2026年度「東大物理」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2026年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

「Z会の通信教育」の東大志望者向け講座で、出題内容が的中しました。

2026年度の東大物理(前期日程)の第1問Ⅱは、水平な円軌道に沿って運動する一輪車について考察する問題でしたが、Z会では自転車で水平面上を円運動する添削問題を出題していました。いずれも、一輪車(または自転車)と搭乗者を一体として剛体棒とみなし、摩擦力をふくむ力のつり合いを考えるという、まったく同じテーマです。

とくに東大物理の第1問Ⅱ(1)は、一輪車が円運動の中心寄りに傾く角度θに対するtanθを求める設問でしたが、Z会でもtanを求めさせる、同じ設問を出題しました。「慣性力(遠心力)を考慮する必要のある力のつり合い・力のモーメントのつり合い」という難度の高い考察であることに加え、その後の設問を解くうえでのカギとなる設問であり、Z会で物理の学習に取り組んだ受験生は、自信をもって得点源にできたことと思われます。

 

Z会物理担当者からのメッセージ

2026年度の東大物理は、ここ数年間の中では比較的解きやすかったといえます。とはいえ、考察レベルは非常に高度ですし、限られた時間の中、非常に多様な設問に対応しなくてはなりませんので、解答可能な設問を見極めて確実に得点できた人が合格圏に達したと考えられます。

東大物理の問題は、基礎的な理解を土台として考察できるように工夫された問題ですので、まずは基本事項に対する理解を深め、その上で理解した基本事項をどう適用して問題を解くのかを、良質な問題を解くことで養成していきましょう。良質な問題は、基本の理解が不十分であったことを気づかせてくれるはずで、その気づきによってさらに対応力も身についていきます。

そのための演習問題としては、東大の過去の出題傾向を十分に研究したZ会の通信教育が有効です。無理なくステップを踏みつつ、添削指導による記述力の養成を含め、合格のための力を身につけることができるように構成されています。粘り強い演習を積み重ねて、東大合格を勝ち取りましょう!


今年度の入試を概観しよう

分量・難易度

(昨年度比)

  • 分量:やや減少
  • 難易度:やや易化

出題・解答の形式

  • 基本は記述形式。一部に、穴埋め形式の設問が含まれることがある。
  • 例年、力学、電磁気分野から各1題、その他の分野から1題(2025、2023、2022年度は熱力学、2026年度、2024年度は波動)の計3題の出題。
  • グラフを選択させる問題がほぼ毎年出題される(2026年度は出題なし)。
  • 解答用紙は、1題当たり横35文字、縦25行程度の文字が書けるように罫線が入っている。

2026年度入試の特記事項

  • ここ数年、難易度が高かったが、2026年度は、各大問の前半を中心に、比較的手をつけやすい問題が多く、以前の傾向に近い出題となった。
  • 第2問の電磁気の問題では、設問に「符号を問わない」とあったり、解答がシンプルになるように記号を与えたりと、非常に親切な設定だった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 2026年度は極端に難しい問題はなかったが、試験時間の割に問われる要素が多いので、速く正確な計算力・読解力が要求される。手がつけられそうな問題を選んで、ミスなく解答することが求められた。
  • 第1問は、Ⅱ(1)がカギ。ここで、剛体棒とともに運動する観測者から見た、力のつり合い(力のモーメントのつり合い)を考えなくてはならないことを理解することが、その後の設問を解き進めるためのベースとなる。問題文に「剛体棒」と与えられていることから、「力のモーメントのつり合いについて考えなくてはならない」、それゆえ「慣性力(遠心力)を用いて解くべき」という考えに至るようにしたい。
  • 第2問は、Ⅱ(3)、Ⅲで「導体棒の角速度が一定」の状態では、「導体棒にはたらく力が0」であること、つまり、「導体棒に流れる電流が0」であることについて、定性的にも理解しておきたい。物理では計算(定量的な理解)も大切だが、定性的な理解は、計算の省力化や結論の妥当性の判断の助けになる。
  • 第3問では、Ⅱ(1)で確実に光路差を導出できるようにしておきたい。用いる近似は、ヤングの実験の考察を通じて経験済みだと思うが、その場合の近似と本質的に同じであることを瞬時に見抜けるようにしたい。
  • 2026年度は、難易度、分量、時間を考慮すると、理科一類・二類は6割程度、三類は7割強が合格圏の得点率の目安だと思われる。

さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

第1問:力学 摩擦力を受けて円運動する剛体棒(一輪車)  [標準]

