「東大理系数学」2021年度個別試験分析

Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 難易度は昨年並み
  • 分量は昨年並み

2021年度入試の特記事項

  • すべての大問で小問がついていた。丁寧な誘導をつけ、受験生にとって解きやすくする意図が見られる。
  • 昨年度に引き続き、頻出の確率からの出題がなかった。また、やはり頻出の立体に関する問題もなかった。
  • 頻出の整数、複素数平面からは出題された。

合否の分かれ目はここだ!

  • 前半は手がつけやすく、後半になると難しくなる問題が多い。前半で導いたことをどのように後半につなげるかがポイント。前半で確実に得点を重ね、後半でも部分点を確保して、全体で5割くらい得点したいところである。
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  

  • 座標平面上の放物線を題材にした図形と方程式、2次関数の総合問題であり、文系との共通問題である。
  • (1)は2次方程式の解の配置問題に帰着させればよく、この小問は落とせないだろう。
  • (2)で差がついたであろう。(1)で求めた範囲の(a、b)が存在するような(x、y)の条件を求めればよいが、このあたりの読み替えは、通過領域の問題をきちんと考察した経験がないと難しい。

 第2問  

  • 複素数平面の問題。
  • (1)は計算だけ。(2)はf(2)をαβγで表して、パラメータで表された複素数の存在範囲を考える。複素数を図形的にとらえる必要がある。

 第3問 

  • 数学IIIの微積分の問題。
  • (1)は共有点が1つであることを微分法で証明する。理系数学では頻出の内容。
  • (2)は単なる定積分の問題だが、この積分計算を時間内に解き切るにはかなりの腕力が必要といえる。

 第4問 

  • 組合せを題材とした整数についての問題で、文系との共通問題。
  • (4)を解くための手がかりを(1)~(3)で証明していく。とくに(2)は途中式が複雑で混乱しやすく、受験生には難しかったと思われる。
  • (1)~(3)ができなくても(4)は解くことができる。

 第5問 

  • 数学IIIの微分の問題。
  • 第3問(1)と同様に共有点が1つであることを証明する。グラフをかきながら考えていけばよく、(2)も難しくない。

 第6問 

  • 式と証明についての問題。
  • (3)を解くための手がかりを(1)、(2)で準備していく。(1)は恒等式の知識を使えばよく、易しいが、(2)は設問の意味をとらえるのが難しく、途中で迷子になりそうだ。
  • (3)は(1)、(2)ができなくても解ける。すべてのaを求めるのだから、そのための議論をきちんとしないといけないことに注意しよう。

 攻略のためのアドバイス

東大理系数学を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 高度な思考力
特別な知識は要求されないものの、高いレベルの思考力、発想力を試す問題が多く出題されている。他の大学では、一見しただけで典型問題だとわかる出題が多いが、東大では出題の仕方がかなり工夫されており、すぐには問題の解法が浮かびにくいものが多い。初見の問題に色々な面からアプローチして、解法を決める力が求められる。確率、整数の問題で主にこの力が問われる。

●要求2● 早く正確な処理力
例年、処理量の多い問題が出題され、比較的処理量の少ないものでも、1問あたり20~30分くらいかかるものもある。特に積分の求積問題で、ハードな計算を要求するものが多い。また、やや高度な出題も見られるが、処理力重視の問題は、方針が立てやすい。数式処理力の差は直接得点差につながりやすいので、速く正確に処理できる力を充実させておきたい。

●要求3●解ける問題を見極める力
東大の数学では、例年、5割程度取れれば合格ラインといえる量とレベルの出題である。つまり、全問を解く必要はなく、解く問題の選択が合否を分ける。過去問演習などを通して、完答できる問題を見極める力を養っておこう。小問ごとに解ける問題は、もちろん解くべきである。

対策の進め方

まずは、苦手分野があれば、遅くとも受験生の夏休みまでには克服したい。ただし、基本的なことばかりやっていては、高度な思考力を要求される東大入試には太刀打ちできなくなる。
受験生の秋以降は実戦的な演習を行い、得点力アップを図ろう。また,答案を作成する力の養成も意識したい。
共通テストが終わったあとは、東大入試に即応したZ会の問題で、最後の総仕上げをしよう。解答を作成する時間や、採点者にきちんと内容の伝わる答案作りを意識し、実戦力を完成させよう。
Z会の講座では、上記の各段階に応じて、東大対策を無理なくこなせる設計になっている。Z会の講座を活用して、ライバルに差をつけよう!

Z会で東大対策をしよう

Z会東大理系数学担当者からのメッセージ

東大理系数学では、パターンを覚えているだけでは解くことができない、思考力を要求される問題が出題される。このような問題を本番で解けるようにするためには、日頃から自分で考える必要のある難しい問題に取り組むことが大切。Z会の本科「東大コース」の問題は、この演習にうってつけだ。

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