更新日:2022年12月23日
執筆:中学受験コース教材作成者・N
「社会って何年生から対策を始めるのが良い…?」「何か良い学習法はある…?」
暗記科目と言われる社会ですが、いざ学習を始めようとすると意外と気になる点は多いものです。
今回はZ会小学生向けコースの社会教材の担当者から、社会の勉強法について解説します。
中学受験「社会」の基本
最近の問題は「暗記」だけじゃない?
社会はよく暗記科目だと言われます。
大学入試改革を受けて、中学入試でも「思考力」「判断力」「表現力」を問う問題が増えてきています。
社会にはどのくらい力を入れる?
全教科の総合点で合否が決まる中学受験において、社会をどう捉えるべきでしょうか。
社会よりも算数の学習を優先するお子さまがほとんどだと思います。「算数の得意不得意で合否が決まる」はよく言われますし、社会よりも算数のほうが配点が高く設定されている学校があることからも、算数の重要性が高いのは事実です。
とはいえ、算数の1点も社会の1点も同じ1点です。1点で合否が分かれることもある中学受験においては、社会の対策もしっかりと行っておく必要があります。
出題される問題によって得点が安定しにくい国語・算数で多少点を落としたとしても、社会で高得点を取っておくことで、それを補える場合もあります。
オススメの学習順
社会は大きく分けて、地理・歴史・公民の3分野から出題されます。
各分野の学習を行う時期・順番は以下がおすすめです。
3・4年生:地理 → 5年生:歴史 → 6年生:公民、(夏休み頃から)問題演習
中学受験を意識して学習を始める場合、3年生・4年生頃から、まず身近な地域(市町村や都道府県)について学習し、気候や地形、農業や工業を体系的に学習します。
その後、5年生の半ばから歴史を、6年生になったら公民を学習し、夏休みごろから本格的に問題演習を行うことをおすすめします。
小学校の授業では5年生で地理、6年生で公民・歴史と学習を進めます。
① 一通り学習した後、問題演習の中で知識・理解の再確認ができるので、学習内容が定着しやすい。
② 問題演習の期間をしっかりとることで、知識を組合わせてアウトプットするという入試で求められる力を養える。
オススメの学習法
実生活と関連付ける
社会の学習では「机に向かいとにかく丸暗記する」ということばかりになりがちですが、
参考書で覚えただけの知識よりも、実生活で見た・聞いたことがある知識の方が覚えやすいですし、理解力も上がります。中学入試では実生活のとある場面を切り口にした問題もよく出題されるので、その類の問題を把握しやすくなる効果も期待できます。
以下で挙げる例のように、日常生活の中で社会で学習する内容にふれる機会は多くあります。
印象に残ることで覚えやすくなるだけでなく、学習意欲も高まるでしょう。
・スーパーでの買い物
食品の産地(青森県産のリンゴ、インドネシア産のエビ、ブラジル産の鶏肉など)やリサイクルコーナー(プラスチックトレー回収ボックスなど)、バリアフリーのトイレ等に注目してみる。
・旅行やちょっとしたお出かけ
交通手段(鉄道、車、飛行機など)や経路について話し合ったり、地図を利用してみる。
世界遺産に登録されている建物や自然を見に行ったり、博物館などで本物の埴輪や絵画を見てみる。
・テレビや新聞
国会議員の選挙があるときや、国際社会で大きな出来事があったときなどに、小学生向けの新聞やテレビ番組などを見る。
分野別・学習のコツ
地理編
地図を活用する
地理の学習においては、地図を活用することが大切です。
また、県の特産物を書き込んだり、米や自動車の生産上位5つの都道府県を色付けするなど、自分だけの地図を作ることでも記憶に残りやすくなります。
計算問題も忘れずに
地理では、距離や時差を求める計算問題も出題されます。
苦手とするお子さまも多いですが、「距離は地形図の縮尺と地形図上の長さから、時差は2地点間の経度差から求める」という基本をおさえておけば大丈夫ですので、しっかり練習して慣れておきましょう。
歴史編
まずは政治から
まずは、時代ごとに政治についてしっかり学習しましょう。
古代から現代まで一通り学習が終わったら、「学問の歴史」「税の歴史」「文化史」「外交史」といったようなテーマごとに学習しましょう。
流れや因果関係を理解する
多くのお子さまが苦手とする問題が、複数の出来事を起こった順に並べる「並びかえ問題」です。
その出来事が起こった背景を理解することで、ただ年号だけを覚えるよりも断然定着しやすくなります。また、並べかえ問題だけでなく、文章記述問題の対策にも有効です。
公民編
まずは日本国憲法から
まずは、日本国憲法をしっかり学習しましょう。
全部で103条からなる憲法ですが、出題される条文はある程度決まっているので、そこを確実におさえることが大切です。
選挙や首相交代があった年は要注意
選挙のあった年や首相が交代した年は、時事問題もかねて選挙制度や内閣の成立についてよく出題される傾向にあります。
