英語リーディング – 共通テスト(2021年度)の分析&対策の指針

投稿日時:2022年1月15日

Z会の大学受験生向け講座の英語担当者が、2021年度の共通テスト(第1日程)を分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「英語リーディング」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量・問題構成などを整理し、難度(センター試験や試行調査と比較してどう変化したか)を解説します。
試験時間と配点

時間 / 配点:80分 / 100点

全体の傾向

難易度は平成30年度の試行調査並みだが、分量は増加したため速読速解力がより求められた。また、試行調査から形式が変更になった問題も見られたため、解答する際に戸惑った受験生も多かっただろう。

おもな注目ポイント

●第1問Aは試行調査のような「素材文が読み手側に一方的に向けられた文章」ではなくなり、SNSの双方向型の文章に変化した。 ●第2問Bは事実と意見を選り分ける必要のある問題が出題されたのは試行調査と同様だが、本文中の英語表現の意味を問う問題や登場人物が賛成か反対かを問う問題は出題されなかった。また、生徒が反論する助けとなる情報を選ぶ問題が新たに出題された。 ●第3問Aは文章だけではなく、視覚情報も組み合わせないと解けない問題が含まれる点は試行調査と同様であったが、文章と視覚情報を丁寧に確認した上で、計算もして解答を導く必要があった。試行調査よりやや難度は高かったと言えるだろう。 ●第3問Bでは試行調査同様に、情報を時系列に沿って整理する必要がある問題が出題された。ただし、試行調査では正しく並べ替えられたものを1つ選べばよかったが、本試験では自分で選択肢を並べ替えなければならなかった。 ●第4問は、試行調査ではグラフを含む2つの記事から書き手の意図を把握する力や必要な情報を得る力を問う問題が出題されたが、本試験では表・グラフなど複数資料を含む2名のメールのやり取りから、必要な情報を読み取り、整理する出題であった。資料の読み取りが不可欠という点は試行調査と変化ないが、さらに予定を並べ替える問題が新しく出題された。試行調査より難度が上がったと言えるだろう。 ●第5問は試行調査では偉人の伝記をポスターにするという問題であったが、本試験ではある牛の物語をプレゼン用のスライドにするという問題が出題された。物語の主人公AstonとSabineの伝記と考えれば試行調査と変わらない。 ●第6問Aは試行調査第5問で出題されたようなポスターの空欄部分を埋める形式の出題。ただし設問は標準的な4択で、該当箇所も見つけやすく比較的容易に解答を導ける問題であった。  

英語リーディングの「カギとなる問題」は?

次に、英語リーディングで「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。
第1問 A問2

次にやり取りされるメッセージの内容を本文から推測させる問題が出題された。

第2問 B問5

英文内容の正確な把握のみでなく、読み取ったことを元に判断する力も問われた。

第3問 A問2

落ち着いて計算できたかがポイント。

第4問 問1

特に2通のメールを細部まで読み解かなければならなかった。

第5問 問3

選択肢5つのうち、4つを選んで並べ替えるという新形式の出題があったが、「起こったできごとを時系列順に整理する」という観点は試行調査と同じであった。 「Z会の共通テスト対策講座」についてはこちら

大問別ポイント/設問形式別ポイント(2/8更新)

次に、英語リーディングの出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問A:SNSでのメッセージのやり取り(約140語)(配点:4点)[標準] 試行調査では素材文が読み手側に一方的に向けられた文章だったが、SNSの双方向型の文章に変化した。試行調査では文章の正確な読み取りのみが問われていたが、本試では問2で本文の次に続くであろうメッセージを「本文から推測」させる新傾向の問題が出題された。


第1問B:ファンクラブへの加入案内(約230語)(配点:6点)[標準] 本文は案内(表上)・表・補足(表下)の3つのエリアに分かれており、3つの問いはそれぞれエリアごとの内容理解を問うものとなっていた。難易度・形式ともに試行調査から大きく変わらなかった


第2問A:バンドコンテストの結果と審査員の評価(約200語)(配点:10点)[標準] 第2回試行調査の英文は「料理のレシピとレビュー」で比較的読みやすかった一方、本試験の英文は主に「審査員の評価コメントと項目別平均点の表」から成る英文で、試行調査の英文より読みにくく感じた受験生もいるだろう。試行調査同様、「事実」と「意見」の区別を問う問題が出題されたが、評価コメントが多い分「意見」の参照範囲が広く、選り分け作業の難度がやや上がった最終的な順位を推測する問題は新傾向の出題であった。


第2問B:新しい学校方針についての生徒と先生の議論(約260語)(配点:10点)[標準] 第2回試行調査のような「記事+コメント」ではなく、オンライン掲示板における生徒と先生による議論の英文が題材であった。第2回試行調査同様、「事実」と「意見」を選り分ける問題が出題されたのに加え、生徒が先生に反論する手助けとなる情報を選ぶという新傾向の問題が出題された。


