「東大物理」2021年度東大入試分析

Z会の大学受験担当者が、2021年度前期試験を徹底分析。長年の入試分析から得られた知見もふまえて、今年の傾向と来年に向けた対策を解説します。

 

今年度の入試を概観しよう

分量と難度の変化 (理科…時間:2科目150分)

  • 要求される物理的な思考力は2020年度と同様に標準的なもので、大きな変化はない。
  • 2020年度に比べて計算力を要する設問がやや増加した感があるが、全体の分量としては2020年度並といえる。
  • とはいえ、例年同様に時間を考えると完答するのは難しい

2021年度入試の特記事項

  • 2019年度以降は穴埋め形式の設問が続けて出題されている。
  • 2020年度に引き続いて原子分野からの出題があった。ただし、2020年度同様に原子分野の深い知識は不要であった。

合否の分かれ目はここだ!

  • 東大入試の対策をきちんと立ててきた人にとっては、手がつけられないような問題はなく、その中で自分にとって得意な分野、容易に解答できそうな設問を選んで手をつけていくのが得策である。2021年度は2020年度同様に、標準的な問題のセットであったが、時間に比して分量が多いのは例年と変わらず、上手に時間配分しながら得点を積み上げることが合否の秘訣であろう。
  • 比較的解きやすかったと思われるのは各大問の前半部分で、これらを確実に得点できたかどうかが合否の分かれ目になっただろう。また、第3問Ⅱは選択肢が与えられた定性問題で、前問まででつまずいても、あきらめずに解く姿勢が得点につながっただろう。
  • 全体では6割程度の得点を目指したい試験であった。
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さらに詳しく見てみよう

大問別のポイント

 第1問  力学 [標準]
ブランコの力学

  • Ⅰは教科書レベルの基本問題でミスできない。
  • Ⅱも基本的な問題で、力学的エネルギー保存則と運動量保存則から容易に解ける。
  • Ⅲが本問のヤマで、(1)は力学的エネルギー保存則を、(2)はこれに面積速度一定の法則(ケプラーの第2法則)を組み合わせればよいことがわかる。(3)は(2)の結果からすぐに求まるが、数式が煩雑なのでミスを避けたい。(4)は、θ’=0の場合を扱うので計算処理はラクで、(2)ができていれば難しくない。(4)までできれば、(5)は容易であろう。
  • Ⅲ(2)、(3)での計算処理が本問のポイントであろう。

 第2問  電磁気 [標準]
コンデンサー回路、LC共振回路

  • Ⅰはコンデンサーの基本的な問題で、ミスのないように得点したい。
  • Ⅱは、直列接続された2つのコンデンサーの中間部分に電荷が取り残された状況である。(1)では、導線aを外しても電荷が変化しないことはわかるだろう。(2)は、電荷が孤立していることを考慮して、電荷保存則と電圧の関係式を立てればよい。安易にα倍と考えてしまわないこと。
  • Ⅲは、コイルをつないだ場合の共振回路の問題である。東大レベルなら、電荷、電流に関する式を本格的に立式して解きたくなるが、周期的に電流が変化することを前提にしているので、電流や電荷が正弦関数的に変化することから解き進めればよい。電流や電荷の変化の様子や振動回路でのエネルギーの移り変わりをきちんとイメージできていれば、煩雑な計算は不要であったろう。

 第3問  波動、原子 [標準]
光ピンセットの原理

  • 見たことのない問題で面食らった人も多かっただろうが、光子の運動量とエネルギーの関係式は与えられており、基本的な原理がわかれば、原子分野の知識は不要で、実質的には光の屈折の問題といえる。
  • Ⅰが基本原理を考察する設問で、設問の流れに沿って考えていけばよい。計算もそう面倒ではなく、またここでミスするとⅡ以降に影響が及ぶので、着実に解いておきたい。
  • ⅡはⅠができていれば問題なく解答できるが、光ピンセットの原理ということを考えれば、(1)、(2)は直感的に解答できる。
  • ⅢはⅡの考察を応用したものだが、微粒子内への屈折光線の幾何的な考察が要求される。落ち着いて考えれば難しくはないが、時間に追われる中で最後まで解き切るのは難しかっただろう。

     攻略のためのアドバイス

    東大物理を攻略するには、次の3つの要求を満たす必要がある。

    ●要求1● 読解力

    丁寧な説明や誘導が東大物理の特徴の一つ。現象や原理の説明が長い文章で示されることがある。長い文章の中には、解答のヒントが含まれているものである。したがって、東大物理の攻略には、限られた時間で文章から現象を正確に読み取る力が不可欠である。

    ●要求2● 現象を説明する力

    答案を作成するためには、問題文から読み取った現象を教科書レベルの原理、法則を用いて説明する力が必要である。まずは、基本事項の理解を深めることを目指そう。

    ●要求3●適切に記述する力

    東大物理では解答の自由度が高い解答用紙に、設問ごとに適切な解答を記述する必要がある。適切に解答する力は、答案を書く訓練を繰り返しながら身につけるしかない。

    対策の進め方

    まずは、●要求2●を満たすことを目指そう。独学が困難な物理は、授業を大事にしたい。高校3年の夏までには、基礎事項を完成させたい。Z会の本『物理 解法の焦点』は、高校物理の全範囲について、教科書だけでは学べない実戦的な解法を身につけることができるので、早い時期から取り組むことをおすすめする。

    次の段階として、基本事項を東大レベルの問題に応用できる力を高めよう。そのためには、問題の意図を的確につかむこと、つまり、●要求1●を満たす必要がある。このためには、良質な問題を数多く解いておきたいZ会の通信教育[本科]「東大コース」では、読解力を養うのに最適な良問を提供している。

    ここまでの学習が順調であれば、●要求3●もある程度は満たされているはずである。最後は、東大型の問題演習に取り組もう。即応した問題を解くことで、さらに数点の上乗せを期待できる

    Z会で東大対策をしよう

    Z会東大物理担当者からのメッセージ

    2021年度の東大物理は難問といえるような出題はなく、2020年に引き続いてどちらかと言えば標準的な出題でした。とはいえ、見慣れない設定の問題もあり、基本を正確に理解していないと合格点に達することは難しく、また時間内にすべてを解き切ることは困難です。あたりまえのことですが、できる設問を見極めて確実に得点できた人が合格できたと考えられます。特に、各大問とも前半部分は比較的易しめですので、ここをミスせずに解答できたかどうかが合否に直結したと思われます。

    東大物理の問題は、基礎的な理解を土台として考察できるように工夫された問題ですので、まずは基本事項に対する理解を深め、その上で理解した基本事項をどうつなげて問題を解くのかを、良質な問題を解くことで養成していきましょう。良質な問題は、基本の理解が不十分であったことを気づかせてくれるはずで、その気づきによってさらに問題への対応力も身についていきます。

    そのための演習問題として、東大の過去の出題傾向を十分に研究したZ会の通信教育[本科]「東大コース」が非常に有効です。本科「東大コース」では、無理なくステップを踏みつつ、添削指導による記述力の養成を含めて合格のための力を身につけることができるように構成されています。

    また、Z会の通信教育[特講]「過去問添削」では、本番のシミュレーションとして実際の東大物理の問題を演習できます。演習を繰り返すことで、本番であわてることなく取り組んで、合格を勝ち取りましょう。

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