Z会の大学受験担当者が、2026年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。
Z会英語担当者からのメッセージ
東大英語では、読解・英作文・リスニング・文法など様々な形式で問われる問題を、速く大量に処理しなければならないことが大きな特徴のため、あらゆる設問形式に対応する力をバランスよく身につけることが必要です。また、自由英作文・和文英訳での英語記述のほか、要約・内容説明・英文和訳など日本語で記述する問題も多種多様です。合格点をとるためには、日本語・英語での記述力が鍵を握ります。
Z会の「東大京大プレミアプラン」では、東大で出題されるさまざまな設問形式に対応した、豊富な問題演習を行えるだけでなく、日本語・英語での柔軟な記述力を身につけることができます。また、プロの添削者による個別の添削指導を通して、その記述力を確かなものへ高めることができます。
今年度の入試を概観しよう
分量・難易度
(昨年度比)
- 分量:増加
- 難易度:難化
出題・解答の形式
- 記述式・客観式混合
2026年度入試の特記事項
- 英文の総量が増加し、全体的な問題の難易度も上がった。
- 【2 (B) 和文英訳】例年は与えられた日本文の一部を英訳する問題であったが、英文の一部が日本文で与えられ、「文脈を考慮しながら…内容を英語で表現」するという指示となった。また、和文英訳問題に加えて、選択式の空所補充問題が出題された。
- 【5 長文読解】エッセイの出題が続いていたが、2020年度以来となる小説からの出題となり、語数は2025年度から110語程度増加した。
合否の分かれ目はここだ!
- 例年通り、英語の発信力・受信力・批判的な思考力を試す問題がバランスよく出題された。120分という限られた時間内でこれだけの問題をこなさなければいけないことを考えると、決して時間的余裕はなく、負担感の多い問題構成であることは例年と変わらない。取り組みやすい問題をできるだけスピーディーに処理し、確実に得点した上で、負担感の大きい問題にかける時間を確保したい。
さらに詳しく見てみよう
大問別のポイント
・英文の内容を70~80字の日本語で要約する形式は例年と変わらなかったが、書き出しの指定が追加された。英文の長さについては2025年度の300語強から、2026年度は30語程度増加した。
・英文では、フロイトの著作が愛憎交えながらも人々を惹きつける理由について、彼と交流のあった精神医学者や作家らの言葉も引用しながら述べられている。
・全体を通して抽象的で要旨をつかみにくい内容となっており、苦戦した受験生は多かっただろう。要約に含める部分の選択も容易ではなく、例年に比べるとかなり取り組みにくかったと思われる。
・「人間の持つ認知的特性」についての英文。語数は選択肢を含めて900語弱で、2023年度から緩やかな減少が続いている。
・(ア)の文補充では、空所は例年通り5箇所であったが、不要な選択肢は2025年度から1つ増え、2つであった。ただし、不要な選択肢の数は、2020年度以降、増減を繰り返している。空所前後の流れと、空所を含む段落のトピックを把握するという、文補充の基本的な解き方に従えば、正解に辿り着くのはそれほど大変ではなかっただろう。
・(イ)の語句整序では、並べ換える要素の数は7個で2025年度の8個と同程度であった。並べ換え自体は名詞の単複や動詞の形をもとに組み立てながら解くのが効果的。noticing that 〜 の動名詞が主語となることに気がつければ比較的容易に解くことができただろう。
・What does it mean to be strong? に答える論述型の自由英作文。
・解答の語数は例年通り60~80語。平易な言葉に対して、独自の視点で具体化して定義する力が問われた。
・抽象的な概念を英文で説明する練習をしていた人にとっては取り組みやすかっただろう。
・例年は与えられた日本文の一部を英訳する問題であったのが、英文(イギリスの作家ジョゼフ・アディソンのエッセイからの引用文)の一部が日本文で与えられ、「文脈を考慮しながら…内容を英語で表現」するという指示となった。日本文の直訳ではなく、意味するところを伝えることを意識して取り組む必要がある。
・日本文は長い1文であるため、文構造が複雑になりすぎないよう工夫が必要ではあるが、特に難しい表現などはなく、そう時間を掛けることなく取り組めたと思われる。
・新たに出題された空所補充問題は、文脈を適切に捉えていないと正解は難しいものであった。
・例年通り(A)、(B)、(C)の3題構成で、各5問・選択肢5つという形式も変化なし。
・中問(A)〜(C)は2022〜2024年度と同様にそれぞれ独立した内容の問題であった。2023〜2025年度に引き続きダイアローグ形式の出題があった。
・全体としては、紛らわしい選択肢が少なく、比較的取り組みやすい出題であった。
(A)「ドイツの教育制度」についての講義
・(9)は、大学進学を目指した学校教育の質がおおよそ同じであるということと、Gymnasium が大学に進学するコースであることを結びつけて理解する必要があった点で、やや難しかったと言える。