セグウェイのような乗り物に乗って運動する状態について、一輪車と搭乗者を一体とみて一様な剛体棒とみなして考察する問題。設定の細かさに比して、Ⅰは非常にシンプルな設問(最大摩擦力を考慮して等加速度直線運動の運動方程式を立てればよいだけ)だったため、拍子抜けした人もいるかもしれない。しかしⅡ以降は、剛体棒が円運動をするため、剛体棒とともに運動する観測者から見た場合について、力のつり合い(力のモーメントのつり合い)を考えなくてはならない。このため、考慮すべき要素が増え、難易度が高い。Ⅲは、Ⅱと同様に考えればよいが、θとφの2つの角度が与えられており、式の処理が若干複雑になるので、丁寧に対応したい。また、Ⅲ(3)は、勾配が一定のケースについて考えればよいのだが、半径Rの増加とともに勾配が急になるケース、と解釈してしまった人もいるかもしれない。ここでは、「設問Ⅱ(2)およびⅢ(2)の結果にもとづいて簡潔に述べよ」とあるので、シンプルに設問Ⅱ(2)、Ⅲ(2)の設定を比較することで、解答すればよい。

第2問:電磁気 円形レールに沿って回転する導体棒に生じる電磁誘導  [やや易]

円形レールに沿って磁場内で回転する導体棒の問題は、解いた経験がある人も少なくないだろう。そういう意味でも、2026年度の3題の中では、最も取り組みやすかったと思われる。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲはオーソドックスな設問であり、とくにⅠとⅡ(3)で求める値は、大きさだけを考えればよいので(向きの考慮は不要)、比較的短時間で対応できた人が多かったと思われる。Ⅳは、円形レールに沿って回転する導体棒を仮想のコンデンサーとみなすため、戸惑った人もいるかもしれないが、問題の指示に素直に従えば、決して難しくはない。中でもⅣ(2)は例題レベルのコンデンサー回路のスイッチングの設問であり、ここで失点するようでは合格は厳しい。

第3問:波動 組合せレンズによる実像とそのぼやけ  [標準]

まずは単レンズ(凸レンズ)による実像についてレンズの式を用いて考察した後、組合せレンズ(凸レンズ+凹レンズで、凸レンズの役割をする)による実像の結び方について考察し、さらに実像のぼやけ(いわゆるピンぼけ)について考察する流れになっている。レンズの問題を「単にレンズの式を使うだけの計算問題」と捉えているようでは本問題には太刀打ちできず、Ⅰ(1)、(2)すら危うい。しかし、レンズの式とレンズを通過する光の進路の対応を理解できていれば、凹レンズについてはレンズの式を知らなくても、Ⅰ(3)、(4)はクリアできる。Ⅰ(5)は、(1)〜(4)の結果と、「望遠レンズ」についての設問であることを踏まえると、解答しやすくなる。Ⅱは、(1)さえクリアできれば、(2)〜(4)は芋づる式に得点できる。用いる記号や近似式を頼りに、丁寧に導出したい。ちなみに、図3―1に描かれた物体Aは、おそらく安田講堂。

攻略のためのアドバイス

東大物理の要求

要求① 読解力

東大物理は、問題文中に解答のカギとなる設定が記述されていたり、前半部分の設問が後半部分の設問のヒントになっていたりすることがある。問題文の分量が多いことに加え、考察する要素も多く、時間的にも厳しいだけに、効率的な解答のためにも、解法の絞り込みや設問間の関連を意識しつつ問題文を読み取る習慣を身につけたい。

要求② 現象を理解する力

 正解を得るためには、まずは、1)状況を正しく把握すること、次に、2)起こっている現象を、関連する原理や法則の観点から見極めること、そのうえで、3)設問に応じて的確に数式に落とし込むこと、が重要。近年は、2)がカギを握ることも多い。また、3)のあとの正確な数式処理力も、正解への到達には不可欠。

要求③ 適切に記述する力

東大物理では、解答の自由度が高い解答用紙に、設問ごとに適切な解答を記述する必要がある。しかし、スペースには限りがあるため、ムダのない簡潔な解答が求められる。このような解答を作る力は、答案を書く練習を繰り返しながら身につけるしかない。

東大物理 攻略のために

基礎力の完成

まずは、要求②を満たすことを目指そう。学校の授業を大事にして、高校3年の夏までには、基礎事項を一通り完成させておきたい。

レベルUP

東大物理は、とくに設問の後半になるほど、要求②の1)、2)のレベルが高くなり、解答の方針を立てるのも難しくなるが、要求①で述べた読解力が身につくと、解答の見通しがよくなる。このような構成の問題をクリアできるようになるには、良質なだけでなく、難易度としても適切な問題への取り組みが不可欠である。Z会の通信教育では、この点を踏まえた出題をしている。

東大レベルの演習

学習が順調であれば、要求③もある程度は満たされているはずである。最後は、東大型の問題演習に取り組もう。即応した問題を解くことで、さらなる上乗せを期待できる。

Z会でできる東大対策・ご案内





本記事を読んでいただきありがとうございます。記事をX(旧Twitter)でポストしてもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします!


 

「2026年度分析トップ」に戻る

 

【フッターお問い合わせ】20260225~

「Z会の通信教育」では、東大志望者向けのプランを開講中!

無料の資料請求も受付中!