更新日:2022年6月30日
執筆:中学受験コース教材作成者・M
中学受験の世界では、男子御三家と呼ばれる3つの学校があります。各校とも高い人気を誇り、ハイレベルな受験生が集う最難関私立中学です。
今回は、そんな男子御三家をテーマに、御三家の入試で求められる力や合格のために何を対策すれば良いかについても解説。
「御三家って初めて聞いた…」という方から「御三家の受験を考えている」という方まで必見の内容です。
男子御三家は、
開成・麻布・武蔵
中学受験で御三家、とりわけ男子御三家といえば、一般的に開成・麻布・武蔵の3校をさします。
3校とも伝統・実力を兼ね備えた人気の高い中学校です。
人気だけでなく入試の難易度もトップクラスであり、多くのハイレベルな受験生が集うことから、最難関中学としても有名です。
ひとえに男子御三家といっても、私立の中高一貫校ということは共通していますが、校風や教育方針は様々で、各校とも独自の教育を実践しています。
開成中学校
創立:1871年(明治4年)
東京都荒川区にある中高6年一貫校※。※高校入試も実施されており、高校からの入学も可能。
毎年東大合格者を輩出するなど、全国屈指の進学校として名高い開成。
その学校名や「ペンは剣よりも強し」という言葉をモチーフにしたペンと剣の校章は、一度は見たこと/聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
麻布中学校
創立:1895年(明治28年)
東京都港区にある中高6年一貫校。
自由闊達の校風を伝統とし、自主・自立の精神を大切にする学校です。
自由闊達(=細かいことにこだわらず、広い心で思うままに振る舞うさま)の言葉があらわすとおり、「麻布といえば自由」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
武蔵中学校
創立:1922年※(大正11年)※日本最初の旧制七年制高等学校として開校。中学校の設置は1949年(昭和24年)。
東京都練馬区にある中高6年一貫校。
「自ら調べ自ら考える力ある人物」などの3つの建学理念『三理想』のもと、近年では「独創的で柔軟な真のリーダーとして、世界をつなげて活躍できる人物」の育成を目指したグローバル教育を実践。第二外国語の授業も行われています。
男子御三家の
受験科目と配点
算数の出来が合否を左右する
男子御三家ですが、いったいなぜ最難関中学と呼ばれるのでしょうか。
そんな男子御三家の入試ですが、特に算数が非常に重要な科目になっています。
まずは、各学校の入試問題の科目と配点を見てみましょう。
(2022年度)
学校\科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 |
---|---|---|---|---|
開成 | 85点 | 85点 | 70点 | 70点 |
麻布 | 60点 | 60点 | 40点 | 40点 |
武蔵 | 100点 | 100点 | 60点 | 60点 |
つぎに、入試結果を見てましょう。
(2022年度)
学校\科目 ※表の()内の割合は得点率。 |
国語 | 算数 | 理科 | 社会 |
---|---|---|---|---|
開成・合格者平均点 | 45.6点(53.6%) | 60.7点(71.4%) | 54.0点(77.1%) | 54.6点(78.0%) |
開成・受験者平均点 | 38.8点(45.6%) | 50.7点(59.6%) | 48.6点(69.4%) | 51.0点(72.9%) |
武蔵・合格者平均点 | 67.7点(67.7%) | 70.9点(70.9%) | 35.7点(59.5%) | 43.7点(72.8%) |
武蔵・受験者平均点 | 61.5点(61.5%) | 51.4点(51.4%) | 33.3点(55.5%) | 39.3点(65.5%) |
※各学校のホームページで入試結果を公表している場合があります。今回は、開成中学校と武蔵中学校のホームページより引用。
・開成中学校(https://kaiseigakuen.jp/admission/exam/result/)
