「京大文系国語」2020年度京大入試分析

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 現代文がやや難化したが、古文は標準的な難度の出題。全体としての分量・難易度には大きな変化はなく、京大入試として標準的な難易度の出題であった。

2020年度入試の特記事項

  • 例年通り、現代文・現代文・古文の三題の出題。(一)の現代文のみ文理共通の文章からの出題。(理系は一問設問数が少ない)
  • 2017~2019年度同様、(一)での漢字書き取り問題の出題はなかった。
  • (二)では旧仮名遣いの随筆が出題された。
  • (三)は中古の日記文学からの出題。Z会の通信教育『特講 短期集中シリーズ 古文・漢文実戦演習』の演習問題で掲載している文章と的中。事前に取り組んでいた受験生は有利であったと思われる。

合否の分かれ目はここだ!

(三)の古文は、『和泉式部日記』という有名出典からの出題。リード文から状況を踏まえ、「女」と「宮」のやりとりを正確に読解する必要がある。和歌の解釈・引き歌の解釈・説明問題・口語訳とバランスよく出題されており、一文一文を正確に逐語訳し、適切な形で解答をまとめる記述力が要求される。京大として標準的な難度の出題であり、演習量で差がつく出題であった。読解・記述演習をしっかり積んできた受験生であれば、実力を発揮できただろう。

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大問別のポイント

 第1問(現代文) 出典:小川国夫「体験と告白」

  • リアリズム小説によって人間の真実を描こうとすることについて論じる文学論からの出題。京大らしい文学的な文章で、難解な語句が含まれているものではないが、比喩表現から読み取れるニュアンスをくみ取り解答にまとめるには相当高度な読解力・記述力が要求される。人間の認識・文学について深く論じる文章の読解経験を積んでいないと、筆者が論じているポイントを把握することは難しかっただろう。
  • 問一・問二は比較的解答要素を把握しやすく、傍線部周辺の記述を押さえて解答をまとめればよい出題であり、ここでなるべく失点しないようにしたい。
  • 問三は「文中のアウグスチヌスの議論を参考に」という設問条件を踏まえつつ、傍線部の内容説明として適切な形になるように気を配ってまとめなければならない。 
  • 問四・問五は、問題文中にそのまま解答に使える表現がなく、比喩表現のニュアンスをくみ取り、筆者の問題意識を踏まえて一歩踏み込んだ解釈を求められる設問。理由説明であることもあり、解答の組み立てが非常に難しい。
  • 全体として記述の難度の高い出題であるため、取り組みやすい設問を見極め、確実に解答欄を埋めていくことが大切である。

 第2問(現代文) 出典:小山清「井伏鱒二の生活と意見」 

  • 作家・小山清が井伏鱒二の人となりについて綴った随想。全体を通したテーマ、というようなものはなく、個別エピソード的に描かれる井伏の姿とそれに対する筆者の思いを、設問箇所それぞれで読み取っていくことになる。その意味で、すべての設問が、部分読解問題、と言っていいだろう。
  • 問一・問二は、傍線部の含まれる段落に着目箇所があり、まとめ方もそれほど難しくはない。
  • 問三も、比喩表現の問題ではあるが、その意味するところは難しくはないだろう。
  • しかし、問四・問五は、何を・どこまで説明することが求められているのか、見極めるのが難しかったと思われる。

 第3問(古文) 出典:『和泉式部日記』

2020年度の文系古文は4年ぶりに平安時代の作品からの出題で、2019年度同様に和歌が含まれていた。Z会の通信教育『特講 短期集中シリーズ 古文・漢文実戦演習』の演習問題で掲載している文章と的中しており、取り組んだことのある受験生には読解の助けになったはずである。敬語などから人物関係を的確に把握し、一文ごとの意味を丁寧に解釈することがポイントとなる。