曖昧になりがちで他と混同してしまうお子さまも多い「○○してから△△日以内」などの部分は、実際の憲法の条文と照らし合わせながら、正確に覚えましょう。
出題形式別・学習のコツ
社会で頻出の4つの出題形式について、普段の学習で意識しておきたいポイントについて解説します。
「空欄補充」問題
答えを漢字で正しく書けるかを必ず確認する
生産量1位の都道府県名や人物・出来事といった社会用語を答える問題。
基本的には暗記で対応できる問題ですが、答えとなる社会用語は自分で書き、漢字が合っているかは必ず確認します。
入試本番の漢字ミスによる減点は非常にもったいないため、正しく書けるようにしておきましょう。
「正誤文選択」問題
誤っている部分を訂正できるようにする
複数の選択肢の中から、正しい文または間違っている文を選ぶ問題。
対策としては、問題演習を積むことが大切です。
単に正答を選ぶだけでなく、選択肢の誤っている部分に線を引き、正しくなるよう書き直す練習をすると効率的な学習になります。
「資料読み取り」問題
数値が大きい/小さい箇所、数値に変化があった部分に注目する
資料(地図やグラフ)を参考に、そこから言えること・分かることを答える問題。
気温と降水量を示した雨温図のグラフなどある程度パターンが決まっているものもあれば、初めて見る資料から答える問題もあります。
例えば、米の生産量について1年だけのグラフであれば、数値の大きいところ・小さいところに着目して考えるとよいでしょう。経年変化のグラフなら、増えているのか減っているのか、大きく増えた・減った年に着目するだけでなく、その理由も考える習慣をつけましょう。
「文章記述」問題
出題の意図を読み取る
内容説明だけでなく、グラフの読みとりを含めたり、複数の視点から解答するなどさまざまな問われ方をします。
知識はもちろん、思考力・表現力が求められます。
思考力については、ふだんから「どうしてだろう?」と背景や原因について考えることで身についていきます。表現力については、まず短い文を書く練習から始めて、保護者の方と一緒に答え合わせをしたり、通信教育で添削指導を受けたりするなど、自分の解答を客観的に見てもらう機会をもつようにするとよいでしょう。
社会でよくある疑問
Q.時事問題の対策方法は?
A.新聞やニュースで取り上げられた出来事について、内容や背景などを自分の言葉でまとめておきましょう。
時事問題は、その年に話題になった政治・経済・国際情勢などに関する出来事を元に出題される問題をさします。最近では新型コロナウィルス感染症の流行に関連して「感染症の歴史」といったテーマでの出題も見られました。近年の傾向として時事問題を出題する学校が多くなっていることからも、その年に話題になった出来事の概要については把握しておくのが良いでしょう。
Q.志望校の対策はいつから?
A.本格的に過去問演習に取り組むのは6年生の夏休み頃からですが、それまでにどんな問題が出題されるかは一度見ておきましょう。
いくつかの学校の特徴を挙げておきます。
・筑駒中学:非常に長いリード文を読み解く問題を出題。
・開成中学:東京に関する問題を多く出題。
・麻布中学:解答字数の多い文章記述問題を出題。
・桜蔭中学:近年話題になっている出来事や教科書には載っていない新しい語句を出題。
Q.参考書・問題集の選び方は?
A.それぞれの学習時期の目的に応じたものを選びましょう
・知識を得る段階では、くわしい説明の載っている参考書タイプのものが有効です。特に、地図やグラフ、写真が多く掲載されているものだと、記憶に定着しやすくなります。
・演習をしながら知識の定着・活用をはかる段階では、問題の考え方や資料で着目すべき部分についての解説が詳しいものがおすすめです。
・記述問題を重点的に対策したい場合は、解説に、出題のポイントや解答に必要な語句が示されているもの、解答例が複数掲載されているものを選ぶとよいでしょう。
ただ覚えるだけというイメージが強い社会ですが、答えを漢字で正しく書けるか確認する、年号だけではなく流れも把握しておくなど学習するときの大切なポイントは意外とあるものです。
今回紹介したものを参考に、ぜひ問題に取り組んでみてください。
効率的に社会の学習を進めたいという方へ
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【社会のポイント】
・「映像授業」「授業ノート」
何度もくりかえし視聴できる映像授業と、手を動かすことで知識を確実にインプットできる授業ノートで、自宅学習でも重要事項を先取り学習でしっかり理解できる内容になっています。
・「月例テスト」
毎月の提出課題。実際に入試で出題される細かい知識や正確な知識を必要とする正誤問題を出題します。表現力を高めるために文章記述問題も毎回用意しています。丁寧な添削指導により、得点力アップにつながります。
【対象学年】
・3~6年生
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