第3問A:ホテルについての旅行情報ウェブサイト上のQ&A(約250語)(配点:6点)[やや難] 試行調査同様、文章だけではなく視覚情報も組み合わせないと解けない問題が含まれていた。ただし、その上で計算もして解答を導く必要があるという点は試行調査と異なっており、やや難度が高かった。情報を1つももらさず落ち着いて確実に計算をしないと、正解にはたどり着けなかっただろう。イギリスでの場面設定だったため underground(地下鉄)など、イギリス英語特有の表現が見られた。


第3問B:校内ニュースレターへのボランティア募集の投稿(約300語)(配点:9点)[標準] 試行調査同様に情報を時系列に沿って整理する問題が出題されたが、試行調査では「筆者の居住地」や「筆者の感情」だったのが、本試験では「出来事」を起こった順に並べるものだった。また、試行調査では正しく並べ換えられたものを1つ選べばよかったが、本試験では自分で選択肢を並べ換えなければならず、やや手間が増えたと言える。試行調査には見られなかった問題として、「次に取るべき行動」を選択する問題が出題された。場面設定がイギリスだったため、centre や organise など、イギリス綴りの英単語が見られた。


第4問:姉妹校から来る生徒をもてなす予定を立てるメールのやり取り(約530語)(配点:16点)[やや難] 表、グラフなど複数資料を含む2名のメールのやり取りから、必要な情報を読み取り、予定を整理する問題。試行調査では記事やグラフから、書き手の意図を把握する力や必要な情報を得る力が問われたが、本試験では2通のメールと添付された資料を丁寧に読み込み、情報を整理することが求められ、難度はやや上がったと言える。設問で問われている内容の多くは本文中の特定の部分で述べられており、その箇所を素早く見つけることが解答を導き出すうえで重要となった。


第5問:雄牛のアストンと飼い主のSabineの物語(約730語)(配点:15点)[標準] 第2回試行調査では空所を埋めてポスターを完成させる問題が出題されたが、本試験ではプレゼンテーション用スライドの空所を埋める形式での出題となった。題材は伝記から物語に変わっている。試行調査で出題されていた当てはまるものをすべて選ぶ問題は、当てはまる選択肢を2つ選ぶ形式での出題となった。登場人物の整理という新傾向の問題も出題されたが、英文・設問は標準的なものであり、「物語文の概要を把握する」力が問われる点は試行調査と同様であった。


第6問A:アイスホッケーの安全性向上についての記事(約730語)(配点:12点)[標準] 第2回試行調査の第5問で出題されたようにポスターの空欄部分を埋める形式の出題であった。ただし時系列を答えさせる問題は出題されなかった。設問は標準的な4択問題。ポスターの空欄部分である設問の該当箇所は本文の流れと同じ順番で現れるので、解答しやすい。ポスターの空欄の前後に箇条書きされている内容とも照らし合わせれば比較的容易に解答することができただろう。


第6問B:多様化する人工甘味料に関する論説文(約530語)(配点:12点)[標準] 第2回試行調査の第6問Bで出題されていた4つのグラフ選択問題は出題されず、本文に登場する甘味料を甘い順番に並べて表を完成させる問題が出題された。本文の内容に合うものを2つ選択する問題では、部分的に正しい選択肢が含まれていてやや難しい


 

攻略へのアドバイス(2/8更新)

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。英語リーディングで求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。
多い分量を正確に速く読んで情報を処理する検索力と読解力を身に付ける

すべての問題が長文読解であるだけでなく、センター試験よりも語数が遥かに多くなっているため、正確な速読力・速解力だけでなく、読んだ情報を的確に処理する能力が求められる全体の文脈や内容を把握しつつ、解答に必要な情報を整理しながら読解する力を身に付けることが重要である。

多種多様な文章や資料に慣れる

共通テストでは英文だけでなく、図や表、グラフなどの与えられた資料から答えとなる情報を推測することも重要。そのためには英文に書かれている状況や条件を把握し、資料から必要な情報を参照することが必要となる。「自分が何を問われているのか」「資料からどの情報を見なければいけないか」を正確に把握することがカギとなる。さまざまな形式の資料に慣れておこう。

問題演習をこなす

共通テストでは、速読速解力と情報処理能力が求められる。このような問題の対策は一朝一夕では対応しきれない。Z会の通信教育[専科]共通テスト攻略演習で共通テストの形式に慣れるだけでなく、さまざまな内容の問題に取り組み、実戦力を養おう。

高3生向け Z会の共通テスト対策講座

◆[専科]共通テスト攻略演習 共通テストの傾向をふまえた教材に取り組みます。毎月の演習で、基礎固めから最終仕上げまで段階的に対策を進められます。


◆[Z会の映像]共通テスト対策映像授業 「授業」を中心に学習を進めたい方におすすめ。Z会精鋭講師陣による質の高い解説講義(映像授業)で、共通テストの攻略ポイントを学びます。

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