東大の理科の解答用紙は、ノートのような罫線が入っただけのただの紙です。
つまり、「何を、どこまで書くのか」が、受験生に完全にゆだねられているのです。
このため、夏を過ぎて多くの受験生が過去問題の演習を本格化させる頃から、次のような悩みが大変多く寄せられるようになります。
▼過去に東大を受験した先輩たちの悩み
●問題文では与えられていない物理量を自分で定義することがありますが、定義する文字が多い場合は大変です…文字は全部定義しないといけないですか?一つひとつ書いているとかなり時間をロスしてしまうのですが、定義付けを簡単にする方法はありませんか?
●過程を記すように指示されていない問題は、答だけ書けばよいのでしょうか?過程を書かなければいけないとしても、すべての途中式を書くだけのスペースはないのですが、どの程度日本語を書けばいいのかわかりません。また、考え方を整理するための図なども描いてよいのでしょうか?
●公式や定理などを用いるときは、「運動方程式より」や「フレミングの左手の法則より」など、いちいちきちんと書かなければいけないですか?
●東大の模試を受験しましたが、理科は全然時間が足りませんでした。とくに物理は、90分以上もかかってしまいました。
詳しく説明する方が安心ですが、すべて説明していると時間が足りなくなってしまいますよね。
まさに、「理科の解答用紙にどこまで書くのか」は「時間との戦いにどうやって勝つか」と切っても切れない関係にあるのです。
ただでさえ時間の足りない東大物理。「何をどこまで書けばよいのか」は、多くの受験生にとっての課題なのではないでしょうか。
▼東大物理 解答用紙に、何をどこまで書けばよいのか
東大物理に限らず、答案は採点者に、「ちゃんと理解できている」ということを伝えるために書くものです。
つまり、採点者が「ちゃんと理解して解いているな」とわかるように書いていれば、満点がもらえるということです。
採点者に正しく伝えるためには、要点を押さえることが大切です。問題を解くための起点(出発点)と、解答に至るまでの要点が押さえられていれば、「どのように考えて、どの順序で解いたのか」がわかります。逆にいえば、要点以外の部分は書かなくてもよいということです。
とはいえ、問題文に示されていない文字は、採点する側は何の文字なのかわかりませんから、自分で設定した物理量の定義や、使った公式などは示しておくべきです。これらは単にわかればよいのですから、必ずしも日本語ですべて説明する必要はありません。また、書き方を工夫することで、定義する文字の数そのものを減らすこともできます。
これらを押さえた「満点をもらうのに必要最低限の答案」を作成することができれば、試験中に時間をロスしてしまった、ということが減るはずです。また、普段から要点を押さえた答案作成を心がけることで、解答に至るまでの要点が自分の中で整理でき、問題の本質がより明確につかめるようになっていきます。そして、問題の本質がつかめていれば、より早く解答にたどり着くことができるようになるでしょう。
Z会の東大入試対策講座
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