「化学」2018年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月9日

2018年度センター試験分析速報

  ■分量と難度の変化(理科(2)…時間/1科目60分・2科目120分/1科目100点・2科目200点) ・全体の難易度は昨年並だが、昨年に比べてミスを誘いやすい問が少なかった。また、マーク数は35→28に減少し、分量は減少した。ただし、昨年の第1問問1のような、瞬時に正解を選べる問題も減少した。全体として負担感はやや軽くなった。 ■今年度入試の特記事項 ・昨年と同様の大問の構成で、第1問・第2問が理論、第3問が無機、第4問が有機、第5問~第7問は高分子化合物の出題だった。2016年度以降、この形式が続いている。 ・高分子化合物について、昨年と同様に必答問題と選択問題の両方で出題された。選択問題の配点は、昨年に引き続き5点であり、理科4科目中で最低である。 ・第1問・第2問の理論分野のマーク数が昨年の15→12に減少し、2016年度以前の分量に戻った。 ・昨年に引き続き、「身のまわりの化学」を題材とした出題が見られた(2018年度は第3問の問1)。 ・計算問題は、どれも計算しやすい値となるよう工夫されている。また、複数段階の計算を必要とするような、ミスを誘いやすい問題が昨年より少なかった。 ・例年出題されていた、実験操作や、実験中に観察される現象に関する問題が出題されなかった。 ・第6問、第7問は選択問題であるが、第6問は知識問題の記述量が少ない代わりに計算問題の計算量が多く、第7問は知識問題の記述量が多い代わりに計算問題の計算量が少ない、という構成になっていた。 ■差がつくポイント ・第2問 問2や、第4問 問4のような、思考力、考察力を要する問題を、どれだけ深く考えられたかで、差がつくと考えられる。 ・計算問題が多く出題されるので、正確に式を立てて計算する必要がある。その際、センター試験では計算しやすい値となることが多いので、効率よく計算を進めて素早く解答の選択肢を選べるかどうかで差がつく。 ・図やグラフから情報を読み取らせる問題が例年出題されるので、そのような問題に対応できる力も必要となる。   ■大問別ポイント  第1問  理論 問1、問2は、化学基礎範囲からの出題であり、失点は回避したい。 問3は六方最密構造に関する出題であるが、丁寧な図解があり、初見の受験生も考える時間があれば正解にたどり着けただろう。 問4は見慣れない問われ方だが、高度な知識や思考力を要する問ではなく、落ち着いて考えれば正解できる。 問5は複数段階の計算を要するが、理系受験生であれば確実に正解したいところ。  第2問  理論 問1は標準的な熱化学方程式の計算であり、正解を目指したい。 問2は反応速度、化学平衡の問題である。反応溶液の混合により、反応物A、Bの濃度が半分になる点、さらに十分時間が経過したあとに、AとBはほぼすべてが反応している点を読み取れたかどうかがポイントであり、思考力を要する良問である。 問3aは、教科書では参考事項として取り上げられることがあるが、知識がなくてもリード文を理解できれば解答は可能である。 問4は、見慣れない電池を題材に取り上げているが、内容そのものは平易である。  第3問  無機 問1は、やや細かい知識を問うている。消去法で正解できる可能性はあるが、近年では珍しく、知識量がものを言う問題である。 問2~問4は、標準レベルの問題。瑣末な知識は必要ない。 問5は、硫酸銅(II)五水和物などで見られる、水和水の脱離に関する質量変化を題材とした問題。類題に取り組んだことがないとやや難しく感じたのではないだろうか。  第4問  有機 問1~問3は、やや易~標準レベルの問題。確実に得点したい。 問4は、計算問題である。反応に用いたアルコールAの質量が与えられていないなど、手がかりが少ない。解法は複数考えられるが、立式に必要な数値を適宜文字でおくなどする必要があり、思考力が必要である。また、反応に関与する水素と、アルコールの量的関係を正確に見極めなければならない。 問5は、サリチル酸に関する問題。問題文に実験操作が記述されているが、問題は通常の学習で解答可能なものである。  第5問  高分子化合物 昨年に続いて、高分子化合物からの必答問題で、それほど高度な知識は必要ない問であった。選択肢の数は、2問とも4つずつと少なかった。  第6問  (選択)合成高分子化合物 問1は知識を要する問題だが、合成高分子化合物としては代表的なものばかりであり、正解したい。 問2は、例年高分子を題材とした計算問題で定着した感がある。式量の計算に少々手間を要するが、難度はそれほど高くない。  第7問  (選択)天然高分子化合物 問1は、受験生を惑わせるような選択肢も見られるが、正解の選択肢はいたって基本的なものである。 問2の計算問題は、糖類の還元性について知識があれば易しい。計算量は、第6問の問2に比べて明らかに少ない。  

高1高2生へのアドバイス

~センター試験攻略のために~ ・早めに化学の個別試験対策に着手しよう。 個別試験対策がそのままセンター試験対策につながるので、高3の夏休みの終わりまでに、一通りの範囲を終えられるような計画を立ててほしい。とくに高分子化合物は手薄になりやすい。高分子化合物についても夏休みのうちに概要をつかみ、知識を整理しておけると理想的である。早期に一通りの学習を終え、入試レベルの実戦問題演習を行うためのペースメーカーとして、Z会の通信教育・本科「化学」の受講をおすすめする。 ・早めにセンター試験の形式に慣れておこう。 高3秋になって焦るのでは遅い。センター試験での得点力を着実につけるためには、早めに形式に慣れておく必要がある。センター試験形式の問題と付かず離れずの距離を保つには、Z会の通信教育・専科「センター攻略演習セット」で月1回の演習がおすすめだ。また、Z会の書籍「センター試験実戦模試 化学」のような予想模試も併せて利用するとよい。

  難関大合格には、センター試験での高得点獲得が必須です。「センター試験の問題は教科書レベルだから何とかなる」「対策は直前でも間に合う」というのは、大きな誤解。センター試験は科目数が多いため、個別試験の勉強と併行して早めの対策が必要です。本講座では、センター試験本番で9割得点することを目標に、必要な力を段階的に身につけていきます。 6教科17科目セットなので、必要な科目すべての対策はもちろん、苦手科目や分野に絞った対策も可能。節目ごとに実力を診断しながら、効率よく得点力アップがはかれます。

▼「センター攻略演習セット」化学担当者からのメッセージ 主に理系の受験生が受験する「化学」では、内容としては標準的でも、問われ方が目新しい問題や、図やグラフから情報を読み取らせるような問題もいくつも出題されています。 難易度は年によってばらつきがありますが、点差がつきやすいのは、このような思考力が必要な問題や、多段階の計算を必要とする計算問題です。 学習内容の十分な理解はもちろん、センター試験に対しても油断せず、センター試験独特の特徴をつかむことを意識してみてください。

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