ポケモンGOをプレイしている中学生の数を出すには?~フェルミ推定で課題解決~_2016.9

2016年9月7日

カテゴリー : 教育情報全般

ポケモンGOをプレイしている中学生の数を出すには

Z会では2016年9月4日、中1生~高1生向けの無料特別講座「現役コンサルタント直伝!フェルミ推定を使った課題解決の方法を学ぼう!」を実施しました。実際に数えることが難しいけれども規模感を知りたい時、どのようなやり方で答えを導いていけばよいのでしょうか、講義の様子をご紹介します。

◆将来「使える社会人」になるために必須の考え方「フェルミ推定」

突然ですが問題です。
日本で何人の中学生がポケモンGOをプレイしているでしょうか?
「わかるわけないでしょ!」
ほとんどの方はそう思いますよね。
ですが、もしあなたが「ポケモンGOをプレイしている中学生に500円分の図書カードをプレゼント!」というキャンペーンの責任者になったとしたら、「わからない」で済ませるわけにはいきません。なぜなら、人数がわからないと予算が立てられないからです。

世の中には、「実際に調査するのは難しいがある程度の根拠を持った答えがほしい」問題がたくさんあります。先ほどの「ポケモンGO」の問題のほかにも、たとえば「渋谷に集まる中高生に宣伝チラシを配りたい」と思ったら、何部用意すればよいでしょうか。また、何カ所かの候補地からコンビニエンスストアをオープンさせる場所を選ぶとき、「この場所に店をオープンさせたら何人くらいのお客さんが来てくれるだろうか」と考えねばなりません。どう求めればよいでしょうか。どちらも実際に数えることは難しいですよね。そんなときに強い味方となるのが「フェルミ推定」という考え方です。

2016年9月4日、特別講師として株式会社ビジネスウォリアーズ代表取締役社長の相原秀哉先生をお招きし、「現役コンサルタント直伝!フェルミ推定を使った課題解決の方法を学ぼう!」を開催しました。

中高生のみなさんも、いずれは必ず社会に出ます。そのときに、「使えないヤツ」よりは「使えるヤツ」になりたいと思っているでしょう。では「使えるヤツ」になるには、どのような力を身につけていればよいのか? 相原先生には、そのような視点からお話ししていただきました。

いま、世の中はものすごいスピードで変化しています。20年前、30年前には存在しなかったものが世の中にあふれ、その頃には存在しなかった職業も数多くあります。さらに20年、30年も経てば、さらに新しい職業も生まれているでしょうし、いまある職業でもロボットや人工知能に取って代わられるものが出てくるでしょう。時代が変われば当然、必要とされる力も変わってきます。しかしそれでも、どんな時代でも必要とされる力があるはずです。そのひとつが、「学ぶ力」。新しいことを吸収する力は、これから先の時代でも必ず必要となります。そして、「コア・スキル」に分類される力。たとえば論理的に考える力であるとか、他人と協同して仕事をする力などが「コア・スキル」に分類されるでしょう。「使えるヤツ」になるためには、こうした力を鍛えなければなりません。

今回紹介する「フェルミ推定」は、
実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること(Wikipediaより)
というもの。「論理的に考える」訓練にはピッタリの考え方です。そして訓練のためだけではなく、実際に社会に出れば必要となる考え方です。最初に「実際に調査するのは難しいがある程度の根拠を持った答えがほしい問題がたくさんある」と書きました。そうした問題に一応の答えを出すために「フェルミ推定」が用いられています。

 

◆ポケモンGOをプレイしている中学生の数を求める

 

当日の講義では、少人数のグループに分かれて考えをまとめていった
当日の講義では、少人数のグループに分かれて考えをまとめていった

 

当日の講義では、簡単な例で「フェルミ推定」の考え方を知ったあと、実際に問題を解いてみました。そのうちの、1問を紹介しましょう。

【問題】日本の中学生のうち何人がポケモンGOをプレイしているでしょうか?

「正解」が誰にもわからない問題です。それでも皆、「フェルミ推定」でこの問題に取り組みます。
「私のクラスでは8割の人がスマートフォンを持っていて、ポケモンGOをインストールしている人が半分くらいで、実際にプレイしているのがその8割くらい。だから全国の中学生の人数×0.8×0.5×0.8で答えが出ると思いました。」
「私は、日本でポケモンGOをプレイしている人数を求めて、その中の中学生の割合を考えました。」

様々な意見が出ます。それぞれのグループで検討し、実際に数字を当てはめます。

「中学生の人数って、どう求めるんだろう?」
調べればわかりますが、概算します。
「人は100歳まで生きるとして、中学は3年間だから、人口の3%が中学生。」
「平均寿命が80年だから、人口の3/80が中学生。」
「私の学校では1クラス36人、1年から3年間で合計10クラスあるから、中学生は360人。各都道府県に平均して200校くらい学校があるとして、360×200×47でだいたい340万人。」
様々な考え方をしています。

さらに別のグループでは、実際にプレイしている人の割合を検討しています。

「自分のクラスでは、36人中20人がプレイしています。」
「私の周りだと、8人に1人くらいかなあ。」
「私の周りは10人に1人なんだけど…。」
「平均しようよ。全部足して、54人に22人だから…4割くらいかな?」

結果はバラバラですが、こうした思考で一応の答えが出ました。

 

それぞれのグループでまとめた内容を発表し合い、多様な考え方があることを学んだ
それぞれのグループでまとめた内容を発表し合い、多様な考え方があることを学んだ

 

最後に相原先生から、まとめのお言葉をいただきました。
「今回の講座で身につけてもらいたかったのは、未知の問題に取り組む「勇気」「粘り強さ」「プロセス重視」といった姿勢、「仮説思考」「フレームワーク思考」「シンプル思考」の3つの思考です。中高生のみなさんは、こうした能力を、これから少しずつ身につけていってください。」

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