「東大文系数学」2021年度個別試験分析

Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 難易度はやや易化
  • 分量は昨年並み

2021年度入試の特記事項

  • 全体的な難易度は昨年度よりやや易しくなったが、出題分野の傾向が昨年度を踏襲している印象が強い。東大文系数学はこのくらいの難易度でしばらく定着する可能性がある。
  • 昨年度と同じく、大問の間での難易度差はやや大きい。どの問題で得点するかを見極めて時間配分を考える戦略も要求される。

合否の分かれ目はここだ!

  • 昨年度と同じく第1問と第3問が比較的手がつきやすく、第2問と第4問はやや方針が立ちにくい。第1問と第3問を軸に得点を重ね、第2問と第4問で部分点を獲得し、全体で6割くらい得点したいところである。
  • 第3問と第4問は理系と共通問題である。第3問は比較的手がつきやすいが、第4問は文系の受験生にとってはかなり難しい。
  • 全体を通して小問による誘導がある大問が多いので、完答できなくても部分点をできるだけ確保したい。
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大問別のポイント

 第1問  

  • 座標平面上の円と3次関数のグラフの共有点の個数を考察する問題。
  • 3次関数のグラフを対象にするので、数式処理を主体に考察していく。基本的な数式処理を試すという意味で、2020年度の第1問と同じ出題意図と思われる。
  • 共有点→方程式の実数解→微積分の利用と、自身が処理できる問題に次々と読み替えていけばよい。他の大問の難易度を考えると、本問は確実に得点しておきたい問題である。

 第2問   

  • いくつかの条件をみたす整数の選び方に関する場合の数の問題。
  • 各小問で異なる条件を考える。(1)は比較的易しく、(2)はやや難しいという構図であり、(2)で差がついたものと思われる。
  • いずれの小問も「連続する整数」の考察がカギである。集合のまま考えるのではなく、数え上げやすいように、〇や×を横一列に2N個並べる同じものを含む順列の話に帰着させるなど、工夫が必要である。

 第3問 

  • 座標平面上の放物線を題材にした図形と方程式、2次関数の総合問題であり、理系との共通問題である。頻出の「通過領域」をテーマとしており、文系数学では2年連続での出題である。
  • (1)は2次方程式の解の配置問題に帰着させればよく、この小問は落とせないだろう。
  • (2)で差がついたであろう。2020年度は、パラメータの数が1つであったが、2021年度はパラメータが2つになっている。(1)で求めた範囲の(a、b)が存在するような(x、y)の条件を求めればよいが、このあたりの読み替えは、通過領域の問題をきちんと考察した経験がないと難しい。

 第4問  

  • 組合せ数を題材とした整数問題であり、理系との共通問題。
  • (2)が本大問の山場であり、文系の受験生にとっては難しかったと思われる。
  • 本大問は(1)を確実に得点し、(2)にあまり時間をかけすぎないようにしたい。

 攻略のためのアドバイス

東大文系数学を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 高度な思考力
特別な知識は要求されないものの、高いレベルの思考力、発想力を試す問題が多く出題されている。他の大学では、一見しただけで典型問題だとわかる出題が多いが、東大では出題の仕方がかなり工夫されており、すぐには問題の解法が浮かびにくいものが多く、解法を決める力が求められる。

●要求2● 早く正確な処理力
例年、東大の数学では処理量の多い問題が出題され、複数の文字を含むものや絶対値記号を含む問題などが好まれている。やや高度な出題も見られるが、処理力重視の問題は、答までの見通しを立てやすいものが多い。数式処理力の差は直接得点差につながるので、速く正確に処理できる力を充実させておきたい。

●要求3●解ける問題を見極める力
東大文系数学では、近年、5割以上の得点が合格ラインといえる量とレベルのセットで出題されている。つまり、解ける問題を確実に解き、他の問題で部分点を稼ぐという、解く問題の選択が合否を分ける。過去問演習などを通して、完答できる問題を見極める力を養っておこう。また、小問ごとに解ける問題は、もちろん解かなくてはならない。

対策の進め方

まずは、苦手分野があれば、受験生の夏までには克服したい。ただし、基本的なことばかりやっていては、高度な思考力を要求される東大入試には太刀打ちできなくなる。
受験生の秋以降はより実戦的な演習を行い、得点力アップを図ろう。また、答案を作成する力の養成も意識したい。
共通テストが終わったあとは、東大入試に即応した問題で、最後の総仕上げをしよう。解答を作成する時間や、採点者にきちんと伝わる答案作りを意識し、実戦力を完成させよう。
Z会の講座は、上記の各段階に応じて、東大対策を無理なくこなせる設計になっている。Z会の講座を活用して、ライバルに差をつけよう!

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Z会文系数学担当者からのメッセージ

東大入試で出題される問題は、パターンを覚えているだけでは解くことができないようなものも多い。このような問題を本番で解けるようにするためには、やや難易度の高い問題を用いて、日頃から自身で試行錯誤することがとても大切。Z会の本科「東大コース」の問題では思考力が必要な難しい題材も扱っている。
  1)普段からの思考する習慣をつけるため
  2)思考した結果を採点者に正確に伝える力を養うため
そして、なにより「東大合格を勝ち取るため」に、本科「東大コース」の受講を強くオススメしたい。

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