「東大国語」2020年度東大入試分析

 

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化

  • 全体の分量は、文系・理系ともに昨年度と同程度。
  • 全体の難度は、文系・理系ともに昨年度と同程度。解答に必要となる内容を整理して端的に表現する、東大国語に対応した記述力の有無が反映されやすい出題であった。

2020年度入試の特記事項

  • 【文科】4題、【理科】3題の出題構成に変化はない。すべて記述式で、1行約14センチ(書けるのは30~35字程度)の解答欄で1~2行の問題が中心。第一問(現代文)では100字以上120字以内という字数制限のついた記述問題が出題されるのも例年と同様。
  • 第一問(現代文)では2017年度以降、2行解答欄の説明問題の出題数が3問、全5問の構成が定着している。
  • 第三問(漢文)は、2017~2019年度に引き続き(一)の口語訳の傍線部が3箇所となり、設問数は文系4問/理系3問(枝問も含めると文系6問/理系5問)であった。

合否の分かれ目はここだ!

第三問の漢文は、いずれの設問も解答欄が狭く、答案としてまとめる際の難しさがある。問題文が読みやすいだけに、まとめるべき内容の取捨選択や簡潔な表現など、解答の精度を高めて他の受験生に差をつけることが、合否を分ける鍵となる。東大国語に対応した問題で積んできた記述演習量の差が、答案の出来の差に直結しただろう。

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大問別のポイント

 第1問(文理共通現代文) 出典:小坂井敏晶「『神の亡霊』6 近代の原罪」

  • 「自己責任」「能力主義」の虚構性とともに、近代社会がはらむ階層構造・不平等の再生産構造について論じた文章からの出題。現代社会について一定以上の関心をもった受験生にとっては読みやすい文章であったと思われる。
  • (一)~(三)の2行記述問題では、理由説明問題・内容説明問題ともに余分な内容を盛り込まずに、問題文から読み取れる内容を端的にまとめ直し、傍線部に即して筋道立てて説明する力が求められた。
  • (四)の120字記述問題は、書くべき内容そのものは例年よりもとらえやすかったと思われる。前近代・近代それぞれにおける「不平等」の論理を字数に収まるように説明する点で記述力が問われる。
  • (五)の漢字の書き取りはいずれも基本的な出題であり、満点を確保したい。

 第2問(古文)  出典:『春日権現験記』

  • 中世の絵詞という珍しいジャンルからの出題だが、文法的に複雑な箇所はなく、場面展開の読み取りは容易である。記述解答作成の際には、問題文中に明確に示されている登場人物の行動・心情を押さえてまとめることが重要。
  • (一)現代語に近く文意の取りやすい箇所の現代語訳が問われているので、ここでの失点は避けたい。
  • (二)「何をどのようにしたのか」という設問条件に注意して解答を作成する必要がある。
  • 文系のみ(三)・(四)は、1行の解答欄に収まるように簡潔に解答をまとめる記述力が試される。
  • 読み取りやすい文章であり、問題文に明示されている内容をまとめていけばよい出題のため、ここで時間を使いすぎてしまったり、大幅に失点してしまったりすることは避けたい。

 第3問(漢文) 出典:『漢書』

  • 2018・2019年度の漢文は難度の高い論説的文章からの出題が続いたが、2020年度は逸話的な文章からの出題となり、難度は2017年度に近い。
  • (一)の現代語訳は、いずれも基本的な漢字の解釈だが、解答欄は半行分しかなく10字前後でまとめなくてはならない。a「獄」は〈裁き〉の意で「決獄」は〈判決〉の意、「平」は〈公平〉の意。c「事」は「つかへ(つかふ)」と読み〈仕える〉の意。ⅾ「孝」は〈孝行〉、「聞」は「きこえ(きこゆ)」と読み〈評判である〉の意。
  • (二)は解答欄が1行しかないが、「人物関係がわかるように」という設問の指示に従い、「之」を「孝婦〈=亡き息子の妻〉」、「不肯〈=承知しなかった〉」の主語を「孝婦」と明確にしたい。さらに、「嫁」を〈再婚させる〉、「終」を〈最後まで〉ときめ細かく表現できるとよい。
  • 文系のみ(三)も解答欄は1行しかないが、「之」を「太守(の孝婦は死刑だという判断)」、「弗能得」を〈(翻意)させられなかった〉と表現したい。
  • 文系(四)/理系(三)は、「なぜ尊敬されたのか、簡潔に」とある条件の解釈が難しいが、解答欄が1行半なので、〈雨を降らせてひでりを解消した〉ことを中心にして、その手段として〈後任の太守に孝婦の墓を祭らせ冤罪を晴らしてやった〉ことを含めて解答すればよいだろう。