・武蔵中学校(https://www.musashi.ed.jp/admission/data.html)
これらのデータから、以下のことが分かります。
・配点は、国語・算数 > 理科・社会
・受験者平均点と合格者平均点の差がもっとも大きい(=出来が合否にもっとも影響する)科目は、算数
算数の合格者平均点の得点率は7割を超えていますが、これは問題が易しい、というわけではありません。
「男子御三家に挑戦する」ということは
「受験算数に真摯に向き合う」ということです。
まずはその覚悟を問いましょう。
男子御三家の入試で
求められる力
「何を答えるか」ではなく
「どう伝えるか」が求められる
「入試問題は学校からのラブレターだ」というフレーズを聞いたことはあるでしょうか。
これは、「各学校が求める人物像を、入試問題に思いを乗せて、受験生に届ける」ということを表した言葉です。
入試の出題傾向は、本当に各学校ごとに特色が出ています。入試問題に取り組んでいると、学校が欲しいと思っている人物像を感じることができます。
ですから、開成・麻布・武蔵のそれぞれで特色があるのですが、今回は、男子御三家の3校が共通して求めている重要な能力をお伝えしたいと思います。
それは、自分が考えたことを、過不足なく分かりやすく伝える能力。
男子御三家の出題形式は、穴埋め問題や記号選択問題ではなく、記述問題が中心です。
記述問題で問われていることは「なぜそうなったのか・なぜそう思ったのか」という「考え方」のプロセスであり、自分の考えを上手く伝える能力を受験生に求めています。
3.式や図や計算などは、他の場所や裏面などにかかないで、すべて解答用紙のその問題の場所にかきなさい。
このような「自分の考えを分かりやすく伝えられる能力」は国語でも試されています。それは、国語の出題からも分かります。
開成:「○○文字以内で説明しなさい。」というように字数が指定され、解答用紙のマス目の中に答える。
麻布:「説明しなさい。」のみで字数制限はなく、解答用紙の枠内に答える。
武蔵:「説明しなさい。」のみで字数制限はなく、解答用紙に枠すらない。
国語で問われている能力も、算数で問われている能力も、本質的には変わらないと言えるでしょう。
男子御三家の対策
普段から「自分の考えを伝える」経験を積む
男子御三家の入試で共通して求められているのは「自分の考えを相手に伝える能力」と説明しましたが、
こうした能力を伸ばすためには、普段の勉強から答えが合っている/間違っているに一喜一憂するのではなく、以下のことを意識する必要があります。
・自分の言葉で他人に説明できるほど、その問題を理解できているか確認する
・自分の書いた文章を客観的に見直し、正しく伝わるものになっているか確認する
それは一人でできることではありませんので、保護者の方から「この問題はどうやって解いたの?」とコミュニケーションをとってみるとよいでしょう。
子どもにとっては「自分の考えを伝える」ことは、慣れていないと気恥しいものですから、
男子御三家対策にオススメのZ会教材・サービス
Z会の教材・サービスでは、男子御三家の入試で求められる「自分の考えを伝える能力」を鍛えることができます。
1.「Z会の通信教育 中学受験コース」
【対象学年】
・3~6年生
【ポイント】
・男子御三家の入試でメインの出題形式である記述問題の演習にしっかりと取り組める。
・提出課題※で、答案を添削者に見てもらうことで「伝える能力」を徹底的に鍛えられる。
※「中学受験コース 本科 要点集中プラン」には提出課題はありません。
2.「Z会×エクタス 最難関中学受験プレミアム講座 オンライン学習コース」
【対象学年】
・4~6年生
【ポイント】
・筑駒・開成に高い合格実績を誇る御茶ノ水校の授業を自宅で受講できる。
・予習なし、宿題なし、授業内完結の講座で、最小の負荷で最大の成果が得られる。
今回は、男子御三家について解説しました。
3校の特徴や入試問題でどんな能力が求められるのかが分かったのではないでしょうか。
男子御三家に挑戦したいという方は「自分の考えを表現すること」を普段から意識して学習しましょう。
次回は、女子御三家について解説予定です。
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