2026年度「東大国語」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2026年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

Z会国語担当者からのメッセージ

東大国語は、問題文や設問を読んだだけでは簡単に解けそうに感じても、いざ実際に答案を書くとなると難しいというのが大きな特徴です。現・古・漢いずれの大問でも、〈自らの体験に基づいた主体的な国語の運用能力〉として【問題文を誤りなく読解し、設問で求められる内容を正しく押さえる力】【語彙力・記述力を活用し、読み取った内容を的確にまとめる力】が重視された出題となります。

Z会の「東大京大プレミアプラン」では、東大に対応した文章ジャンルの演習を数多く積み、プロの添削者からのフィードバックを受けることで、東大入試で出題される狭い解答欄に対し、的確に要素を見極めて合格水準に達する答案を作成する力を身につけることができます。良質な問題と添削指導を通じて盤石の実力を養成し、東大合格をつかみ取りましょう!


今年度の入試を概観しよう

分量・難易度

(昨年度比)

  • 分量:やや増加
  • 難易度:文系:変化なし 理系:変化なし

出題・解答の形式

  • すべて記述式。1行約14センチ(書けるのは30~35字程度)の解答欄で1~2行の問題が中心。
  • 第一問の現代文では100字以上120字以内という字数制限のついた記述問題が例年出題される。
  • 出題構成は、【文科】4題(現代文・古文・漢文・現代文)、【理科】3題(現代文・古文・漢文)。理科でも漢文が出題される。また、2006年度以降は現古漢すべてで文科と同じ問題文が出題されている(2015年度は理科のみ漢文の第2段落が省略された)。

2026年度入試の特記事項

  • 第三問の漢文は、近年にない漢詩からの出題となったが、分量が少なくなったことで読解の負担感は減ったといえる。出題としては解答で求められる内容を整理して端的に表現する記述力が問われるものであり、過去問を含め東大国語に照準を合わせた演習を積んでいるかどうかで差がつく、東大国語としては標準的な出題であった。
  • 文系第四問(現代文)は、例年出題される随筆ではなく、小説からの出題であった。小説の出題は、現行の出題構成になってからは2025年度に引き続き2回目である。問題文自体は読みやすいが、解答の方向性に迷う設問もあり、解答の着地点が難しいという点は変わらず、例年の第四問らしい出題であった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 2026年度の古文は、場面展開や人物関係はさほど複雑でなく、問題文の内容がシンプルであるからこそ、正確な読解と解答要素の整理で得点が左右されるだろう。とくに後半部分では、古典常識を踏まえたうえでの和歌の解釈がカギであった。基礎知識を活用しながらの和歌や心情の読解と、古文の学習量でも差がつきやすい出題であったといえる。
  • 全体的に読みやすい文章であった一方、〈問題文に直接書かれている内容に即して解答する設問〉と〈要素を補って解答をまとめなければならない設問〉とで、解答の方向性を見極める難易度が分かれた。前者は、解答の道筋がつかみやすいため、ここで確実に得点を重ねておくこと。後者は、設問条件もてがかりにしつつ、解答の軸を定めるところから取り組む必要がある。問題文の読解自体はそこまで難しくないため、補うべき要素の検討にじっくりと時間をかけられるようにしたい。

さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

第一問(文理共通):現代文(評論) 松本卓也『斜め論 空間の病理学』 [標準]

「精神分析」と「オープンダイアローグ」の空間配置について論じた文章からの出題。

論旨は明確で読み取りやすい文章であるが、「精神分析」と「オープンダイアローグ」/「垂直的関係」と「水平的関係」など、複数の対比構造が入り組んでいるため、文章中の主題の整理は必須となる。文・段落ごとの論理展開を正確につかむことができれば、解答の方向性で迷うことはないだろう。

(一)第三・四段落の内容をもとにまとめる。「水平的関係」「垂直的関係」の要素を確実に押さえられるようにしたい。

(二)傍線部直前の段落の内容を中心にまとめる。幼少期への「転移」も踏まえたうえで、患者の超自我のイメージが変化する因果関係を説明できるとよい。

(三)「オープンダイアローグ」における語りの特徴をまとめる。「ポリフォニー」が表す内容を問題文から抽出して具体的に説明する必要がある。

(四)「オープンダイアローグ」で行われる2種類の対話について、問題文全体の趣旨を踏まえて説明する。「このふたつの対話」が指す内容に注意しつつ、「精神分析」と対比させながら、二つの対話の「協同」がどのような点で重要なのかを説明する。

文章の読解自体はそれほど難しくなく、設問に対し的確に要素を押さえた解答ができるかで差がつく。とくに、対比関係を読み誤ると解答の方向性が大きく逸れてしまうため、解答の際には、設問と対応する問題文の主題を丁寧に確認するようにしたい。

第二問(文理共通):古文(作り物語) 『狭衣物語』 [標準]

平安時代後期の作り物語からの出題。

リード文も参考に、人物関係や場面展開を正確に押さえたうえで、人物の心情を読み取る。後半部分では、古典常識を踏まえた和歌の解釈が求められ、夢枕に立った飛鳥井の女君と狭衣大将のやり取りの読解がポイントとなる。