 第4問(文系現代文)  出典:谷川俊太郎『詩を考える―言葉が生まれる現場』

  • 詩人である谷川俊太郎の随筆からの出題。随筆ではあるが、何かに触れて心情を述べる、という類のものではなく、〈作品〉をつくるという営みとはどういうことかを、〈文章〉を書くという営みと対比しつつ論じる、という論説文に近いものである。それぞれの営みの属性を整理しつつ読んでいけば、内容理解に苦労することはないだろう。設問は、傍線部の理由説明問題2問、内容説明問題2問の4問構成。
  • (一)~(三)は、いずれも〈作品〉をつくる、という営みに関わるもの。解答要素が重なってしまう、と感じるかもしれないが、(一)は「私自身から自由」、(二)は「他者と結ばれている」とあることに留意し、説明の重点を適宜変えたい。(三)は(二)とある程度要素が被ってしまってもやむをえないだろう。
  • (四)は、〈文章〉を書くという営みに関わるもの。(一)~(三)と対比的になるようまとめる。

 攻略のためのアドバイス

東大国語を攻略するには、次の3つの要素を満たす必要がある。

●要求1● 基本的な語彙力
東大国語では、専門的で難解な言葉はあまり出題されない。それだけに、受験生として、そして未来の東大生として必須の基本語彙を、現・古・漢において押さえていることが前提となる。語彙の学習が不足している人は、Z会の書籍『現代文 キーワード読解』『速読古文単語』『文脈で学ぶ 漢文 句形とキーワード』などを活用し、積極的に補っておきたい。

●要求2● 文脈を理解する読解力
東大国語でよく出題されるのは、入試頻出のジャンルで、かつ論旨やストーリー展開が明快な問題文である。書かれている内容を自分の主観で歪めずに、制限時間内に正しく読み取れるかが問われている。付け焼刃的な対策では対応できず、さまざまな文章を深く読み込んだ経験の量で差がつくようになっていると言えるだろう。

●要求3●狭い解答欄にまとめる記述力
東大国語の設問は、すべてが記述式問題である。その理由は東大が国語の知識だけではなく、言葉の運用能力を見ようとしているからだ。詳しくは、東京大学のWebサイトで公開されている「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと【国語】」をぜひ読んでもらいたい。

 

受験生の夏までは、多様なジャンルの文章に触れながら、●要求1●●要求2・3●に対応できる力を同時に鍛えていこう。東大は入試頻出ジャンルからの出題が多いため、Z会の通信教育の本科「東大コース」で現・古・漢の「必修テーマ」を体系的に学習すると効果的である。まずは制限時間を考えずに、読解経験を積みつつ、解答欄を埋められるようになろう。

夏以降は東大即応形式の問題演習を増やしていき、●要求3●に対応する力をさらに磨いていくとよい。受験生の9月からのZ会の講座では、Z会の通信教育・Z会の教室・Z会の映像、いずれも東大対応のオリジナル問題を出題していく。添削指導を受けることで、徐々に解答の質を高めることができるはずだ。最終的には過去問に加えて、東大型の予想問題にも取り組んでおきたい。問題に取り組む際には、大問ごとの時間配分を意識して解くなど、より本番に近い形での演習をするとよい。
 「読めるけど書けない」状態からなるべく早期のうちに脱出することが、東大合格の鍵となる。Z会の教材を活用し、さらにZ会によるプロの添削指導を受けることで、東大合格に直結する語彙力・読解力・記述力をバランスよく養成してほしい。

Z会で東大対策をしよう

Z会東大国語担当者からのメッセージ

2020年度の第一問(現代文)の文章は、〈学校教育による階層構造の再生産〉を当事者たる受験生に突きつけ考えさせる点が非常に印象的な出題でした。
2017~2019年度に出題された文章に通底する〈学問・科学に携わる者に要求される基本的な視座や認識〉というテーマと同じく、東京大学で学ぼうとする学生にどのようなことを考えてほしいのか、という大学からのメッセージを強く感じる出題といえます。
・2020年度の東大国語では、いずれの大問でも出題の本質的な部分に関する傾向の変更はありませんでした。【問題文を誤りなく読解し、設問で求められる内容を正しく押さえる力】【語彙力・記述力を活用し、読み取った内容を的確にまとめる力】が、これまでと同様に重視された出題だったといえます。
東大国語対策では、東大の過去の出題傾向を十分に研究し、それに対応した問題演習を積むことが非常に重要です。Z会では長年の入試分析をもとに、本科「東大コース」をはじめ、東大合格までの道筋を支える講座を多数用意しています。良質な問題と添削指導を通じて盤石の実力を養成し、東大合格をつかみ取りましよう!

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