第9回 面倒くさい?思春期を理解する ~小学6年生のあなたへ~

執筆者:末松献一郎(Z会進学教室 関西圏代表)
記事更新日:2021年9月3日

面倒くさい?思春期を理解する

こんにちは。Z会進学教室 関西圏代表の末松です。第6回で「子が親に望む接し方」「子が親に望まない接し方」についてお話しいたしましたが、今回は小6生の皆さんがこれから突入する(あるいは、もうすでに入っている)「思春期」について、お話しいたします。

面倒くさい?思春期を理解することで、小6の皆さんは自身の深掘りができ、保護者の皆さまには今後のお子さまへの接し方の一助になればと思います。

よくある思春期行動例

教室にご相談に来られる保護者の皆さまからよくこのようなお声をいただきます。

 例1 親が勉強を見てやると、最後は喧嘩になる
 例2 自分の部屋に閉じこもり、黙ったり、親を避けたり、話をしたくなさそう。
 例3 全力でやるのは格好悪いし、恥ずかしい。

この言動の理由を子どもに質問しても、おそらく回答は「わかってるし・・・」や「別に・・・」、「なんかムカつく」で終わってしまうのではないでしょうか。

子どもの心身の成長に伴い言動が著しく変化しやすいこの時期、保護者の皆さまはもちろん、子ども自身も理由が説明できず戸惑うことが多いようです。

では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

学童期→青年前期→青年中期における内面の変化

ここでは
学童期→小学高学年
青年前期→中学生
青年中期→高校生
という定義でその内面の変化を見ていくことにします。

【学童期】

欲 :良くも悪くも「~したい」という気持ち
理想:「~あるべきだ」という気持ち
理性:欲と理想のバランスを取ってくれる客観性

学童期は、欲も理性も理想も小さく、子どもも自分の欲や理想に振り回されることも少なく、自己も他者もコントロールしやすい(されやすい)ステージです。この頃のモチベーションは、特に親から評価されることが多く、親が決めたルールや価値観に沿って生きることにあまり抵抗がない場合が多いです。

【青年前期~中期】

一方で、青年前期、いわゆる思春期に入ると、自我が大きくなるため、欲や理想がどちらも比例して急激に大きくなってきます。

ただ、理性はまだ育っていないため、自分の欲や理想に振り回されてしまいやすいステージに入ります。このあたりから言動の変化が見られ、自他共にコントロールしづらくなってきます。この頃からモチベーションは、親以外の他者(先輩、仲間、先生など)から評価されることに喜びを感じ、親が決めたルールや価値観に窮屈さを感じる時期です。

青年中期(高校生)、後期(大学生)になると理性の成長が追いついてくるため、結果的にバランスが取れるようになることで、徐々に感情と言動が安定してきます。理性(≒客観視できる力)の育成をいかに促進させていくかがポイントです。

思春期を理解し、成長につなげるために

冒頭で挙げた「よくある思春期行動例」も思春期の内面の変化を見ることで、なぜそのようなことが起こるのかを理解するヒントになることでしょう。

例1 親が勉強を見てやると、最後は喧嘩になる
→ 思春期に入ると、権力や権威に対して素直に従うことについて疑問を抱き始めるからです。

「勉強を見られる」ということは、明らかに自分を下に置くことですので、小学生の頃は素直に従えたことが従えなくなります。逆に自分が「すごい!」と認めた人(塾の先生や部活の先輩などの第三者)に対しては素直に従えるということも起こり得ます。

例2 自分の部屋に閉じこもり、黙ったり、親を避けたり、話をしたくなさそう。
→ 親のことが嫌いなのではなく、自分のテリトリーを持ち、自分のやり方を試したい気持ちが強くなるからです。また、親以外のコミュニティーに属したい気持ち(仲間意識)が強くなるため、一時的に家族を遠ざける時期でもあります。

例3 全力でやるのは格好悪いし、恥ずかしい。
→ 思春期の子どもによく見られる言動です。みんなで何かをするという行動は、相手に合わせること(=自分を抑えること)にもなるため、自我が強くなってくる時期としてはやりたくない気持ちになることもあるからです。また、全力でやってみたにも関わらず、失敗している姿を、仲間からからかわれるのではないか、他者からどう見えているのかを過剰に気にする(自意識過剰)ということも起こり得ます。

最終的に、子どもの理性(≒客観視できる力)を育てるために必要なことの一つは、自立を促すために、保護者以外の他者にたくさん出会って「世界を広げる」ということだと考えます。その意味でも「塾」という場所は子どもにとっても成長を促す場のひとつであるとも言えます。

また、「失敗しても良いからまず挑戦してみる」というメッセージを与え続けることも大切なことであると考えます。失敗することによって、次に失敗して恥をかかないためにどうするのかということを自分で分析することで理性が磨かれ、同時に、失敗を克服することで自信が生まれるからです。

一見、面倒くさい?思春期ではありますが、成長には欠かせない貴重な時期ですので、お子さまへの接し方についてもご相談があればお気軽に最寄りの教室にお問い合わせください。

この記事の著者

末松献一郎(すえまつ・けんいちろう)
2009年入社。愛知生まれ、大阪育ち、関西圏在住。講師、教室長(梅田教室、上本町教室)を経て現在はZ会進学教室(関西圏)代表。生徒や保護者の皆さまと接することで私自身も多くを学ばせていただいています。自分で考えて、工夫して、失敗して、試行錯誤を繰り返しながら成長する子どもたちに、少しでもお役に立つことができればと心から思っております。ぜひ一度、Z会の教室にお越しください。

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