「英語リスニング」2020年度センター試験分析

投稿日時:2020年1月23日
Z会の大学受験生向け講座の科目担当者が、2020年度のセンター試験を分析。出題内容・各問の分析、攻略ポイントを詳しく解説します。
2020年度センター試験「英語リスニング」の出題内容
試験時間と配点
- 時間 / 配点:30分 / 50点
全体の傾向
- リスニングは、2019年度と出題形式の変化はなく、第3問Bで扱うビジュアル型の問題についても2019年度と同様のポスター型であった。
- 総語数について、質問・選択肢の英文の総語数は50語程度減少したが、放送文の語数は大きくは変わらなかった。難易度について、全体的には2019年度と同様に標準的なものだったが、第2問は日常会話特有の口語表現が応答として多く登場し、難度の高い出題であった。そのため、2019年度よりはやや取り組みづらかったと言える。
2020年度センター試験「英語リスニング」の各問の分析
第1問(12点):対話文(イラスト・数値選択など) [標準]
対話を聞き、設問の英文に対する答えを選択する問題。例年通り、選択肢にイラストや数値、グラフが含まれる設問があった。問4ではopening remarksといった聞き慣れない表現に苦戦した受験生も多かっただろう。数値を選択する問5は、計算自体は複雑ではなかったが、対話の展開から最後の20 moreは解答の数値には含めないという点がややわかりづらかった。
第2問(14点):対話文(応答文選択) [やや難]
対話文に続く最後の応答を選択する問題。2019年度と同様にさまざまな場面設定で、瞬時に状況を把握するのが難しい設問もあった。また、今年度はより日常的な口語表現が多く登場した。状況の設定や対話の展開を正しく把握し、発話者の意図を汲む練習を積むとともに、口語表現にも慣れていきたい。
第3問(12点):短い対話文(英問英答)・長めの対話文(ビジュアル型)[A:やや易 B:やや易]
A. 対話を聞き、設問の英文に対する答えを選択する問題。状況の設定は比較的把握しやすかった。問16では連絡通路で結ばれた2棟という設定で、日常の状況を図として思い浮かべられると解答しやすかった。
B. 対話と広告の内容から、設問の英文に対する答えを選択する問題。内容は「夏休みのアルバイト選び」(143語)であった。放送文の中で設問に関する情報が順に登場したため、難度は高くなかった。ただし問19では、曜日と時間帯という複数の情報を組み合わせた上で解答する必要があったため、瞬時の判断力が必要となった。
第4問(12点):長めの説明文(内容把握)・長めの会話文(内容把握) [A:やや易 B:やや易]
A. 長めの説明文を聞き、設問の英文に対する答えを選択する問題。テーマは「日本とネパールにおけるお茶と時間の文化」(198語)であった。設問に関連する部分が放送文の後半に入ってから述べられたため、次々と登場する各設問の解答の該当箇所を集中して聞き取る必要があった。英文全体の難度は高くなかったものの、必要な情報を冷静に取捨選択することが求められた。
B. 長めの会話文を聞き、設問の英文に対する答えを選択する問題。テーマは「最近通い始めたギター教室に関する相談」(297語)であった。2019年度の「アニマルシェルター〔動物保護施設〕」よりもテーマとしては身近であったと言える。話の流れが大きく変わることなく、各人の主張も押さえやすいことから容易に答えられただろう。
※語数は放送文のみ
2020年度センター試験「英語リスニング」の攻略ポイント
・形式面で言えば例年通りであり、解答しづらいということはあまりなかったはずだが、特に第1問・第2問では2019年度と同様に高校生には馴染みの薄いさまざまな場面が設定され、状況を正確に把握できないということもあっただろう。また、その表現に馴染みがあるかどうかが、解答のしやすさに直接的に繋がるような設問もあった。日常的な場面で起こるやりとりでよく使われる表現に多くふれることで、知っている英語の表現の幅を広げていきたい。こなれた会話表現を使いこなせるようになることは、今後の共通テストでも大いに役立つだろう。
・第4問A:モノローグ形式の長い説明文が放送されるが、このタイプの放送文は引き続き共通テストでも出題されると考えられる。対話や会話より抑揚の少ないモノローグでも、集中力を保ち、設問文のキーワードを頼りに必要な情報を正しく取捨選択することが求められる。
・第4問B:今後の共通テストでも、このような長めの会話文が扱われると考えられる。発話者の数が増えたとしても、それぞれの立場を把握するためには、会話の展開を追いながら情報をうまく聞き取ることが必要となる。また、扱われるテーマもさまざまであると考えられるため、リスニングに限らず可能な限り多くの題材の文章にふれていきたい。
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