倫理、政治・経済 – 共通テスト(2022年度)の分析&対策の指針

投稿日時:2022年2月8日

Z会の大学受験生向け講座の倫理、政治・経済担当者が、2022年度の共通テスト(第1日程)を分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「倫理、政治・経済」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:60分 / 100点


全体の傾向

●大問数は倫理4題、政治・経済3題の計7題、設問数は倫理16問、政治・経済16問の計32問、マーク数32であった。2021年度共通テストと比べると、大問数・設問数は同様であったが、マーク数が1つ減少した。

●また、倫理、政治・経済部分ともに、共通テスト「倫理」「政治・経済」から抜粋した問題であった。中には細かい知識を要する設問もあったが、全体を通して必要な知識量はセンター試験や2021年度共通テストとあまり変わらず、概ね標準的な難易度であった。

●倫理分野においては、2022年度共通テスト「倫理」のリード文で提示された会話文が、全文用いられた。文章量が多く、既出の会話文を踏まえて答える設問もあり、読解力が要求された。

●政治・経済部分においては、2022年度共通テスト「政治・経済」で出題された問題のうち、比較的解きやすい問題が抜粋された。多くの設問で、知識・理解に加えて文章読解力・資料読解力や論理的思考力などが必要とされたほか、計算問題や時事問題も出題された。


 

倫理、政治・経済の「カギとなる問題」は?

次に、倫理、政治・経済で「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

第4問問4

リード文で示された会話と設問の資料の両方を踏まえて、2つの空欄に入る記述の組合せを選ぶ問題であった。会話文・資料の内容を読み解き、文脈に沿った記述を選ぶためには、正確かつ素早く文章を読解する力が必要とされた。共通テストでは、こうした文章量が多く複雑な形式の問題が出題されるので、様々な問題に当たって、実戦力を身につけておきたい。


第6問問5

災害の影響に関する会話文を読み、供給曲線の図を調整する方策について答える問題であった。政治・経済分野で頻出である需要・供給曲線の読み取りはもちろん、曲線の調整方策に関する考察も必要とされた。共通テストでは、解答を導くために、政治・経済の知識や資料から読み取った内容を運用することが求められる。過去問や予想問題に当たり、多様な形式に慣れておこう。


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大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、倫理、政治・経済の出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問:議論について(倫理)  [標準]

・共通テスト「倫理」の第1問から抜粋した問題であり、源流思想を中心とする出題であった。
・問3では資料が提示され、それに関する会話文の空欄に入る記述の組合せを選ぶ問題であった。空欄の一方は資料読解、もう一方は知識で判断する必要があった。2022年度共通テストでは、この形式の問題が複数問見られた。
・問4では2つの資料文が提示され、それに関する会話文中の下線部の正誤を判断する問題であった。本問でも、読解と知識の両方の力が求められた


第2問:理想をめぐる思索(倫理)  [やや易]

・共通テスト「倫理」の第2問から抜粋した問題であり、日本思想を中心とする出題であった。
・問2では本居宣長の真心について、身近な事例で説明した文を選ぶ問題であった。用語の意味を正確に理解していれば、判断は容易である。
・問3は、学習の盲点になりがちな範囲であったが、キーワードをもとに選択肢を絞り込みたい。


第3問:「考えること」について(倫理)  [標準]

・共通テスト「倫理」の第3問から抜粋した問題であり、西洋思想を中心とする出題であった。
・問3は2つの文章の正誤組合せ問題であった。内容は標準的である。
・問4は、II・IIIの2つの会話文を踏まえて2つの空欄に当てはまる記述を選ぶ問題であった。会話文の文脈を的確かつ手早く把握する必要があった。


第4問:未来世代に対する責任(倫理)  [標準]

・共通テスト「倫理」の第4問から抜粋した問題であり、青年期と人間の特質、および現代社会の諸課題を中心とする出題であった。
・問1ではメモで述べられていることを正確に把握する必要があった。知識面でも紛らわしい範囲であり、やや難しかった。
・問2・問3は、センター試験型の4文正誤であり、基本的な倫理の知識が問われた。


第5問:まちづくりの取組み(政治・経済)  [標準]

・共通テスト「政治・経済」の第1問から抜粋した問題であり、政治分野を中心とする出題であった。
・問2は、政教分離原則に関する文章のうち、正しいものをすべて選ぶ問題であった。正しいものをすべて選ぶ問題では、消去法による解答ができないため、やや難度が高かった
・問4は、住宅宿泊事業法に関する問題であった。会話文から生徒Xと生徒Yの立場を読み取り、空欄に当てはまる語句を判断する必要があった。


第6問:経済主体の関係(政治・経済)  [やや難]

・共通テスト「政治・経済」の第2問から抜粋した問題であり、経済分野を中心とする出題であった。
・問4は、2021年度共通テストに引き続き、バランスシートを用いた出題であった。資料は見慣れないが、提示された図と文章を丁寧に読めば、容易に解答を導けた。
・問6は、購買力平価説を用いた問題であった。同説を正しく理解できていたかどうかで差がついただろう。


第7問:地方自治への住民の関わり(政治・経済)  [標準]

・共通テスト「政治・経済」の第4問から抜粋した問題であり、政治・経済分野の両方から出題された。
・問2では、会話文中の複数の空欄に当てはまる語句を選ぶ必要があった。共通テストでは、空欄組合せ形式の問題が多数出題されるため、しっかりと復習しておきたい。
・問3では、提示された文章と表をもとに、自治体の歳入区分の構成比を答える問題であった。地方自治体の財源の種類と性質について正確な知識が求められた。


 

攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。倫理、政治・経済で求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

【倫理分野】全範囲にわたる正確な知識と深い理解が必要

幅広い知識と深い理解の両方が求められるので、まずは教科書で基本的な用語をきちんと学習し、主要な思想家とその主張を押さえよう。個々の思想や思想家について単独で覚えるのではなく、各々の思想が生まれた背景や、他思想との共通点や相違点も押さえておくと、より理解が深まるだろう。とくに、西洋と日本の思想については、系統立ててその変遷を押さえておくことが肝心である。


【倫理分野】大量の問題文に立ち向かうための文章読解力・問題処理力の養成

問題分量が多いので、提示された会話文・資料文や各選択肢を素早く正確に読む力を身につけよう。複数の文章を参照して解答を導く問題など、複雑な形式の出題もなされるので、問題演習を通して文章読解力や問題処理力を高めていこう。


【政治・経済分野】基本的な知識を確実に押さえる

資料読解を必要とする問題は増えたが、資料読解の土台となるのは基本的な政治・経済の知識である。早めに全範囲の原理・概念といった基礎知識を押さえ、一問一答や正誤問題・計算問題などの演習に取り組んで、政治・経済の知識を盤石なものにしよう。また、日頃から時事テーマにも関心を持つようにしたい


【政治・経済分野】多数の文章・資料を素早く読み解く処理能力・考察力が必須

共通テストは、各設問の文章量が多いほか、未見の資料が多数出題される。また、文章や資料を読み解いた上で考察を求められるなど、解答を導くために必要とされる作業数も増加しているため、制限時間内に設問を処理するのが難しい。問題演習を繰り返し行うことで、提示された文章や資料を素早く読み解く力や、複数の作業を正確に行い考察する力を身につけよう


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