時間配分を意識して、慌てずに「解ききる」戦略を。
東大の問題量は膨大であるため、難度の高い問題や記述問題にどれだけ時間を割き「解ききる」か、その時間配分が合否を分ける決め手になるでしょう。2019年度は昨年ほど大きな出題傾向の変化は見られませんでしたが、東大英語は設問形式が決して一定ではないため、変化に惑わされないことが大切です。
まずは、2019年度の「東大英語」を俯瞰しよう
はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、
「自分が受ける入試問題」を想像しましょう。
大問1(A) 【難易度:やや易】
●出題形式・テーマ
要約(ヨーロッパにおける児童の人権にまつわる変化)
●問題の内容・分析
問題文に要約すべき内容の指示があったことに加え、パラグラフ展開も明快だったため、例年ほど難しくはなかった。
大問1(B) 【難易度:やや易】
●出題形式・テーマ
語補充・文補充(音楽は共通言語か)
●問題の内容・分析
語補充はきちんと文脈を把握していれば入る語の予想は容易についただろう。文補充は、選択肢に指示語やディスコースマーカーなどの手がかりが多く、迷うようなダミー選択肢も少なかったため、本文の論旨をつかめていれば取り組みやすかった。
大問2(A) 【難易度:やや難】
●出題形式・テーマ
自由英作文(新たな祝日の提案)
●問題の内容・分析
どのような祝日を提案するかの創作だけでなく、問題文に指示がある意義と理由も含め、説得力のある内容を書くのが難しかった。より発想力が要求され、かつ、より客観的に根拠を提示できるかが重要であった。
大問2(B) 【難易度:標準】
●出題形式・テーマ
和文英訳(プラスチックごみを減らすという環境運動)
●問題の内容・分析
1文が長いが、昨年度と比較して英文の構造は想像しやすく、テーマもなじみのあるものであったので取り組みやすかった。
大問3 【難易度:標準】
●出題形式・テーマ
リスニング((A)(B)現代社会におけるチームスポーツの役割 (C)幼児期健忘に関する研究)
●問題の内容・分析
昨年度とは異なり、(A)(B)が連続した内容であっても(A)の人物が(B)には登場していない。昨年度(C)はすべての空所補充形式であったが、今年度は(A)(B)同様の内容一致形式であった。また、(A)にて2つの空所に合う語の組み合わせを選ぶ問題が出題された。
大問4(A) 【難易度:やや難】
●出題形式・テーマ
正誤問題(ある18世紀の偉大な女性数学者)
●問題の内容・分析
誤りを含まない箇所にも見慣れない単語や表現が含まれているため、「正しい」と確信を持ちにくく難しい。
大問4(B) 【難易度:標準】
●出題形式・テーマ
下線部和訳(子やペットを育てる上での両親の愛情のあり方)
●問題の内容・分析
語彙や文構造は難しくないものの、日本語に訳す際に工夫が必要な箇所が多く、やや苦労したかもしれない。
大問5 【難易度:標準】
●出題形式・テーマ
長文読解(雲に魅了された男についてのエッセイ)
●問題の内容・分析
昨年度の小説とは違い、小説らしい間接表現や会話表現はなく、比較的読みやすかった。記述問題は、下線部和訳がなくなり説明問題が2題出題された。昨年度から引き続き整序英作文も出題されている。
合否の分かれ目は?
▼例年との傾向の違い
例年の東大英語では、1(A)の要約問題で差がつきやすい傾向が見られます。しかし、2019年度は昨年よりも難度が下がったため、それほど大きな差はつかなかったものと思われます。
▼では、どこで差がついたのか…?
2(A)の「新たな祝日を提案する」という自由英作文は、昨年よりも自由度が高いテーマでした。一見書きやすそうに思えて、盛り込む要素を思いつかずうまく書けなかった場合に大きな差がついたものと思われます。
また、5の長文読解は、昨年に続いて並べ換え問題が出題されました。不合格者は、特殊構文であることを見抜けずに時間をかけすぎてしまったと想定されます。そのため、結果的に記述問題を十分に書ききれず、差がつく問題となったのではないかと考えられます。
⇩
差がつく一問は、
≪大問2(A)≫
●どんな問題?
●注目ポイントは?
自由英作文が他の問題と異なるのは、英語力だけでなく「発想力」も求められる、ということに尽きるでしょう。与えられた題材に対して自分なりに考え、それを限られた時間内で正確かつ他人にわかりやすい表現でまとめるというのは想像以上に大変な作業です。2019年度の「新たに祝日を提案し、その意義と理由を述べよ」という問題は、ふだんなかなか考えることのないテーマであり、受験生へのアンケートでも「ネタが思いつかなかった」「何を書いていいかわからず頭の中が真っ白になった」という回答が見られました。短い時間で質の高い解答を作成するには、早いうちからの対策が必須。今後の対策につなげるためにも、今解くべき一問と言えるでしょう。
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