「東大文系数学」個別試験分析(2022年度)

Z会の大学受験担当者が、2022年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 難易度はやや難化
  • 分量は昨年並み

2022年度入試の特記事項

  • 全体的な難易度は、昨年度より手のつけやすい問題が少なくなりやや難化した。
  • 出題分野については、関数の問題が2題と、数列と確率といった離散数学から2題の出題であり、昨年度を踏襲している印象が強い。
  • 昨年度は、大問の間での難易度差が大きかったが、今年度はすべての問題において、方針を定めるまでに時間がかかる問題がそろっている。どの問題も完答が難しく、どこで部分点をとるかを見極めて時間配分を考える戦略も要求される
  • 例年、理系との共通問題があるが、本年度は設定を変更した出題は見受けられたが、完全な意味での共通問題は出題されなかった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 全体を通して小問による誘導がある大問が多いので、完答できなくても部分点をできるだけ確保したい。
  • 処理の方針がみえやすい第1問の(1)と第2問をまずは押さえたい。その上で、他の問題から部分点を積み重ねていくことで、全体で4割くらいは得点したいところである。
  • 完答の観点からは、第2問が処理しやすいが、それでも文系の受験生にとっては難しかったと思われる。
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大問別のポイント

 第1問  

  • 座標平面上の放物線が「原点で直交する2本の接線をもつ」ための条件を考察する問題。
  • (1)では、放物線を表す関数に含まれる文字定数のみたす条件を求める。方針に迷うところは少ないのだが、多くの文字を同時に相手にすることになるので、ある程度、処理の方向性が見えてないと行き詰まりやすい。また、設問の後半「aはすべての実数をとりうる」ことを示すところも、慣れていない人にとっては決して易しくなかっただろう。
  • (2)は、図形でも、方程式でも、さまざまな方針が考えられ、どの方針で処理していくかの判断が難しい。また、(1)と同じく多くの文字を相手にするので、適切な見方や捉え方が要求され、文系の受験生にとっては難しかったと思われる。

 第2問   

  • 3次関数のグラフに関する問題。
  • (1)は、グラフ上の点から法線を引くとき、グラフと法線が相異なる3つの共通点をもつための条件を求める問題。第1問と同じく、本設問も方針に迷うところはないのだが、その式がやや複雑であり、置き換えなどを工夫して、見通しよく処理していかないと行き詰ってしまいやすい。決して易しくないが、他の問題の難易度を考えると、本設問は、ぜひとも得点しておきたい。
  • (2)と(3)は、(1)を見通しよく処理できれば方針に迷うことはないだろう。

 第3問 

  • 漸化式を用いて帰納的に定義された数列に関する問題。整数問題との融合問題であり、東大らしい出題である。
  • (1)は年度にちなんだ「第2022項」を3で割った余りを求める問題。もちろん、一般項そのものを求めることは難しいので、「帰納的定義」をうまく活用した方針を立てるところがポイントになる。本設問は「類題」の経験で差がついたであろう。
  • (2)は、「第2022項」「第2023項」「第2024項」の最大公約数を求める問題。これら3つの値の最大公約数を文字でおき、必要条件から絞り込むのが一つの方法であるが、文系の受験生には難しかったと思われる。

 第4問  

  • コインを投げて、その表裏によって動く点を題材にした確率の問題。
  • 本問は、まずその設定を理解することが第一であり、そもそもここが難しかったと思われる。この手の多くの問題では「表の出る回数、裏の出る回数」だけで最終的な点の位置が確定することが多いが、本問は同じ回数であっても「表や裏の出る順番によって最終的な点の位置が変化する」ので、この点にも注意が必要である。
  • (1)は本問の設定を理解できたかを試す問題であり、得点しておきたい。表の回数が少なくとも3の倍数になることが必要であることが見抜けると見通しがよいが、列挙もやむなしかもしれない。
  • (2)は表の回数と裏の回数が決まっているので、どのような順番で出れば条件をみたすかを、場合の数が計算できるように「事象をすり変える」ことがポイントになるが、いずれにしても受験生にとっては難しかったと思われる。

 攻略のためのアドバイス

東大文系数学を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 高度な思考力

特別な知識は要求されないものの、高いレベルの思考力、発想力を試す問題が多く出題されている。他の大学では、一見しただけで典型問題だとわかる出題が多いが、東大では出題の仕方がかなり工夫されており、すぐには問題の解法が浮かびにくいものが多く、解法を決める力が求められる

●要求2● 早く正確な処理力

例年、東大の数学では処理量の多い問題が出題され、複数の文字を含むものや絶対値記号を含む問題などが好まれている。やや高度な出題も見られるが、処理力重視の問題は、答までの見通しを立てやすいものが多い。数式処理力の差は直接得点差につながるので、速く正確に処理できる力を充実させておきたい

●要求3●解ける問題を見極める力

東大文系数学では、近年、5割以上の得点が合格ラインといえる量とレベルのセットで出題されている。つまり、解ける問題を確実に解き、他の問題で部分点を稼ぐという、解く問題の選択が合否を分ける。過去問演習などを通して、完答できる問題を見極める力を養っておこう。また、小問ごとに解ける問題は、もちろん解かなくてはならない。

対策の進め方

まずは、苦手分野があれば、受験生の夏までには克服したい。ただし、基本的なことばかりやっていては、高度な思考力を要求される東大入試には太刀打ちできなくなる。
受験生の秋以降はより実戦的な演習を行い、得点力アップを図ろう。また、答案を作成する力の養成も意識したい。
共通テストが終わったあとは、東大入試に即応した問題で、最後の総仕上げをしよう。解答を作成する時間や、採点者にきちんと伝わる答案作りを意識し、実戦力を完成させよう。
Z会の講座は、上記の各段階に応じて、東大対策を無理なくこなせる設計になっている。Z会の講座を活用して、ライバルに差をつけよう!

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Z会文系数学担当者からのメッセージ

東大入試で出題される問題は、パターンを覚えているだけでは解くことができないようなものも多い。このような問題を本番で解けるようにするためには、やや難易度の高い問題を用いて、日頃から自身で試行錯誤することがとても大切。Z会の本科「東大コース」の問題では思考力が必要な難しい題材も扱っている。
  1)普段からの思考する習慣をつけるため
  2)思考した結果を採点者に正確に伝える力を養うため
そして、なにより「東大合格を勝ち取るため」に、本科「東大コース」の受講を強くオススメしたい。

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