(B)「イギリスの刑務所」に関するポッドキャスト(ダイアローグ)
・(12) (13)は、 “separate system” と “silent system” という続けて説明されている事柄を、それぞれ区別して理解できたかどうかで正誤が分かれただろう。
・(16)は全体的な論旨を把握していれば正解できる問題である。イギリスの刑務所について、昔だけでなく現代の運用についても批判的に述べている点に注意が必要。
(C)「地衣類 (lichen) 」についての講義
・アカデミックな内容で、注で与えられた語句以外にもレベルの高い語彙が多かったため、リスニング問題としては英文自体の難易度が高かった。
・設問と選択肢については、判断に迷いそうなものはあまりなかった。
・(21)は正誤ではなく全体の主旨を問う問題であることには注意が必要。
・8年連続で、英文中の下線部から誤りを含むものを選ぶという正誤問題が出題されている。英文は5つの段落に分かれており、各段落にそれぞれ5つの下線が引かれているという点も例年通り。
・英文は「日本の能」についてイギリス人の視点から述べられたもの。語数は約660語で、2025年度から200語程度増加した。
・例年、文法・語法面からだけでなく内容面からも誤りの有無を判断する必要がある。2025年度は基本的な文法・語法についての知識があればおおむね正答を導くことが可能であったが、2026年度は文脈から誤りを判断する必要がある問題が増えた。
・「能」を肯定的に捉えている筆者の立場を読み取れれば、文脈上の誤りは見つけやすかったであろう。例年の傾向から文法面の誤りに意識を向けすぎてしまうと正答を導くのに苦戦したかもしれない。文法・語法に関する十分な知識だけでなく、内容を正確に理解する高い読解力が求められる設問であった。
・資本主義によって生きづらくなった社会に対して、休息をとることで抵抗することを提唱した英文。語数は約340語で、2025年度からは70語ほど増加した。
・和訳する下線部は3箇所で、例年と変化はなかったが、(イ)で “unweaving” の内容を補って訳すという指示があった。
・英文の内容は理解しやすく、語彙・文構造もそこまで複雑ではなかったが、訳出しづらい箇所が各下線部に含まれていた。内容を補う指示のあった(イ)の unweaving も、補う内容と和訳への組み込み方で苦戦した受験生が多かっただろう。
・出典はアメリカの短編小説家 Amy Hempel の小説。家政婦の Mrs. Hatano が雇われている家のカーペットのシミにまつわる話。
・記述式問題(和訳・内容説明)+客観式問題の混合。客観式問題は2025年度と同様に下線部の適切な言い換えを選ぶものが多く出題された。
・最後にこの小説の説明として正しいものを選ぶ問題が出題された。そこに書かれている通り、登場人物の感情についての記述は控えられ、読み手が行動や描写から心情を想像する必要があるため、登場人物についての描写を丁寧に拾って解答することが求められた。語彙レベルは高くないが、読み取りは難しかったと思われる。
攻略のためのアドバイス
東大英語の要求
要求① 「基本=易しい」と甘く見てはいけない。
難易度が高い語句はあまり登場しないが、文脈の把握が難しい英文を題材にすることや、基本語の盲点となる用法を設問とすることがあり、基本事項の習得が疎かだと得点を伸ばすことができない。
要求② 高度なリスニング力を身につけよう。
東大のリスニングは、放送時間が長いのに加え、聞き取り問題として扱うには高度な英文を題材にしており、解答には高度なリスニング力が求められる。差がつきやすい問題の1つなので、対策には十分時間をかけておく必要がある。
要求③ 時間管理力を身につけよう。
東大英語の最大の壁は、与えられた試験時間内に膨大な量の問題に適切に解答できるかどうかである。まずは時間を意識して問題を解くこと。大意要約や自由英作文など記述に時間がかかる問題も含まれているので、日ごろから〈答案作成→第三者による添削→指摘された内容をふまえての答案改善〉のサイクルを築いて、質の高い答案を迅速に作成できるようになっておかなければならない。
東大英語 攻略のために
基礎力の完成
文法事項を網羅的に習得した上で、さまざまな英文を正確に読めるようにしておくこと。また、対策にあてた時間が得点に直結しやすい要約・自由英作文の記述対策にも早い段階から取り組んでおきたい。
精度の向上と時間管理
基礎力が身についたことを実感できるようになったら、答案の精度を上げていく一方で、時間管理力をつけるために時間を計って演習し、自分の課題を確実に消化しておこう。
過去問を使った演習
試験本番では必要以上に時間をかけてしまい、時間配分がうまくいかないこともあるだろう。ある程度余裕のある戦略を組み立てられるように、出題構成と問題量に十分慣れておくこと。過去問研究の差が明暗を分ける。
Z会でできる東大対策・ご案内
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