「東大地理」個別試験分析(2022年度)

Z会の大学受験担当者が、2022年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

 

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:2科目150分) 

  • 指定字数2行(60字)・3行(90字)の論述問題が中心だが、問題数が多く、単答問題も出題される。
  • 統計表・グラフ、地図など、資料を利用した問題が多く見られる
  • 論述の問題数、総字数は2021年度に比べて多くなったものの、取り組みやすい問題が多いため、全体としての難度は例年並(標準)である。

2022年度入試の特記事項

  • 論述問題数は2021年度の16問(36行;1,080字)から19問(39行;1,170字)に増加した。また、2021年度に引き続き、4行(120字)の問題は出題されなかった。
  • 単答問題の出題数が17から10に減少した。また、2019年度、2020年度に出題された計算問題は出題されなかった。
  • 第3問で、地形図の読図を扱った問題が見られた。
  • 感染症の発生や新たな街づくりなど、時事的な内容を扱った問題が見られた

合否の分かれ目はここだ!

  • 問題ごとの論述字数は少ないが、問題数が多いため、時間を意識し最後まで解答しきれたか
  • 日本の社会状況について、基本的な知識を土台にしてまとめ上げることができたか。
  • 時事的なテーマや地形図の読図も含め、地理の学習内容を偏りなく対策できたか。
  • 人口が集中する地域や産業が発展する地域など、普段から地図を用いた学習を行うことができたか
東大地理を突破するために対策必須の
「論述力」が身につく講座もご用意!



さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  

「世界規模の事象の分布や変化」をテーマとする大問。

設問A:野生動物に由来する人獣共通感染症の発生リスクに関する問題。

  • 基本的な自然環境の分布や自然災害の影響などの知識をもとに考えたい。
  • 設問を通して、近年のニュースなどで取り上げられた内容が多く見られたため、取り組みやすかったであろう。

設問B:船の航路の変遷に関する問題。

  • 水運の変遷を自然環境と交通の知識の両面から説明する必要があったが、基本的な内容が多く解答はしやすい。
  • (3)は指定語句の使い方が難しかったと思われる。

 

 第2問  

「南北アメリカの経済と社会」をテーマとする大問。

設問A:アメリカ合衆国の州別人口変化率に関する問題。

  • (2)は、エ州については自然環境の特徴をカギとして考えたい。
  • (4)は周辺国が地図に示されていないため難しいが、「政治的理由」がヒントとなるだろう。

設問B:ブラジルの開発による地域的な経済格差に関する問題。

  • (1)の地域名の判定は、後の(2)・(3)の解答に影響するため、慎重に判定したい
  • (2)はマナオスの自由貿易地区に触れられたかどうかが点差が開くポイントとなった

 

 第3問 

「日本の都市と農業」をテーマとする大問。

設問A:千葉県柏市の地形図の読図をもとにした、土地利用の変化や流通、都市開発に関する問題。

  • (1)は基本的な内容であるため、完答をめざしたい。
  • (2)は地形図だけでは判断しづらいため、周辺の施設と工業立地の知識を結びつけて説明できたかが点差が開くポイントであった。
  • (3)は判定が難しいが、③が1975年当時から住宅が立地していること、①は鉄道の新駅の周辺地であり、住宅地などが整備されつつある地域であることなどを判断材料として考えたい。
  • (4)は「スマートシティ」の意味がわからなくても、X市の位置や指定語句から解答の方向性を考えたい。

設問B:日本の果樹生産の変化に関する問題。

  • (3)は第二次世界大戦後の経済発展により高級品であった果物の「需要」が上がったこと、(4)は台湾のWTO加盟がカギとなる問題であったが、いずれも難しかった。

 攻略のためのアドバイス

東大地理を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 使いこなせる知識力

東大地理では、全分野・地域の基本事項を覚え、使いこなす“知識力”が求められる。とくに自然地理や日本地誌は毎年出題されるため、知識を確実なものにしておく必要がある。また、学習が手薄な分野・地域をつくらないように努めよう。

●要求2● 多くの情報を読み取る資料読解力

東大地理では、“資料読解力”を必要とする問題が多い。数値の大小を見るだけでなく、統計の持つ意味も理解するようにしよう。また、地形図の読図問題が出題されることもあるので、地形図の基本的な読み取りもマスターしたい。

●要求3● 簡潔・確実に解答できる表現力

東大地理の論述は問題ごとの字数が少ないため、字数内で問題で要求された条件を確実に解答する“表現力”が求められる。それには、題意を正確に把握し、資料の意味を読み取り、それらへの配慮がわかるような表現を織り込むことが重要である。

また、地理は問題数が多いため、過去問なども使い、時間配分を意識した演習も重要である。

Z会で東大対策をしよう

Z会東大地理担当者からのメッセージ

2022年の東大地理は、基本的な内容が多いものの、複数の学習範囲を組み合わせた問題が多く見られました。基礎知識は早いうちに完璧にしておきましょう。

東大地理は単答問題も多いのが特徴的です。難度はそれほど高くないですが、第2問設問Bのように、後の論述問題に関連することもあるため、確実に解答し、得点につなげましょう。また、東大地理では、現代社会の諸課題をもとにした問題が多く出題されます。ニュースなどから地理に関連しそうなテーマをピックアップし、地図帳なども用いて概要をまとめておくこともおすすめします。

Z会の大学受験生向けコース[本科]「東大コース 地理」では、東大地理の出題内容を分析し、基礎知識の確認や図表の読み取りをもとにした論述問題を、幅広い範囲から多数出題しています。東大をめざすみなさん、Z会と一緒に頑張っていきましょう!

合格から逆算した対策ができる
Z会の「東大コース」で着実に力を伸ばそう!

Z会の大学受験生向けコース[本科]「東大コース」は、東大入試の詳細分析を基に設計。入試本番から逆算して、合格に必要な力を段階的に身につけられる学習プログラムをご用意しています。東大受験のプロであるZ会だからこその教材&指導で、東大合格へと導きます。

[本科]東大コース地理の詳細はこちら

CVエリア

「Z会の通信教育」では、東大受験生向けの講座を多数開講中!

無料の資料請求も受付中!