「世界史B」2020年度センター試験分析

投稿日時:2020年1月23日
Z会の大学受験生向け講座の科目担当者が、2020年度のセンター試験を分析。出題内容・各問の分析、攻略ポイントを詳しく解説します。
2020年度センター試験「世界史B」の出題内容
試験時間と配点
- 時間 / 配点:60分 / 100点
全体の傾向
- 大問4題、小問36問は例年通り。全体的に従来のセンター試験通りの知識を問う問題が多く出題された。
- 2019年度と比べて中国史からの出題が増加し、それに伴って欧米史からの出題が減少したが、全体としては各地域からバランスよく出題された。
- 時代区分はバランスよく出題されたが、戦後史からの出題が多く見られた。
- 地図とグラフを使った問題がそれぞれ1題ずつ出題され、資料を読み取る力も必要であった。
- 正文選択の問題が大半を占め、その他は誤文選択が3問、正誤組合せが4問、単答組合せが3問、年表・年代整序問題がそれぞれ1問ずつ出題された。
- 文化史に関する問題が多く出題されたが、正誤判断のポイントがわかりやすい問題が多かったため、全体の難易度としては例年並みであったといえる。
2020年度センター試験「世界史B」の各問の分析
第1問(25点):文化の繁栄や受容 [標準]
問3の文化史や、問9の南北アメリカに関する問題は、学習が手薄になりやすい範囲であるため、迷った受験生もいただろう。
問6・問7では東西文化の交流について問われ、地域感のつながりを捉え、広い視野で理解していることが求められた。
なお、問5では出題ミスがあり、全員得点となった。
第2問(25点):戦争や対外関係 [標準]
問1・問2では、国家の領土拡大について盲点となりやすい地域が問われたため、難しく感じた受験生もいたかもしれない。
問6・問7・問8・問9では、選択肢に戦後史を含む出題がされた。とくに問6の年代整序問題に関しては、すべての事項が冷戦期から出題されており、対策をしていたかどうかで差がついたであろう。
問8では、選択肢中で「新生活運動」という用語集や教科書に記載されていない用語が出題され、とまどった受験生もいただろう。
第3問(25点):図書館と書物[標準]
問1の年表問題ではイスラーム王朝の成立年について問われ、事象の因果関係をしっかり押さえられていたかで差がついたと思われる。
問7ではイギリスの社会主義者について問われ、正確な知識が求められた。
問8は地図を使った問題が出され、ヨーロッパにおける19世紀前半の地理関係を正しく理解している必要があった。
問9では一部の選択肢で文化史について細かい記述があり、やや難度の高い問題であった。
第4問(25点):人やモノの移動 [標準]
問2では、中国王朝の都を訪れたヨーロッパ人に関する選択肢が見られた。名前と事績を混同しやすく間違えやすい範囲であるため、しっかりと復習しておきたい。
問7では近・現代の東欧について問うている選択肢があり、学習が追いついていない生徒にとっては苦しい問題となった。
問9ではグラフを使った問題が出題された。歴史用語を避けた問題文が使われており、文の内容から歴史的事項を特定する必要があった。しかし、問われている事項は基本的なものであり、難易度は標準であった。
2020年度センター試験「世界史B」の攻略ポイント
・正誤問題は一部細かい内容まで問うている問題が見られるが、教科書レベルの難易度の問題が大半である。共通テストにおいてもこの傾向は変わらないことが予想されるため、まずは教科書レベルの知識を確実に身につけておきたい。
・センター試験では年代が正誤判断のポイントとなる出題が散見された。事象の変化や推移を意識して学習していきたい。
・一部の問題には知識だけではなく、思考力や判断力が必要とされる出題が見られた。ただ、教科書を丸暗記するだけではなく、出来事の背景や影響といった因果関係を意識した学習を行っていきたい。
・共通テストでは「正文を選ぶ」「誤文を選ぶ」「2つの文章の正誤の組合せを選ぶ」などに加え、出題パターンが多様化すると予想される。短時間で問題内容を把握し、的確に処理する力が必要である。
【地図・グラフ問題】
・地図問題は教科書の基本的な内容から問われることが多いが、対策を疎かにしていると、地名はわかっても地図上での位置・領域を判断できないおそれがある。どのような出題がされても落ち着いて対処できるよう、常日頃から地名や領域を地図で確認する習慣をつけておきたい
・グラフを用いた問題においては、そのグラフの、どこがポイントとなるのか、短時間で読み取る必要がある。日々の学習でも、グラフを読み取る練習は欠かさないようにしていきたい。
・共通テストになると、地図やグラフ以外にも資料を用いた出題が多くなることが予想される。教科書や資料集に掲載されている資料は必ず確認するようにしておこう。
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