「東大生物」2020年度個別試験分析

 

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (理科…時間:2科目150分)

  • 分量:大問数は3題。論述量が2018・2019年度よりも増加したため、負担感は増加した。
  • 難易度:難易度は標準的であった。
  • 出題分野:各大問は、分野融合となっていることが多い。
  • 形式:用語、正誤判断、論述が中心である。年度により数学的な分析や解釈を要する問題も出題される。

2020年度入試の特記事項

  • 2020年度の記述問題は、2〜3行程度で論述するものが多かった。
  • いずれの大問でも中問Ⅰ・Ⅱ(・Ⅲ)を通して共通した話題を取り上げていく構成だった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 論述形式で解答する問題が多かったため、例年よりさらに解答に必要な要素を素早く問題文やグラフから抽出し、整理する力が求められる。
  • 第1問は、B・Eなどで迷ってしまった場合は、それらを後に回して第2問以降に時間を割こう。
  • 第2問は、1〜3行の論述を8つこなす必要があった。必要な要素が多くない場合には、無理に文字数を増やす必要はないので、次に進もう。
  • 第3問は、動物の進化と系統や動物の発生に対する知識が必要。対策の度合いがカギとなった。ⅡとⅢでは、解答に手間がかかるEやIを後回しにして、取り組みやすい問題(FやH)をまずは押さえよう。
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  

I  染色体相互転座による細胞のがん化

  • A、Cは確実に解答しておきたい。
  • Dについて、Bで解答したプライマーが一方はY3を鋳型としていることに注意しよう。
  • Eについて、終止コドンを覚えていなくとも、候補b・cでコドンのフレームシフトとアミノ酸の置換が起こらないことに着目したい。

II 白血病細胞に対する分子標的薬の効果

  • Kでは、細胞培養後の細胞数とその分裂速度から、培養開始時の細胞数を求める計算問題が出題された。着実に取り組んでおきたい。
  • Lは、分子標的薬Qの働きを受ける細胞、Kで推測した「分子標的薬Qの影響を受けない」細胞のそれぞれの細胞数を予測し、両方の細胞数を足し上げたグラフを選択する。

 第2問 

I  寄生植物や菌根菌と宿主植物の化合物Sを介した相互作用

  • Dの菌根菌を誘引する活性については、「土壌での安定性を高めた類似化合物」が、作物を栽培する時期にまで残った際の問題点を考えよう。

II アブシシン酸の気孔開閉調節

  • E、Fは確実に解答したい。
  • Gは、図2-3と図2-4の結果からタンパク質の性質を推定する必要がある。どうまとめるかに手間がかかったもしれない。

 第3問  

I  無脊椎動物の進化と系統』

  • A〜Dはいずれも動物の進化と系統、動物の発生に関わる知識が必要な問題だった。
  • Cは確実に解答したい。

II 珍渦虫の系統的推定

  • Eは、下線部の仮説に当てはまる系統樹が「ひとつとは限らない」ため、検討に手間がかかっただろう。
  • Fでは、Cの解答を振り返りながら考察を進めていこう。

III 後生動物の起源

  • Iでは、ガストレアが「原腸胚のように原腸を有する」ことに着目して考察を進めていこう。

     攻略のためのアドバイス

    東大生物を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

    ●要求1● 正確な 知識力

    各大問の前半に知識問題が出題されることが多い。ハイレベルな勝負になる東大生物では、知識問題での失点は許されない。教科書と図説を参照する習慣をつけよう。教科書で太字になっている語については単純に暗記するだけでなく、関連する生命現象とあわせて、自分の言葉で説明できるようにしておくことが重要である。

    ●要求2● 素早く要点をおさえる 読解力

    問題の分量が多いので、リード文はすばやく的確に読み解く必要がある。そのためには、内容を箇条書きにして整理する訓練が有効。まずは標準レベルのリード文を読む訓練から始めて、徐々に東大レベルに近づけていこう。また、解答時間を意識しながらの演習は、スピードアップに効果的。問題演習などで表・グラフをみるときは、大小関係や変化の様子をつかむことを意識しよう。

    ●要求3●読解力と知識力に基づく 考察力+論述力

    基本となる見慣れない考察問題攻略のコツは、実戦演習を重ねる中で、仮説→実験→結果→考察という一連の流れを自分なりに整理する癖を身につけること。また、論述力は自分の手を動かして答案を書き上げることが何よりも大切。独りよがりな答案になっていないか、添削指導を受けて確認するとよい

    対策の進め方

    なるべく早く●要求1●の完成を目指すこと(遅くとも高3の夏を目指そう)。とくに、「生物の進化と系統」は対策が遅れがちになるので、計画的に学習を進めようZ会の本『生物 知識の焦点』は、高校生物の全範囲について、教科書だけでは学べない入試頻出事項を解説しているので、知識力完成に役立つだろう。

    次のステップとして、入試形式の演習問題になるべく数多くあたり、●要求2●・●要求3●のレベルUPを図ろう。典型・頻出問題は一通りこなしておくこと。Z会の通信教育「東大コース」でも、東大の出題レベルに合わせて典型・頻出問題を出題していく。

    最後に、問題の分量が多い東大生物では、なるべく全部の設問に手をつけられるよう、問題を解くスピードも重要になってくる。本番の入試を意識して、時間配分にも気を配った演習を積もう。

    Z会で東大対策をしよう

    Z会東大生物担当者からのメッセージ

    時間をかければ解ける問題が多く、時間配分に迷った方が多いのではないでしょうか。「もう少しで解けそう」という問題に次々取り組むと、時間が足りなくなってしまいます。迷う問題は後回しにするなど、時間を意識しながら解き進めましょう。

    東大入試の記述問題では、100文字程度で伝えたいことを抜けもれなく、かつ素早く書く必要があります。読み手に意図が伝わる文章になっているか、不安な場合にはZ会の通信教育「東大コース」を活用して、添削指導を受けることがおすすめです。論述力は一朝一夕には身に付きませんから、早めの対策を行っていきましょう!

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