2023年度「東大文系数学」徹底分析 傾向と対策

Z会の大学受験担当者が、2023年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 難易度は2022年度より易化
  • 分量は2022年度よりやや減少

2023年度入試の特記事項

  • 難しかった2022年度に比べ、全体的に易化した。東大文科としても易しいセットである。
  • 関数分野から2題、確率分野から1題、図形分野から1題の出題があり、バランスのとれたセットである。一方、頻出の整数や数列は出題されなかった。
  • 東大文科としては珍しく、空間図形の問題が出題された。同じ題材の問題が2001年に文理共通問題として出題されており、経験があると有利だっただろう。
  • 第3問の確率が理系との共通問題であった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 全体を通して小問による誘導がある大問が多いので、完答できなくても部分点をできるだけ確保したい
  • ほぼ計算をするだけの第1問と第2問、そして基本的な小問である第3問(1)、第4問(1)をまずは押さえたい。その上で、差がつきやすい第3問(2)、第4問(2)で部分点が取れれば合格ラインに到達するだろう。
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大問別のポイント

 第1問  

2次方程式の2解を変数とする分数関数の最小値を求める問題である。

  • 関数の式の対称性から、解と係数の関係を用いる方針はすぐに浮かぶだろう。
  • 最終的にkの分数関数を処理することになるが、このような分数関数の最大・最小問題は東大文科でたびたび出題されており、過去問を研究してきた受験生には易しかっただろう
  • 計算量も少ないことから、短時間で完答し、後半の大問に取り組む時間を稼ぎたい。

 第2問  

「点と直線の距離」を関数とみて、その定積分を求めたあと、その定積分を含む関数の最大値・最小値を求める。

  • (1)は、点と直線の距離を表してしまえば、いわゆる「絶対値つきの関数の定積分」を求める問題となる。あとはaの値によって場合分けが生じることや、絶対値記号をはずす際の符号に注意して計算すればよい。
  • (2)は、実質的に3次関数の最大値・最小値を求めるだけであり、計算量もほどほどであることから、なるべく時間をかけずに完答したい

 第3問  

確率からの出題で、玉を取り出して横一列に並べるシンプルなもの。

  • 2022年度に引き続き漸化式ではないタイプであった。
  • 東大の問題にしては題意がつかみやすく、「n」も登場しないため、取り組みやすい。ただし、場合分けや処理量が意外に多いので、重複やモレに注意して解き進める必要がある。
  • (1)は「隣り合わない」並べ方に関する問題で、東大受験生であればすぐに解けるレベルである。
  • (2)は条件付き確率の問題で、「赤玉どうし、黒玉どうしが隣り合わない並べ方の数」が求まれば、(1)を利用して計算できる。1色ずつ順に考えていくことになるが、どのような方針をとるにしても、慎重な場合分けや処理が要求される

 第4問  

球面上の4点A,B,C,Dの条件から、最終的に四面体ABCDの体積を求める。

  • (1)三角形ABCの面積を求める。使うべき定理は明らかで、方針に迷うところはないだろう。
  • (2)与えられた条件から、四面体ABCDの対称性には気づきやすいが、その対称性をどのように利用するかがポイントとなる。まず、四面体ABCDをある辺に垂直に切ることで2等分でき、切断面を底面とすれば簡単に体積が計算できるという見通しをもちたい。そのために、唯一わかっていない辺CDの長さを求めなければならないが、図形的に方針を導き出す必要があり、差がつくだろう。なお、ベクトルや座標による機械的な計算で体積を求めることもできるが、本問では図形的に考えた方が早い。

 攻略のためのアドバイス

東大文系数学を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 高度な思考力

特別な知識は要求されないものの、 高いレベルの思考力、 発想力を試す問題が多く出題されている。 他の大学では、一見しただけで典型問題だとわかる出題が多いが、 東大では出題の仕方がかなり工夫されており、 すぐには問題の解法が浮かびにくいものが多く、 解法を決める力が求められる

●要求2● 早く正確な処理力

例年、東大の数学では処理量の多い問題が出題され、複数の文字を含むものや絶対値記号を含む問題などが好まれている。 やや高度な出題も見られるが、 処理力重視の問題は、 答えまでの見通しを立てやすいものが多い。 数式処理力の差は直接得点差につながるので、 速く正確に処理できる力を充実させておきたい

●要求3●解ける問題を見極める力

東大の数学では、 一部の易しい年を除いて、例年5割程度取れれば合格ラインといえる量とレベルのセットで出題されている。 つまり、 全問を解く必要はなく、 解く問題の選択が合否を分ける。 過去問演習などをとおして、 完答できる問題を見きわめる力を養っておこう。 また、 完答できない大問でも、 小問単位で解ける問題がある場合には、 もちろん解かなくてはならない。

対策の進め方

まずは、苦手分野があれば、受験生の夏までには克服したい。ただし、基本的なことばかりやっていては、高度な思考力を要求される東大入試には太刀打ちできなくなる。
受験生の秋以降はより実戦的な演習を行い、得点力アップを図ろう。また、答案を作成する力の養成も意識したい。

共通テストが終わったあとは、東大入試に即応した問題で、最後の総仕上げをしよう。解答を作成する時間や、採点者にきちんと伝わる答案作りを意識し、実戦力を完成させよう。
Z会の講座は、上記の各段階に応じて、東大対策を無理なくこなせる設計になっている。Z会の講座を活用して、ライバルに差をつけよう!

Z会で東大対策をしよう

Z会文系数学担当者からのメッセージ

東大入試で出題される問題は、パターンを覚えているだけでは解くことができないようなものも多い。このような問題を本番で解けるようにするためには、やや難易度の高い問題を用いて、日頃から自身で試行錯誤することがとても大切。Z会の本科「東大講座」の問題では思考力が必要な難しい題材も扱っている。
  1)普段からの思考する習慣をつけるため
  2)思考した結果を採点者に正確に伝える力を養うため
そして、なにより「東大合格を勝ち取るため」に、本科「東大講座」の受講を強くオススメしたい。

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