Z会の大学受験担当者が、2026年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。
Z会日本史担当者からのメッセージ
2026年度は、2025年度に続いて全大問で提示文を参考にして解答する問題が出題されました。知識量では差がつきにくく、東大日本史対策をきちんと積んできたかどうかが大きく影響する試験でした。「提示文を使い切る」ことを意識して解答の要素を的確に取捨選択する力、設問の要求を意識して論理的な解答を作成する記述力で差がついたと考えられます。
東大日本史は特徴的な出題形式であり、一般的な論述問題の演習を積むだけでは対応しきれません。提示文型の東大日本史特有の出題に慣れること、さらに頻出テーマについて理解を深めておくことが、合格への近道です。また、各設問での少しずつの失点を防ぐことが、高得点を取るためのカギになります。教科書を精読するなどして、基本的な知識・理解の習得を怠らないことも重要です。
Z会の通信教育「東大京大プレミアプラン」では、東大日本史を解けるようになるために取り組んでほしい問題や、東大日本史の出題形式や設問の傾向、頻出テーマを踏まえた問題を豊富に出題しています。Z会オリジナルの、東大日本史に即した問題演習を積み、個々の解答に応じた添削指導を受けることで、東大日本史への対応力を着実に養っていきましょう!
今年度の入試を概観しよう
分量・難易度
(昨年度比)
- 分量:やや増加
- 難易度:変化なし
出題・解答の形式
- 例年、全大問が論述問題で、総字数は650字前後である。
- 第1問-古代、第2問-中世、第3問-近世、第4問-近・現代というのが基本構成である。
- 提示文型の問題が毎年出題され、年度によっては年表・グラフなどの資料が提示されることもある。
2026年度入試の特記事項
- 2026年度の論述総字数は630字。2025年度から30字増加したが、例年(630〜660字)と同程度。小問の最小字数は30字、最大字数は150字であった。
- 全大問の設問数合計は7問で、2025年度より1問増加した。
- 第1問〜第3問は従来通りの提示文型。第4問は、2025年度に引き続き提示文が出題されたほか、グラフも示された。
- 第4問では昭和戦中〜戦後期が出題され、高度経済成長期までの範囲が問われた。
- 提示文の読み取りと基本的な知識で対応できる問題が多く、全体として標準的な難易度の試験であった。
合否の分かれ目はここだ!
- 東大日本史では、各設問での少しずつの失点を防ぐことが合格へのカギになる。いずれの大問も最低限の基本的な知識・理解を前提とした出題ではあるが、とくに第4問は例年、知識の比重が高く、近・現代史の学習状況によって差がつきやすい。さらに、東大頻出テーマへの理解を深められているかどうかが、問題への取り組みやすさや解答の完成度に影響する傾向にある。
- 2026年度は全大問で提示文型の問題が出題され、例年知識の比重が高い第4問を含めて、知識量では差がつきにくい試験であった。それゆえ、提示された情報を活用して考え、設問の要求に対応した論理的な解答を作成するという、東大日本史特有の提示文型の問題への慣れが出来を左右した。解答をまとめにくい問題も見られたが、過去問演習、東大日本史対策を積んできた受験生にとっては、比較的取り組みやすい試験であっただろう。
さらに詳しく見てみよう
大問別のポイント
150字。律令制下での女官の職務や政治権力との関係について、9世紀前半に見られた変化とあわせて述べる問題。律令制下での女官については提示文(1)〜(3)から、9世紀前半の変化については(4)(5)から読み取っていけばよい。見慣れない観点での問いであるが、提示文の読み取りを中心とした問題であり難しくはない。提示文の情報から「政治権力との関係」とその「変化」を的確に捉えられたかどうかで差がついただろう。
A:30字。提示された『御成敗式目』の条文を踏まえて、『御成敗式目』の制定方針を説明する。知識だけで解答せず、提示文(1)に付された2つの注記に着目して、律令法に言及した解答を作りたい。
B:120字。『御成敗式目』と分国法の関係について、分国法の条文を記した提示文(2)(3)を踏まえて説明する。(2)『塵芥集』は『御成敗式目』を踏襲しているが、(3)『結城氏新法度』は『御成敗式目』の規定を前提としつつ実情にあわせて独自の規定を設けていることを指摘したい。解答の方向性は見出しやすいが、どのように字数を満たすかで迷ったと思われる。
A:60字。清内路村に石高がなかったのはなぜだと考えられるかを説明する。提示文(1)(2)から清内路村がどのような村かを読み取った上で、「石高をつけられた近世の村」との違いを念頭に、解答をまとめたい。
B:90字。18世紀の清内路村の経済面での特徴を述べていく。提示文(3)からは、清内路村に貨幣経済が浸透していることがわかる。「米を生産する農村」の特徴にも触れて、両者の違いを明確にすることを意識して解答をまとめよう。
A:90字。昭和期についての出題である。戦中は多様な職場で働く女性が増加したが、戦後にその動きが続かなかった理由を説明することが求められた。戦中は徴兵により男性の働き手が不足したこと、戦後は復員により男性の労働力が増加したことを想起しよう。
B:90字。高度経済成長期を通じた女性の働き方の変化について、変化をもたらした背景を含めて説明する問題。提示文(2)(3)を参考にして「背景」を考えよう。また、(4)の図から年齢層による女性の働き方の傾向を読み取り、解答に反映させたい。教科書の知識だけでは対応できない問題であるが、提示文を活用すれば十分に対応できる問題であった。
攻略のためのアドバイス
東大日本史の要求
要求① 全時代・全分野についての正確な知識・理解
当然だが、日本史についての知識・理解があることが問題を解く上での前提となる。学習の際には、歴史事項の正確な意味内容や事項の流れに加えて、律令制や幕藩体制といった、各時代を考える際の本質的な事項の理解も身につけることを心掛けよう。
要求② 提示文・設問文の把握
東大日本史では、与えられた提示文や史・資料すべてをうまく活用すること、設問文の要求や意図を読み取ることが重要になる。東大型の問題演習を通じて、提示文を利用し、設問の趣旨にあった解答を作成する力をつけていこう。
要求③ 要求された字数に応じて論をまとめる記述力
東大日本史で出題される字数は30字~180字と幅広い。そのため、設問の要求だけでなく、各設問で指定された字数に合わせて、情報を取捨選択し、論旨をまとめる高度な記述力が必要である。定期的な論述演習で、設問の要求を満たした解答を作成する力を養っていこう。
東大日本史 攻略のために
基礎力の完成
高3の夏休み終了までに一通りの通史学習を終わらせることを目標に、要求①を満たしていこう。また、東大で要求される高度な記述力を身につけるためには、早期から定期的に論述演習を行うことも重要である。Z会の通信教育で、論述の書き方もマスターしてほしい。
東大型の問題への取り組み
東大日本史攻略のためには、定期的に東大型の問題演習を行い、その形式に慣れることが大切である。Z会の通信教育に取り組み、東大日本史で必須となる基本的な知識の定着をはかりながら、要求②・③を身につけていこう。また、過去問演習を積んで、東大型の問題に慣れるとともに、律令制や幕藩体制など東大頻出テーマを把握し、それぞれのテーマに対する理解を深めていきたい。
実戦演習
冬休み以降は、時間を意識した演習も行おう。東大の地歴は2科目で150分という試験時間のため、時間配分がカギになる。本番同様の4題セットの問題を活用しながら、答案作成にかかる時間や論述にかかる時間、問題に取り組む順番などを考えておこう。
Z会でできる東大対策・ご案内
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