「東大地理」2020年度個別試験分析

 

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (地歴…時間:2科目150分) 

  • 指定字数2行(60字)・3行(90字)の論述問題が中心だが、問題数が多く、単答問題も見られる。
  • 統計表・グラフ、地図など、資料を利用した問題が多く見られる。
  • 論述字数が多くなったものの、題意をつかみやすい問題が多いため、全体としての難易度は昨年並(標準)である。

2020年度入試の特記事項

  • 日本地誌の知識を必要とする出題が多く見られた。
  • 論述問題数は2019年度の14問(31行;930字)から18問(38行;1140字)大幅に増加した。また、4行(120字)の問題が出題された。
  • 単答問題の出題数が15から9に減少した。第1問で地形断面図の水平方向に対する高度方向の拡張率を計算する問題が見られた。
  • 第二次世界大戦後の社会経済状況やドイツ統一など、歴史的出来事の知識を土台とする問題が見られた。

合否の分かれ目はここだ!

  • 問題ごとの論述字数は少ないが、問題数が多いため、時間を意識し最後まで解答しきれたか。
  • 日本地誌に関する基礎知識を押さえられていたか。
  • 知らない事項が出題されても、分かることから知識を引き出すことができたか。
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  

「日本列島の地形と自然資源利用」をテーマとする大問。日本地誌の知識をもとに解答する問題が多く見られた。

設問A 日本の地形に関する問題。断面図の場所は問題文からも推測できる。日本地誌の基礎知識を応用できたかどうかで差がついたと思われる。
(5)はまず断面の距離を考える必要があり難しい。他の場所から類推するなどの対応力が求められた。

設問B 5つの県の土地利用に関する問題。見慣れない統計であるが、県ごとの特徴をつかんでいれば解答できる。
(2)は香川県→讃岐平野→水の確保 とすぐ思いついてほしい。

 第2問  

「世界の食料の生産と消費」をテーマとする大問。

設問A 動物性食品の割合の変化に関する問題。国名が示してあるため、考えやすかったと思われる。
(3)120字の問題であるが、「民族構成」から「食文化」を説明するなど、指定語句から何を書けばよいのか推測がつきやすい。

設問B 東南アジアの米の生産と自給率に関する問題。後の問題に関連するため、国判定は慎重に行いたいが、生産量と自給率からおおよその見当はつくと思われる。
(2)マレーシアの米生産はなじみがないため難しいが、主要産業と関連させて考えられるかがポイントであった。
(3)I期で過不足がマイナスであったことにも触れたい。

 第3問 

「ドイツと日本の人口の動向」をテーマとする大問。
設問A ドイツの州別人口増減率の推移の表をもとにした問題。見慣れない統計であるが、内容はそれほど難しくない。
(1)はポイントとなる都市がわかりやすいため、完答をめざしたい。
(2)は年代からドイツ統一を思い出せたかどうかがポイントであった。
(3)は「サービス経済化」の意味が分かれば解答しやすい。経済格差の縮小と情報技術の発展が結び付けられたかどうかがポイントであった。
設問B 日本の三大都市圏の転入・転出の推移を示したグラフをもとにした問題。東大では頻出のテーマである。
(2)90字の論述であるため、東京の一極集中だけでなく、大阪圏と名古屋圏の違いについても触れられたかどうかがポイントであった。

 攻略のためのアドバイス

東大地理を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

●要求1● 使いこなせる知識力
東大地理では、全分野・地域の基本事項を覚え、使いこなす“知識力”が求められる。とくに自然地理や日本地誌は毎年出題されるため、知識を確実なものにしておく必要がある。また、学習が手薄な分野・地域をつくらないように努めよう。

●要求2● 多くの情報を読み取る資料読解力
東大地理では、“資料読解力”を必要とする問題が多い。数値の大小を見るだけでなく、統計の持つ意味も理解するようにしよう。また、地形図の読図問題が出題されることもあるので、地形図の基本的な読み取りもマスターしたい。

●要求3●簡潔・確実に解答できる表現力
東大地理の論述は問題ごとの字数が少ないため、字数内で問題で要求された条件を確実に解答する“表現力”が求められる。それには、題意を正確に把握し、資料の意味を読み取り、それらへの配慮がわかるような表現を織り込むことが重要である。また、地理は問題数が多いため、過去問なども使い、時間配分を意識した演習も重要である。

Z会で東大対策をしよう

Z会東大地理担当者からのメッセージ
  • 2020年の東大地理は、論述字数が多く、対策が手薄になりがちな日本地誌からの出題が多く見られたため、解答に苦心した受験生が多かったと思われます。日本地理は東大では頻出の分野のため、中学校で使用した教科書や参考書なども活用し対策しましょう。
  • Z会の通信教育の本科「東大コース 地理」11月号において、東大地理第3問設問B(3)との問題的中がありました! 本科「東大コース 地理」では、東大地理の形式を分析し、基礎知識の確認や図表の読み取りをもとにした論述問題を、幅広い範囲から多数出題しています。東大を目指すみなさん、Z会と一緒に頑張っていきましょう!

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