Z会の大学受験担当者が、2026年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。
Z会地理担当者からのメッセージ
2026年度の問題は、第1問と第3問で論述字数が多く、単答問題の出題が少なかったことから、「時間の配分力」がより重視される試験となりました。また、少ない字数で問題の要求通りに解答する「表現力」も、高得点を目指す重要な要素となっています。出題が多く見られた時事的なテーマへの対策としては、日頃から世の中の出来事にアンテナを張り、地理に関連しそうなテーマやキーワードをピックアップし、概要や問題点・具体的な対策をまとめるなど「知識の引き出しを多く作っておく」ことをお勧めします。
Z会の「東大京大プレミアプラン」では、東大地理の出題内容を分析し、事項説明や図表の読み取りをもとにした論述問題を、幅広い分野から多数出題しています。東大をめざすみなさん、Z会と一緒に頑張っていきましょう!
今年度の入試を概観しよう
分量・難易度
(昨年度比)
- 分量:やや増加
- 難易度:やや難化
出題・解答の形式
- 指定字数2行(60字)の論述問題が中心だが、単答問題も出題される。
- すべての大問において、資料(統計表・グラフ、地図など)を利用した問題が出題される。
2026年度入試の特記事項
- 論述総字数は2025年度の1,170字からやや増加し1,200字、論述問題数は21問であった。指定語句を用いた論述問題は1問に減少した。単答問題も10から4へと大幅に減少し、うち1つが計算問題であった。
- 第3問で日本に関する問題が見られ、2024・2025年度では見られなかった地形図が提示された。
- ブルーカーボン生態系やマイクロプラスチックの拡散、水害とグリーンインフラの活用など、時事的な内容を扱った問題が多く見られた。
合否の分かれ目はここだ!
- 例年通り問題数は多いが、問題全体を見渡して解きやすい問題から取り組むなど、時間配分を考えながら解答しきることが重要であった。時事的な問題が多く見られたが、日頃からテレビ・ラジオや新聞の特集などで情報収集を行ったり、統計集の解説を確認したりするなど、幅広い視点からのアプローチにより、解答の糸口を見つけられたかどうかが合否の分かれ目となった。また、単答問題は確実に正解し、得点を積み重ねることも重要である。
さらに詳しく見てみよう
大問別のポイント
設問A サンゴ礁の分布と海山に関する問題。サンゴ礁の分布や形成を地形的、気候的視点から解答する出題であった。過去の東大入試と同様の出題が散見された。
(2)はサンゴ礁の分布を、プレートの動きだけでなくサンゴ礁が生息する気候環境からも考える必要があり、多角的な視点が要求された。(3)は日本の石灰石の純度が高い理由を考える問題であり難しい。日本の地形の形成過程から解答を考えたい。
設問B ブルーカーボン生態系の役割に関する問題。ブルーカーボン生態系は耳慣れない用語であるが、カーボンニュートラル、グリーンカーボン生態系など地球温暖化対策の知識を活用させて考えたい。
(2)は問題文で示された時期から解答は容易である。(3)の計算問題は難しくないが、ケアレスミスに注意したい。
設問C 海洋プラスチックごみによる環境汚染に関する問題。
(1)は北緯20〜40度付近の海流・風・気圧分布などから理由を考えたい。(2)と(3)はセットにして考えると解答の方針が見えやすくなる。
設問A ASEANの貿易に関する問題。ASEANと周辺諸国の工業の現状も含めて考える出題であった。
(1)は中国の輸出品の変化を考えるとわかりやすい。(2)は従来日本からASEANへ輸出されていたものが、現地生産を行えるようになったために輸出が減少したと考えられたかどうかがポイントである。(3)はASEAN諸国の産業に与える影響を答えるのが難しい。オーストラリアが優位となる品目から考えたい。
設問B 中国本土の地域区分と直轄市に関する問題。直轄市の4市については間違えることはないだろう。
(2)は発展途上国の都市問題の例から考えやすい。(3)は重慶の位置や直轄市に指定された年(1997年)から、西部開発の拠点としての役割があることを思い浮かべたい。(4)は「中国本土全体の動向」について、表2−3の人口変化率についても触れることができたかがポイントであった。
設問A 日本の木材自給率に関する問題。近年の日本の林業の現状についても考える出題であった。
(2)は日本の林業の特徴から考えたい。(3)は「燃料材」とあることから用途を想定しやすいだろう。(4)は指定語句が示された問題である。「伐採」が森林の管理のための間伐として説明できたかがポイントであった。
設問B 日本の水害とその対策に関する問題。防災だけでなく減災についても問われる出題であった。グリーンインフラについては教科書などでの用語の掲載は見られないが、リード文などから理解可能である。
(1)は日本の人口や都市が集中する地域を思い浮かべたい。(3)はグリーンインフラ導入時に考慮すべき課題を考えるのが難しい。(4)は市町村ごとの防災対策の例などからも事例を考えたい。
攻略のためのアドバイス
東大地理の要求
要求① 使いこなせる知識力
東大地理では、全分野・地域の基本事項を覚え、使いこなす“知識力”が求められる。なかでも、自然地理(地形・気候・植生など)に関する出題とそれに関連する農牧業・文化・環境問題の出題が多い。これらに対応するため、自然地理に関する知識をとくに確実なものにしておく必要がある。
要求② 多くの情報を読み取る資料読解力
東大地理では、統計資料・地図などから多くの情報を読み取る“資料読解力”を必要とする問題が多い。とくに資料から国名・品名などを判定する問題に正解することは、合格点確保には必須である。また、地形図の読図問題が出題されることもあるので、地形図の基本的な読図力も養っておきたい。
要求③ 簡潔・確実に解答できる表現力
東大地理の出題形式の中心は、60字の論述問題である。指定字数の少ない論述問題に対応するには、問題で要求された条件に対して、簡潔・確実に解答する“表現力”が求められる。それには、「題意を正確に把握し、聞かれていることだけに答えること」「掲載資料・リード文の意味を読み取り、それらを踏まえていることが伝わる表現を解答に織り込むこと」を意識した論述演習が必要である。
東大地理 攻略のために
基礎力の完成
まずは要求①を満たすため、教科書学習を中心に、学習が手薄な分野・地域をつくらないように努めよう。高校3年生の夏までには教科書の全範囲の学習を終わらせておきたい。とくに、東大地理で頻出の自然地理や日本地理(とくに人口・都市・産業)の苦手分野は必ずなくしておくこと。また、要求②を養うため、統計集や地図帳に日頃から目を通す習慣をつけ、統計の持つ意味を理解しておくことが重要である。
東大型の問題への取り組み
入試で総字数1,000字を超える論述問題を75分ほどで取り組むことを想定すると、遅くとも高校3年生の夏までに、論述力養成にも着手したい。なお、東大地理の攻略には、過去問などで傾向を知り、東大型の問題演習を繰り返すことが有効かつ効率的である。高校3年生の秋以降は、Z会の通信教育「東大京大プレミアプラン」で、これまで身につけた要求①・要求②の力を試しながら「複数資料の比較」や単答問題がその後の論述問題と関連する「芋づる式」などの東大型の問題に取り組み、添削指導を受けることで、要求③を磨いていこう。
実戦演習
「素早く」「確実に」資料を判読することで失点を抑え、答案の完成度を高めて得点の上積みができるようにしておきたい。Z会の通信教育「東大京大プレミアプラン」では、入試に対応した出題をしている。制限時間・時間配分や問題に取り組む順序などを意識して要求①~要求③を鍛えつつ、より本番に近い形で得点力のある答案を作成する訓練を積もう。
Z会でできる東大対策・ご案内
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