2025年度「東大生物」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2025年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会生物担当者からのメッセージ

2025年度の出題も、とくに第1・2問に「時間をかければ解ける」と思わせる問題が多く、時間配分に迷った方が多いのではないでしょうか。「もう少しで解けそう」という問題に次々取り組むと、時間が足りなくなってしまいます。先に確実に解ける問題に取り組む、迷う問題・時間のかかる問題は後回しにするなど、時間を意識しながら解き進めましょう。

東大入試の記述問題では、2行程度(100字弱)で伝えたいことを抜けもれなく、かつ素早く書く必要があります。読み手に意図が伝わる文章になっているか、不安な場合にはZ会の通信教育「東大講座」を活用して、添削指導を受けることがおすすめです。論述力は一朝一夕には身に付きませんから、早めの対策を行っていきましょう!



今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (理科…時間:2科目150分)

  • 難易度は2024年度からやや易化
  • 分量は2024年度から減少

2025年度入試の特記事項

  • 2024年度に比べ、問題のページ数・設問数・記述量は減少したが、難易度はやや易化した。
  • 論述量などが減ったが、第2問の遺伝子・遺伝子型を問う問題でそれなりの時間をとられるので、分量が減ったほどに負担感は減っていない。
  • 各大問の冒頭にはかなりの分量のリード文等があり、文章が長い上に図表も多く、理解に時間が取られる出題である。
  • 要求される知識の程度はばらけている。2025年度は2024年度に続き、基礎的な知識を問う設問が例年より多めである。
  • グラフ作成問題が出題された。グラフ作成は2015年度・2018年度・2023年度にも出題されている。

合否の分かれ目はここだ!

どの大問も、リード文の情報を踏まえて複数の実験結果を統合して考察する設問が多く、時間配分が難しい。見慣れない図やグラフの検討にも時間を取られただろう。解ける設問を見抜いて素早く処理し、考察問題では解答に必要な情報が何かを素早く取捨選択して効率よく理解を進めていくことが、点数を重ねるポイントになった。

2025年度の知識問題は、数は少ないが取り組みやすい設問が多かったので、取りこぼさずに解答していきたい。第2問の遺伝の設問は、時間配分によってはわかった(あるいは思いついた)ことを書いて先の設問に行く必要があっただろう。

なお、2023・2024年度のように多量の論述が課されると、試験時間内に解ききるには、論述の要素と構成をイメージして一度で書き上げる、要素を書き出して検討するのは複雑な設問だけにするといった工夫が必要である。書き直しの時間は取れないという前提で演習を積み重ねておき、標準的な論述なら一度で書ききれるようであると、難度の高い論述の要素を検討したり、丁寧な検討が必要な正誤判断に取り組んだりする時間の余裕を捻出できるだろう。

さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  
センチュウの塩濃度に対する応答の分子機構 [標準]

リード文は四つに分かれており、センチュウの塩走性と走性に関わる遺伝子、またその遺伝子から発現するタンパク質の発現や作用について、掘り下げていく内容であった。各設問の難易度の差が大きいが、A・B・C・Hなどを確実に解答し、G・Jの論述に時間を使えるようにしたい。

 第2問 
Ⅰ:植物の花の性決定と遺伝子型 [標準]

リード文はメロンの花が、めしべのある雌花・おしべのある雄花・両方ある両性花のいずれになるかを決める遺伝子の働きが題材であった。A・Bは基本的な内容である。DはC(表2-1)を手がかりにして考える。


Ⅱ:植物の両性株と雌株・雄株の共存と遺伝 [やや難]

文1ではハマダイコンの雄性不稔遺伝子の雌株・両性株の分布との関わりについて、文2ではモクセイ科の植物で例外的に雄株と両性株が存在する繁殖上のしくみについて取り上げていた。Fの正誤判断、H・Iの遺伝子型の決定に時間をとられる。Fについて、稔性回復遺伝子が働かなければ、雄性不稔遺伝子をもつ個体はすべて雌株になるので、雄性不稔遺伝子をもつ個体の割合よりも雌株の割合が小さい集団には、稔性回復遺伝子によって花粉をつける個体が存在するはずである。

 第3問  
淡水魚の種間関係、作用と相互作用 [やや易]

リード文では河川に生息する淡水魚を巡って、種間関係とダム建設の影響、ダム建設による遺伝的多様性への影響、ニッチが同じ2種が同所的に分布する場合の形態の変化などが述べられていた。

  • B・C・F・G・Jなど、基本的な知識あるいはその具体例への応用を問う設問の多い大問であり、この部分は確実に解答したい。
  • Hは図3-4について、教科書・図説の年齢ピラミッドとは縦横軸(個体数と年齢)が逆であること、また個体数が対数表示でないことに気づきたい。

 攻略のためのアドバイス

東大生物を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 正確な 知識力

ハイレベルな勝負になる東大生物では、知識問題での失点は許されない。教科書と図説を参照する習慣を身につけよう。教科書で太字になっている語については単純に暗記するだけでなく、関連する生命現象とあわせて、自分の言葉で説明できるようにしておくこと。

●要求2● 素早く要点をおさえる 読解力

東大生物は問題の分量が多いので、リード文はすばやく的確に読み解く必要がある。そのためには、内容を箇条書きにして整理する訓練が有効。まずは標準レベルのリード文を読む訓練から始めて、徐々に東大レベルに近づけていこう。また問題演習などで表・グラフをみるときは、大小関係や変化の様子をつかむことを意識しよう。

●要求3●読解力と知識力に基づく 考察力+論述力

東大生物の基本となる、見慣れない考察問題攻略のコツは、実戦演習を重ねる中で、仮説→実験→結果→考察という一連の流れを自分なりに整理するようにすること。また、論述力は自分の手を動かして答案を書き上げることが何よりも大切。独りよがりな答案になっていないか、添削をしてもらうとよい。


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