生物 – 共通テスト(2022年度)の分析&対策の指針

投稿日時:2022年2月8日

Z会の大学受験生向け講座の生物担当者が、2022年度の共通テストを分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「生物」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量、問題構成、難度などを解説します。

試験時間と配点

時間 / 配点:60分 / 100点


全体の傾向

●難易度は2021年度第1日程より上がり、第2日程に近くなった。2021年度第1日程に比べ、考察問題の比率や、マーク数・選択肢数などは同等だが、考察問題の難易度がやや高い

●2021年度と同じく、文A・Bに分かれていない(中問のない)大問を含む大問6題の構成である。

●平成30年度試行調査・2021年度の出題と同じく、各中問の設問は1つの分野に縛られることなく、題材に応じて複数分野から出題された。

●リード文のうち、第2問A・第3問は会話文を含む「課題を発見し解決方法を構想する場面」であり、「『どのように学ぶか』を踏まえた問題の場面設定」の問題であった。


生物の「カギとなる問題」は?

次に、生物で「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。

第3問問5、第5問問3、第6問問5

仮説などの支持・検証に適切でない実験を問う問題が出題された。検証したいことに関与する要素とそうでない要素を見分ける力が問われた


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大問別ポイント/設問形式別ポイント

次に、生物の出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問:人類の進化と系統樹  [標準]

・ヒトの進化を題材に、ヒトの特徴、アミノ酸配列の変異に基づく類人猿とヒトの系統樹、アミノ酸配列の変異が予測値と異なる理由が問われた。
・問3は、計算と正誤判断を組み合わせて答える設問であった。


第2問A:植物の競争  [やや難]

・キク科植物の病原菌感受性株と病原菌耐性株の競争が題材の中問であった。
・問1の個体の乾燥重量と種子生産数のグラフ選択は、一つ一つ値を当てはめていると時間を取られてしまう設問であった。


第2問B:植物への遺伝子導入  [やや易]

・植物への耐性遺伝子導入を題材に、ベクター作成、導入細胞の選抜操作、遺伝子の転写の方向性、遺伝(メンデルの法則)が問われた。
問い方はひねられているものもあるが、典型的な問いが並んだ中問であった。
・問5は、5’-3’の方向性と、アンチセンス鎖が問われていることとを、見落とさないようにしたい。


第3問:脊椎動物の肢芽の形成と分化  [やや難]

・ニワトリの肢芽の形成と成長、翼または脚への分化が題材の大問である。
・リード文は、資料等を見て検討する会話文であった。
問1は、要求する知識レベルがかなり高い設問であった。
問5は、仮説を支持する実験と結果として適切でないものを選ぶ設問であった。


第4問:昆虫の行動とフェロモン  [標準]

・アリの道標フェロモンに基づく行動を題材とした大問である。
・表1は見慣れない形式だが、実験1の文章中にある見方の説明を読み流さず、きちんと読み取って問1にあたりたい
・問1の理解が問2に影響する構成であった。


第5問:被子植物の生殖の進化と昆虫の視細胞の分化  [標準]

・被子植物が多様な花で昆虫を集めて効果的に有性生殖することを題材にしたリード文をもとに、分類、遺伝、遺伝子発現と細胞の分化、走行性の実験から光受容細胞の関与の考察といった設問が出された。
・問3は、仮説を導くために適切でない実験を選ぶ設問であった。問3で正答しないと問4の理解が難しくなる


第6問:植物の花粉形成に低温が与える影響  [標準]

・宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節を引いて冷夏に凶作が起こることからリード文が始まる。低温がイネの花粉形成に与える障害など、低温が植物に与える影響を題材にした大問であった。
問2で問われた図1の理解が、問3に影響する構成であった。


攻略へのアドバイス

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。生物で求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。

多くの設問で、複数分野の知識をもとにした検討が必要

知識問題は、全範囲から問われる。文章の正誤判断での出題では、選択肢内の文全体で誤りがないかどうかを正確に判断する必要がある。選択肢が増えると負担が重くなる所以である。また全範囲から問われるため、苦手分野を残すと得点を積み増すことが難しくなる

例えば2022年度の第1問問1や第6問問1で選択肢の文章の検討に時間をかけたり、フェロモンの定義が思い出せずに第4問問3で迷ったりしているようだと、深い読解や検討の必要な設問に時間を割きにくくなるので、なるべく早く全範囲の学習をひととおり終えておきたい。


正確な知識と幅広い文章ジャンルでの演習経験が差をつくる

考察問題は、題材は教科書や図説にないものであっても、リード文と実験結果を読み取れば理解できる。時間に対してリード文が長く、複数の図表がある大問が多いので、普段の演習を通じ、実験の条件や結果のポイントをすばやく抽出できるようにしておきたい

共通テストでは分野融合の問題も出題されるが、分野融合の実験考察問題も、理解の基になるのは各分野の基礎知識である。また、仮説・実験・結果・考察という流れや、対照実験を設けるなどの、実験考察の考え方自体は分野融合であってもなくても共通している。考察問題についても、まずは学習を終えた分野内での知識を元にした実験等の問題演習を通し、素早く要点をつかみ取る訓練などを進めていきたい


解答時間を意識した演習を

知識問題では細かい正誤判断、考察問題では実験条件や結果の読み取りと整理を行わなければならないため、高得点を狙うには効率的に読解し、解答していく必要がある。そのため、問題演習を通じて、要点を把握・整理しながら正確にリード文を読み取る訓練、各選択肢をすばやく判断する訓練を重ねておきたい


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