東大英語

東大英語 − 東大過去問対策 合否を分けた「差がつく一問」

Z会の東大英語コース担当者が、2022年度入試の東大英語を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、東大英語の攻略法を詳しく解説します。

まずは、2022年度の「東大英語」を俯瞰しよう

はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を想像しましょう。

時間配分を意識して、慌てずに「解ききる」戦略を。

東大の問題量は膨大であるため、難易度の高い問題や記述問題にどれだけ時間を割き「解ききる」か、その時間配分が合否を分ける決め手になるでしょう。2022年度は昨年度と同様に大きな出題傾向の変化は見られませんでしたが、東大英語は設問形式が決して一定ではないため、変化に惑わされないことも大切です。

 

合否の分かれ目は?

2(A)の「『芸術は社会の役に立つべきだ』という主張について、あなたはどう考えるか。」という自由英作文は、テーマの抽象度が高く難度の高い問題でした。「芸術」や 「社会の役に立つ」という抽象的な言葉をある程度具体化しつつ、説得力のある論理展開を組み立てることが求められました。


差がつく一問は
≪大問2(A)≫

問題はこちら

差がつく一問の注目ポイント

自由英作文が他の問題と異なるのは、英語力だけでなく「発想力」も求められる、ということに尽きるでしょう。与えられた題材に対して自分なりに考え、それを限られた時間内で正確かつ第三者にわかりやすい表現でまとめるというのは想像以上に大変な作業です。

2022年度の「『芸術は社会の役に立つべきだ』という主張について、理由を添えて自分の考えを書く」という問題は、テーマが「芸術」という抽象的なものであったため、いざ書こうとしても書くべき内容に苦慮したと思われます。会員へのアンケートでは「考えたことのないお題で苦労した」「中身が決まらず、書き直して時間がかかってしまう」という回答が多く見られました。短い時間で質の高い解答を作成するには、早いうちからの対策が必須。今後の対策につなげるためにも、今解くべき一問と言えるでしょう。

受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう

以下の答案は、実際に入試を受験したZ会員の先輩が作ってくれた再現答案です。残念ながら目標点(合格ライン)には達していません。
まずは、実際の答案をZ会の添削指導付きで見てみましょう。そのうえで、Z会の分析を読み、どこで差がついたのかを確認していきましょう。

結果はこちら

※満点・目標点はZ会の分析による。志望科類(学部)によって、過去問添削の成績表に表示される目標点と異なっていることがあります。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。

目標点とのギャップをどう埋める?

「文法・語彙」面での大きな減点はありませんが、今回減点されている表現は見直す時間があれば修正することができたかもしれません。

「内容・構成」面では、1文目で「芸術は社会の役に立つべきだとは思わない。」という反対の立場を表明しています。しかし,その直後で「芸術が実際に社会の役に立っていると信じている」と一見矛盾するような内容が続いています。であれば、「実際、芸術は社会の役に立っているが、社会の役に立つべきとは思わない」という理由を説明していくことが必要になりますが、今回の答案では「芸術は社会の役に立っている」という内容に終始し、論点がずれてしまっています。

そうではなく、例えば「芸術の目的は社会の役に立つことではなく、創り手の考え等を表現するものなので、社会の役に立つかどうかは重要ではなく、義務でもない。」のような説明ができていれば、目標点に届いたかもしれません

受験生全体の解答傾向は?

Z会が作成した採点基準をもとに再現答案を採点すると、不合格者平均は4割程度の得点率でした。今年度の大問2(A)は、普段考えないようなテーマだったこともあり、苦戦したという声が多くありました。「内容・構成」面での減点が大きい答案が多かったと思われます。

アンケートでは苦戦した中でも独自の工夫(アイディア)が披露されていました。「英作文は書きさえすればある程度点は取れると信じて書いた」(←自分の努力を信じて慌てない)、「書くことが思いつかず、とりあえず、主張→根拠→具体例の順に書いた。」(←これまでに身につけた型を利用)、「はじめに問題を見て、他の問題を解きながら枠組みを作った。」(←取り組む順を変え、構想を練る時間を確保)、これらの工夫は幅広く使えそうです。

しかし、もっとも説得力があったのは「英語は鍛錬がモノを言う。あとは先生の添削をきちんと受けること。独りよがりは禁物。」という声でした。自分の努力にプラスして第三者から客観的な評価を受けることも大事です。

Z会が独自作成。この大問の採点基準はこちら!

大学から採点基準が公表されていない中、Z会では、実際の受験生の再現答案や得点開示データを毎年収集し、綿密に分析。長年の分析に基づいて作成した独自の「採点基準」で、本番に限りなく近い採点を可能にしています。

「2022年度入試 東大英語 大問2(A)」の採点基準

配点 12点

【文法・語彙】
・単純な文法ミス(時制、単複、三単現など)、または内容・文意を把握する上でそれほど障害にならないような文法ミス………各(-0)~(-1)
・内容・文意を把握する上で障害になるような文法構造のミス(主述関係の不明確なもの、構造上無理のある構文ミス)………各(-1)~(-2)

【内容・構成】
以下の2点を満たしているかどうかがポイント!

(1)「主張に対する自分の立場(賛成か反対か)」
一言コメント:「あなたはどう考えるか、理由を添えて…述べよ。」という設問文に「賛成」か「反対」かを示す指示はないが、最初にどのような立場に立って意見を述べるかを示すのが定石。
◯主張に対する自分の立場を明確にしている
△主張に対する自分の立場がわかりづらい(全体を通してもわかりにくい、または、全体を通して賛成、反対の立場が一貫していない)(-6)
✕主張に対する自分の立場がまったく不明である(ー12)
※冒頭や最後の文ではっきり立場を述べていなくても全体でわかればよい
※主張に対して「おおむね賛成だが~の場合は反対」「どちらでもない」のように明らかな「賛成」か「反対」の立場で述べていなくても、その立場で理由を述べていればよい

(2)「そう考える理由」
◯理由が述べられており、その内容が適切で無理なく納得できる
△理由が述べられているが、その内容に不適切、不自然な部分が一部見られる(-3)
△理由が述べられているが、不適切・不自然な部分が大きく見られるものや内容が欠けている(-6)
✕理由の内容が不適切もしくは不自然でまったく説得性のないものや内容が複数欠けている(-12)
✕設問指示にほとんど従っていない(-12)

Z会の『過去問添削』で、東大対策を進めよう!

東大対策にみがきをかけよう。あなたの答案をZ会が添削。自分では見抜けない弱点が浮き彫りになる。

Z会では、特別講座『過去問添削』を開講中です。長年の分析に基づく正確な採点で現在の実力を正確に把握。そのうえで、あなたの答案に寄り添った適切なアドバイスにより、次の打ち手が明確になります。実戦力を効果的に高められる講座です。

Z会東大コース担当者からのメッセージ

東大英語の最大の壁は、限られた時間内にさまざまな種類の、そして膨大な量の問題に取り組まなくてはならないこと。要約、英作文、リスニング、読解など、各問題形式に応じた個別の演習を行うことも必要ですが、入試と同じ分量の問題を入試と同じ制限時間で解いてみるという「本番さながら」の演習も必要です。そういった演習を通してこそ、本番ですべての問題を解ききるための戦略的な時間配分が身につきます。

そして重要なのは問題を解くだけではなく、第三者による添削指導を受け、自分では気がつかない改善点を把握し解答の質を高めていくこと。Z会の「過去問添削」で、実際に東大入試で出題された問題の演習に取り組み、プロの添削者による丁寧な指導を受けて、東大合格を勝ち取りましょう!

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