「東大世界史」2021年度個別試験分析

Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

 

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:2科目150分)

  • 大問3題の構成で、論述問題が中心である。
  • 第1問の論述字数は600字。2019年度に660字に増加したが、2020・21年度は例年並に戻った。
  • 第2問の論述字数は390字。総論述字数としては990字と、2020年度の1080字からやや減少した。
  • 第3問は例年通り単答集合であった。
  • 全体的な難易度は易化したといえる。

2021年度入試の特記事項

  • 2020年度の第1問や第2問では史資料を使った問題が出題されたが、2021年度では史資料は提示されず、オーソドックスな出題形式に戻った。
  • 第1問は中世ヨーロッパから出題された。第2問は近・現代史を中心に出題され、戦後史を扱ったものも見られた。第3問は古代から現代にかけて幅広く出題された。
  • ヨーロッパ史からの出題が多く、中国史からの出題は少なかった。第2問・第3問では、フィリピンや南アフリカなど、学習が手薄になりやすい地域からの出題が見られた。

合否の分かれ目はここだ!

  • 第1問の大論述は、史料が提示された2020年度と変わってオーソドックスな形式に戻った。今まで通り、正確かつ多角的な知識はもちろんのこと、問題文・指定語句から設問の要求を的確に読み取り、論旨が通った解答にまとめあげる論理的思考力・文章表現力が不可欠であった。
  • 第2問は、小論述集合で学習が手薄になりやすい時代・地域からの出題も見られたほか、単答問題ではやや難度の高いものが出題されており、教科書の全範囲の磐石な知識が求められた。
  • 第3問の単答集合は、概ね易しい出題であったため、確実に得点すべきである。
東大世界史を突破するために対策必須の
「論述力」が身につく講座もご用意!



さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  

  • 5世紀から9世紀にかけての地中海世界において3つの文化圏が成立していった過程について問われた。
  • 2020年度のように史料は提示されず、指定語句は2020年度の6つから7つに増加した。ただし、例年の8つからは減少した。
  • 指定語句などを見れば、地中海世界で成立した「3つの文化圏」は容易に想起できるだろう。宗教の問題に着目しながら記述する必要があったが、論じるべき時代と地域は頻出な範囲であるので、解答の方針は難なく立てられたと思われる。
  • 問題文に記載されている様々な場面を具体的に明示しながら、論述を進めていきたい。

 第2問  

  • 身分制度や集団間の不平等をテーマに出題された。小論述のほか単答問題も出題された。
  • 解答の内容に比べて制限字数が長く、書きにくくなっている問題が散見された。いずれの小問も、設問の要求と制限字数のバランスを見極め、臨機応変に対応できる文章表現力が必要であった。
  • 小論述の問題数は減少したが、それぞれの問題の平均字数は増加した。各小問に時間をかけすぎずに手早く処理し、第1問に使える時間を十分に確保できるようにしたい。
  • 問(1)-(a)は基本事項である。確実に得点しておきたい。問(1)-(b)はロシアの農奴解放令の影響についての問題であったが、制限字数が長く、かなり詳細な内容まで書くことが求められた。
  • 問(2)は学習が手薄になりやすいフィリピンから出題された。(a)は、教科書とは異なる切り口から問われたため、難しかったかもしれない。また、(b)は論じるべき範囲も短く、書くべき内容にとまどった受験生も多かっただろう。
  • 問(3)-(b)では戦後の南アフリカについて出題された。戦後史についても抜けのないようにしっかりと対策しておく必要があった。

 第3問  

  • 世界史上の移動をテーマに、オーソドックスな単答問題が10問出題された。
  • やや紛らわしい問い方をした問題も見られたが、概ね平易な内容であり、取り組みやすかった。
  • 問(6)は、当時のフランスの情勢を思い浮かべながら解答したい。
  • 問(9)は、用語としては細かいものではないが、学習の盲点だったと思われる。

 攻略のためのアドバイス

東大世界史を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 第3問は磐石な知識力が必須!
ほとんどが基本的な知識に関する出題であるため、合格のためには9割以上の得点をめざしたい。ただし、文化史や現代史など学習が手薄になりやすい範囲からの出題も見られるので、注意が必要である。

●要求2● 第2問は「正確な知識」「設問の要求に応じた記述」がポイント!
概ね基本的な内容から問われる一方で、知識が不正確だったり設問の要求を意識できていないと、大きく減点されてしまう。日頃から、知識の正確さや、年代や“意義”・“影響”などの設問の要求に正しく応えているかを意識して、端的に解答を作成する練習を積みたい。

●要求3● 第1問は「読解力」「論理的思考力」「文章表現力」を鍛えよ!
東大世界史第1問の攻略には、盤石な知識はもちろん、問題文から要求を読み取る「読解力」、解答を組み立てるための「論理的思考力」、600字でも筋の通った解答を作成する「文章表現力」が必要となる。こうした力は一朝一夕で身につくものではないので、早期から論述対策を始めよう。第三者に添削してもらうことにより、表現力を磨き、文法的にも正しい文章を書けるようにしておきたい。

Z会で東大対策をしよう

Z会東大世界史担当者からのメッセージ
  • 2021年度の問題は、今までの東大で出題されてきたようなオーソドックスな問題でした。オーソドックスな問題でこそ、日々の学習の成果が如実に現れます。日常の問題演習から「読解力」「論理的思考力」「文章表現力」を意識して鍛えておきましょう。
  • Z会の通信教育 本科「東大コース 世界史」では、入試問題と同じ大論述を含む演習問題を豊富に出題しています。さらに、一人一人の解答に応じたきめ細やかな添削指導で、着実に実力をアップすることができます。豊富な問題演習と適切な添削指導で、合格をつかみ取りましょう!

合格から逆算した対策ができる
Z会の「東大コース」で着実に力を伸ばそう!

Z会の大学受験生向けコース[本科]「東大コース」は、東大入試の詳細分析を基に設計。入試本番から逆算して、合格に必要な力を段階的に身につけられる学習プログラムをご用意しています。東大受験のプロであるZ会だからこその教材&指導で、東大合格へと導きます。

[本科]東大コース世界史の詳細はこちら

CVエリア

「Z会の通信教育」では、東大受験生向けの講座を多数開講中!

無料の資料請求も受付中!