(一)はいずれも基本単語や重要表現の解釈が中心である。前後の文脈を踏まえつつも一語一語を丁寧に訳出し、確実に得点しておきたい。

文系(二)はまず傍線部が意味する内容を押さえること。そのうえで、傍線部の発言につながる場面の状況を補って解答とする。

文系(三)/理系(二)も傍線部の内容を中心に、場面の状況を補ってまとめるとよい。傍線部直前の「まどろみ」や傍線部の「ありしさま」が補うべき要素のヒントとなる。

文系(四)は「とふ」と「光」の解釈がカギとなる。問題文に直接的には書かれていないため、文脈から「光を見る」とは何を意味しているのかを把握する。

文系(五)/理系(三)は、女君との和歌のやり取りを受けた大将の行動について説明する設問。直前の和歌の下の句を大将の「枕浮き給ひぬべき心地」と結びつけ、〈女君の冥福を祈る〉心情をとらえる。

第三問(文理共通):漢文(漢詩) 白居易「双石」(五言古詩) [やや易]

唐代中期の詩人、白居易の五言古詩からの出題。作者が手に入れた二つの石について述べている。

漢詩の出題は2016年度以来だが、平易で読解しやすい内容であり、いずれの設問も確実に得点したい出題であった。

(一)は例年同様、短めの現代語訳。前後の内容を踏まえて主語・目的語を押さえて解釈することがカギとなる。いずれもオーソドックスな出題。

(二)は第一・二句の内容を踏まえて丁寧に解釈すること。「俗用」「時人」「不取」などの説明がポイント。

文系(三)は内容説明。直前の句の「……天上落」の箇所を踏まえ、「人間」の意を正確に押さえること。

文系(四)/理系(三)は現代語訳。「人皆有所好」の句から、作者が自身のことを省みている点に気づき、「老夫」=作者であると押さえることがポイント。「……否」の疑問表現にも注意。

漢詩からの出題で驚いたかもしれないが、問題文自体は読み取りやすい。落ち着いて、一句一句丁寧に読解することが重要。

第四問(文科のみ):現代文(小説) 仲谷実織「宿雨のあとで」 [標準]

例年出題される随筆ではなく、2025年度に引き続き2年連続小説からの出題だった。夫の転勤に伴って転居してきた「わたし」と九歳の娘を描いた文章。

昭和期の古い小説からの出題だった2025年度に比べ、2024年発表の新しい小説で、読み取りやすい内容だった。しかし、解答の方向性や着地点に迷う設問もあり、従来の第四問らしい出題という点は変わらない。

(一)娘の翔子の置かれた状況を踏まえ、心情を説明する。不足なく解答要素を押さえて説明したい。

(二)わたしと翔子を畑に連れてきた弥生さんの心情を説明する。何をどこまで説明するかの判断が難しいが、場面状況や畑の描写など、問題文から読み取れる事実を確実に押さえること。

(三)傍線部の理由説明。翔子の授業参観をさぼることに決めたわたしの心情を中心に説明する。

(四)傍線部の理由説明。わたしの状況や葛藤を踏まえ、弥生さんの畑の植物の育て方に関する言葉と翔子の状況との対比を押さえて説明することがポイント。

攻略のためのアドバイス

東大国語の要求

要求① 基本的な語彙力

東大国語では、専門的で難解な言葉はあまり出題されない。それだけに、受験生として、そして未来の東大生として必須の基本語彙を、現・古・漢において押さえていることが前提となる。語彙の学習が不足している人は、Z会の書籍『現代文 キーワード読解』『速読古文単語』『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』などを活用し、積極的に補っておきたい。

要求② 文脈を理解する読解力

東大国語でよく出題されるのは、入試頻出のジャンルで、かつ論旨やストーリー展開が明快な問題文である。書かれている内容を自分の主観で歪めずに、制限時間内に正しく読み取れるかが問われている。付け焼刃的な対策では対応できず、さまざまな文章を深く読み込んだ経験の量で差がつくようになっているといえるだろう。

要求③ 狭い解答欄にまとめる記述力

東大国語の設問はすべてが記述式問題であり、解答欄も狭いため、解答すべき内容を適切に言い改めて説明することが求められる。その理由は東大が国語の知識だけではなく、言葉の運用能力を見ようとしているからだ。詳しくは、東京大学のWebサイトで公開されている「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと【国語】」をぜひ読んでもらいたい。

東大国語 攻略のために

記述問題に取り組んで、読解力を磨く

受験生の夏までは、多様なジャンルの文章に触れながら、要求①と要求②・③に対応できる力を同時に鍛えていこう。東大は入試頻出ジャンルからの出題が多いため、Z会の通信教育の「東大京大プレミアプラン」で現・古・漢の頻出テーマを体系的に学習すると効果的である。まずは制限時間を考えずに、読解経験を積みつつ、解答欄を埋められるようになろう。

記述解答のブラッシュアップ

夏以降は東大を意識した問題演習を増やしていき、要求③に対応する力をさらに磨いていくとよい。受験学年の9月からのZ会の通信教育「東大京大プレミアプラン」では、東大対応のオリジナル問題を出題していく。添削指導を受けることで、徐々に解答の質を高めることができるはずだ。

東大型の問題に取り組む

最終的には過去問に加えて、東大型の予想問題にも取り組んでおきたい。問題に取り組む際には、大問ごとの時間配分(現代文:50~60分、古文漢文:25~30分)を意識して解くなど、より本番に近い形での演習をするとよい。
 
「読めるけど書けない」状態からなるべく早期のうちに脱出することが、東大合格のカギとなる。Z会の教材を活用し、さらにZ会によるプロの添削指導を受けることで、東大合格に直結する語彙力・読解力・記述力をバランスよく養成してほしい。

Z会でできる東大対策・ご案内





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