「英語リスニング」2019年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月5日

■分量と難度の変化(時間/配点:30分/50点) ・マーク数、配点は例年通り。放送文の総語数も昨年並みであったが、印字された設問文・選択肢の総語数は70語ほど増えた。 ・問題形式も前年とほぼ変わらないが、放送文・設問の難易度自体は前年よりやや易化した。 ・設問の場面設定において、より日常に即した内容が増え、かつ場面設定が多様化したため、解答に高校生の経験のみでは補いきれない想像力を要する問題も多くあった。 ■今年度入試の特記事項 ・第3問のBについて、昨年出題された案内図の地図のようなビジュアル情報と文字での情報を混在させた形式ではなくなり、代わりに一昨年までと同様のポスター形式のイラストが提示され、情報を確認しやすくなった。 ■いま解いておきたい問題 第3問A 問15 短い対話文であるが、実際に対話している2名の他に、その場にいない2名についても言及され、 合計4名の登場人物がいることが場面の状況を複雑にしている。場面設定も、一般的な受験生にとってはなじみの薄いものであり、また、対話文の短さが、高い想像力を要する要因となっている。 放送文や、設問中にやや難易度の高い単語が出てくるため、 単語の意味をふまえたうえで、状況を想像しながら解答できるかがポイントである。 本問のように想像力で補いながら状況設定を理解し、情報を整理して話の流れを押さえる問題は、センター試験特有の出題形式なので早いうちに慣れておこう。 ■大問別ポイント  第1問  短い対話を聴き、質問に対する答えとして適切なものを選ぶ問題 ・前年度と同様、日数やお金の計算をしたうえで解答する問題が出題されたが、いずれも単純な計算のみであった。 ・問6の円グラフの問題では、対話の前半部分である程度選択肢は絞られるが、対話の後半部分のThere’s still some hope of getting a majority の意味を正確に捉えることで、2名の立場と正確な解答を導くことができる。  第2問  短い対話を聴き、それに続く応答を選ぶ問題 ・問8の職場での休暇の取り方や、問12の宅配ピザの注文など、高校生の経験のみでは補いきれない日常生活に即した問題が多く出題された。そのため、解答するには、人によっては経験を超えた状況の推測が必要であっただろう。 ・選択肢はやや長くなった問題があったものの、それほど紛らわしい内容はなく、解答はしやすかったはずである。  第3問  A 短い対話を聴き、質問に対する答えとして適切なものを選ぶ問題 ・対話文自体はそれほど長くないものの、状況や最終的な結論がわかりにくい問題が出題された。 ・やや難易度の高い単語や口語表現が含まれていたため、読み上げられた英文の状況をどこまで正確に捉えることができたかで差がついた。 B 長めの対話を聴き、質問に対する答えとして適切なものを選ぶ問題 ・美術館の案内と対話を組み合わせて解答を導く問題。前年度の案内図形式のイラストではなく、ポスター形式のイラストになったことで、わかりやすく感じた受験生も多かっただろう。 ・各設問で求められる情報が、曜日、時刻、金額であったことから、表の情報に予め目を通しておくことで解答しやすくなっただろう。 ・ただし、会話の進行上、必要な情報が出てくる順番が前後しているため、詳細な情報を聴き落さないように注意が必要であった。  第4問  A 長めのモノローグを聴き、質問に対する解答として適切なものを選ぶ問題 ・幼小期を振り返ったモノローグだが、状況の説明がなく突然実況中継のような臨場感あふれる描写が始まったため、戸惑った受験生もいるかもしれない。 ・問20では、選択肢のなかに、tease→make fun ofのような英文本文からの高度な言い換え表現があり、また、問21でも、選択肢に難しい表現が登場し、どちらも難易度の高い問題であった。 B 長めの対話を聴き、質問に対する解答として適切なものを選ぶ問題 ・アニマルシェルターを題材として扱った3名の対話で、昨今の時勢に合った内容であったと言える。 ・昨年度と比較し発言数は多くなったが、情報量が多くなったわけではなく、比較的取り組みやすい問題であった。 ・adopt=「(動物など)を引き取る」、abandoned=「見捨てられた」など、題材特有の単語がしばしば登場したが、日頃から様々な題材にふれ、多くの単語を幅広く知っておくことも重要である。

攻略へのアドバイス

●耳で聴いて内容をつかむ練習をすること リスニング力は一朝一夕では身につかない。 今のうちから英語を聴くことを習慣づけ、耳から聴いた英文の内容を的確に理解する練習を積み重ねていこう。 書籍の「解決! センター 英語リスニング」などを用いての演習がおすすめ。 高3からは通信教育の「センター攻略演習」、Z会の映像「英語リスニング標準編」「英語リスニング完成編」で実践的な学習を進めることができる。 ●単語や会話表現の「音声」に慣れておくこと 意味を覚えている単語や表現も、音になると聴き取れない、ということが多々ある。 また、「子音で終わる単語」と「母音で始まる単語」が並んだ時の音と音のつながり(リエゾン)によって、さらに違って聴こえる場合もある。普段から、声に出して読んでみたり、単語帳の付属のCDを聴いたりして、単語・表現の「音声」にも慣れておくようにしよう。 ●日常会話で登場頻度の高い「単語・表現」の知識を増やすこと 近年のセンター試験は、読解や英作文ではあまり使わない会話特有の表現や、日常のものを表す単語の使用度合いが高くなってきている。選択肢での単語の言い換えの対策としても、知っている表現を増やしておくことが求められる。 ●実際に会話の次の展開を予測しながら自分で発信する「スピーキング」の練習を採り入れること 特に第2問のような応答文を答える問題や、話者の主張を正確に把握できているかを試す問題では、実践的なコミュニケーション力が求められる。このように日常的な様々な場面を想像したうえで解答する問題は、今後ますます増えると考えられる。実際の日常会話において、どういったやりとりが発生するかを体感して、相手の反応を直に予測しながら発言するのがもっとも実践的な練習にあたり、聴き取り力も発信力も強化できる。

▼英語担当者からのメッセージ  ・今年度のセンター試験は、短時間に多くの情報を処理しなくてはならない問題や、ただ単語を聴き取るだけではなく、述べられている内容を理解した上で、その先の展開や、そこから読み取れることを考えなければならない問題が中心で、解くのに苦労した人も多かったのではないでしょうか。また、言い換え表現やなじみのない表現が多用されており、そこで悩んだ人も多かったかもしれません。 ・これからのリスニング問題は、次々と与えられる情報を迅速に処理する力や、聴き取った内容のさらにその先の展開を推測して、自然に相手とコミュニケーションをとれるような力がより求められます。「能動的に聴く」ことがリスニング力を上げるコツ。正しく聴き取った上で、その内容について深く理解しようとすることが大切です。筆記に比べ学習が後回しになりがちなリスニングですが、リスニング力が上がることで英語力全体も底上げされます。早いうちから少しずつ対策していきましょう!

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