  • 問一 「語らはば」「ありやせむ」「言ふかひなくは思はざらなむ」の訳出に注意しながら口語訳する。
  • 問二 「女」の歌にもある「身の憂き」に加えて、「生ひたる蘆」の本歌にある「何事も言はれざりけり」と「ねのみ泣かれて」という気持ちを伝えようとして、この引き歌をしている。
  • 問三 設問の「宮の来訪を聞いてから……西の妻戸のもとに招き入れるまで」に見られる「女の心の動き」としては、「便なき心地」「『なし』と聞こえさすべきにもあらず」「(昼も御返り聞こえさせつれば、)ありながら帰したてまつらむも情けなかるべし」「ものばかり聞こえむと思ひ」の四点を押さえたい。
  • 問四(3)「女」が「宮」について述べていることが明確になるようにことばを補う。
    (4)「かかるところ」の指示内容が明確になるようにことばを補う。

 攻略のためのアドバイス

京大文系国語を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 基本的な語彙力

文学的・抽象的な表現を含む文章からの出題が多い京大国語では、読解力・記述力ともに高いレベルが要求される。その水準に達するためには、基本語彙の意味を正確に把握し、記述する際にも適切な語を選ぶことができる語彙の運用力が必要不可欠。Z会の書籍『現代文 キーワード読解』『速読古文単語』などで、語彙力の基礎を固めよう。

●要求2● 幅広いジャンルに対応できる読解力

京大国語では、評論・随筆・小説など、普段受験生が読み慣れないであろうさまざまなジャンルの文章から出題されるため、京大で出題されそうな文章の読解経験の量がものをいう。問題文中に直接的に表現されていなくとも、文中の表現のニュアンスを汲み取り、筆者の主張や心情を正確に読み取る力が必要である。

要求3●採点者に自分の考えを伝える力

京大国語の設問は、すべてが記述式問題であり、求められる記述の分量もかなり多い。解答に必要な要素を見極める力と、必要な要素を正確に伝わる形で解答にまとめなおす力が求められる。問題文中の記述の寄せ集めではなく、適宜自分の言葉で言い換えたりふくらませたりすることができる確かな記述力が必要である。

対策の進め方

受験生の夏までは、まずは土台となる●要求1・2●を満たすことを目指そう。Z会では、通信教育・映像・教室ともにさまざまなジャンルの問題文を出題するので、読解経験を積むことができる。語彙・文法事項といった知識事項の抜け漏れをつぶしていくと同時に、記述演習にも取り組むことで、第三者に伝わる解答の作成法を身につけよう。その後は、さらに●要求2・3●に対応する力を磨いていこう。Z会の通信教育では、受験生の9月からより実戦的な京大対応のオリジナル問題を出題する。第三者の客観的な視点からの添削指導を受けて、自分の解答に足りない要素やまとめ方のコツを把握し、解答の質を高めていこう。読解量・記述量ともに負担が重い京大国語に対応するために、制限時間内でうまく解答をまとめることを意識して問題演習を行おう。入試直前期には、過去問演習に加えて予想問題にも取り組むことが大切だ。本番前の最終調整として、より本番に近い形での演習をするとよい。

Z会で京大対策をしよう

Z会京大国語担当者からのメッセージ
  • 現代文は二題とも、深く読解するには文学的素養が求められる、京大らしい出題でした。問題文から一歩踏み込んで自分なりの表現で解答しなければならない設問もあり、戸惑った受験生も多かったのではないかと思われます。文学論・旧仮名遣いの随筆と、受験生が普段読み慣れないような文章ジャンルからの出題は、さまざまな文章の読解経験を積み、知識・教養の幅を広げてほしいという京大のメッセージが感じられます。
  • 古文は有名出典である『和泉式部日記』からの出題。Z会の教材でも、通信教育『特講 短期集中シリーズ 古文・漢文実戦演習』の演習問題で扱っていた箇所でした。問題文を丁寧に読解し、正確に逐語訳する力が問われており、日頃の演習量がものを言う出題です。
  • 受験生がなかなか読み慣れないような文章から出題され、さらに広い解答欄に自分なりの言葉でわかりやすく解答をまとめていくことが要求される京大国語では、さまざまな文章の読解経験を積み、作成した解答を第三者に見てもらうことが非常に重要です。Z会では、長年の入試分析をもとに、本科「京大コース」、専科「京大即応演習」「過去問添削」など、東大合格までの道筋を支える講座を多数用意しています。良質な問題と添削指導を通じて盤石の実力を養成し、京大合格をつかみ取りましよう!

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