「倫理」2020年度センター試験分析

投稿日時:2020年1月23日
Z会の大学受験生向け講座の科目担当者が、2020年度のセンター試験を分析。出題内容・各問の分析、攻略ポイントを詳しく解説します。
2020年度センター試験「倫理」の出題内容
試験時間と配点
- 時間 / 配点:60分 / 100点
全体の傾向
- 大問数は例年同様4題。小問数は2019年度から1問増加し、37問であった。
- やや細かい知識を問う問題が散見されたが、概ね標準的な難易度である。
- 例年同様、グラフ読取り問題が1問、資料文読取り問題が4問出題された。また、各大問の最終問題が本文趣旨合致問題という形式も例年通りである。
- 3つ(または2つ)の文の正誤の組合せを判断する問題は、2018年度は4問出題されていたが、2019年度は1問に減少し、2020年度は2問となった。また、2018年度に4問出題された8択の問題は、2019年度に引き続き2020年度も出題されなかった。
2020年度センター試験「倫理」の各問の分析
第1問(28点):現代の人間関係 [標準]
・問1の「クワイン」や問3の「ノージック」の思想は、やや細かい知識であり、多くの受験生が苦戦しただろう。
・問2のグラフを使った問題や問4の資料文を使った問題、問10の本文趣旨要約問題は、詳細な知識は不要であり、落ち着いてグラフや文章を読み取れば解答できる。
・問5・問6・問7は、基本的な内容であり、失点は避けたい。
・問8は、時事的な知識を含む問題であったが、概ね標準的な内容である。
第2問(24点):源流思想における旅 [標準]
・問3は、大乗仏教に関してやや細かい知識が問われたため、迷った受験生も多かっただろう。
・問8は、トマス=アクィナスの『神学大全』を使った問題であったが、必要なのは文章の読解力のみであり、知識は不要である。また、問9の本文趣旨要約問題も、正確な読解力をもって解答したい。
・それ以外は、概ね源流思想の重要事項を扱った問題であった。但し、人物とそれに関するキーワードだけでなく、意味や主旨まで正確に理解しておくことが求められた。
第3問(24点):武士道から見る日本の伝統 [標準]
・問2は、日本の美意識に関する問題で、倫理の学習では盲点となりやすい範囲からの出題だった。
・問3は、古代の日本の思想に関する問題であった。標準的な内容であるが、対策が疎かになりがちな範囲なので注意が必要である。
・問5は、とくにアの人物についての知識が細かく、判断が難しかっただろう。
・問6の日本の近代思想に関する問題は、学習が手薄になりやすく、人物も混同しやすい範囲のため、難しく感じられただろう。
・問7は、選択肢中に聞き慣れない用語が含まれたので、とまどったかもしれない。
・それ以外の問題は、概ね標準的な出題であった。
第4問(24点):西洋思想における身体的欲求と理性的欲求 [標準]
・問3は、思想に関するやや踏み込んだ理解が問われ、正確な知識が求められた。
・問4は、カントとヘーゲルに関する問題であった。決して細かい知識が求められたわけではないが、用語を正確に理解しているかどうかが問われた。
・問6では、三者の思想に関する用語の内容を正確に理解している必要があった。
・それ以外の問題は、概ね標準的な出題であり、教科書の記述を隅々まで丁寧に学習しておくことが肝心であった。
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