過程を確認するために、草稿メモをノートに記録しておくことも有効である。

    要求3● 短い時間の中で最大限の結果を出す「処理力」

    時間に比して分量の多い京大世界史で確実に得点するためには、時間の使い方も重要である。模試を受験する際に、問題に取り組む順番を工夫するなど、限られた時間内で最大限の成果に結びつける訓練を積むとよい。

    共通テスト終了後は、京大入試と同じ分量・構成の問題セットを時間を計って解き、「知識力」・「読解力」を土台とした表現力に磨きをかけつつ、本番での時間配分を想定して、「処理力」を鍛えていこう。

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