東大国語

東大国語(2021年度) − 東大過去問対策 合否を分けた「差がつく一問」

Z会の東大コース担当者が、2021年度入試の東大国語を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、東大国語の攻略法を詳しく解説します。

まずは、2021年度の「東大国語」を俯瞰しよう

はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を正確に把握しましょう。

記述の”きめ細かさ”が合否を左右する。

現代文・古文・漢文いずれにおいても〈文章の内容を正確に読み取り、かつ限られた解答欄に的確に解答をまとめる力〉を重視する出題傾向に変化はありませんでした。
例年と同様に精密な読解・答案作成の力で差がつく、国語の実力の有無が結果に反映されやすい出題だったといえます。

 

合否の分かれ目は?

問題の見た目と難易度の違い

次に示すグラフは、再現答案のアンケートから収集した入試本番の難度をまとめたものです。 

【文系】(1に近づくほど難、5に近づくほど易)

合格者 不合格者
全体 2.7 2.7
第1問 2.9 2.9
第2問 2.1 2.3
第3問 2.3 2.6
第4問 2.6 2.6

※3.0=「普通」を基準に、1.0に近づくほど「難」、5.0に近づくほど「易」という評価。Z会再現答案調査・アンケート結果より集計。


【理系】(1に近づくほど難、5に近づくほど易)

合格者 不合格者
全体 2.8 2.7
第1問 2.9 2.8
第2問 2.6 2.5
第3問 2.6 2.6

※3.0=「普通」を基準に、1.0に近づくほど「難」、5.0に近づくほど「易」という評価。Z会再現答案調査・アンケート結果より集計。


第二問を見ると、合格者と不合格者の間でそれほど大きな開きはなく〈体感的な難易度は、合格者も不合格者もほぼ同程度に感じている〉ことがわかります。
しかしながら再現答案を見ると【一語一語のもつ意味を十分に汲み取り、答案へ反映する力】【文脈に即した表現で答案をまとめる力】の有無によって、如実に出来が分かれる結果となっており、体感的な難度に左右されずに、東大入試に合わせた記述解答の練習をどれだけ積んできたかで差が開く問題となっていました。


差がつく一問は
第二問

問題のPDFはこちら

差がつく一問の注目ポイント

第二問の古文は、入試頻出出典からの出題でしたが、【自分では読めたつもり・書けたつもりであっても、基礎的な語句知識や文法事項、人物関係などの理解が正確にできていないため、大きく減点されてしまう】という傾向が見受けられました。
東大国語で合格点を確保するために要求される〈読解・答案記述の水準〉を知るうえでも、なるべく早い時期に取り組んでおきたい一問といえます。

受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう

Z会では、受験生が作成したこの大問の再現答案を、独自の採点基準に基づいて添削しました!

結果はこちら

 

一見、解答欄を埋めることができていて、点数がしっかりとれそうな答案に見えます。しかし、Z会が採点した結果は、30点中16点。Z会が設定した目標点である19点には届きませんでした。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。

目標点とのギャップをどう埋める?

ひととおり解答欄を埋めており、基本的な文法事項などは押さえられている答案ですが、人物関係をきちんと把握し正確に訳出できていないため、目標点に届かない結果となっています。
(二)は〈車の移動〉を要請した人物を誤り減点となっています。(三)・(四)は〈二人の中納言〉を答案上で区別できておらず、どちらも減点となってしまいました。一番大きな減点となった(五)は、傍線部が〈源中納言側の人の「衛門督」に対する評価〉であることを確実につかんだ上で、的確な説明をすることが望まれます。
入試本番でこのような失点をしないように、書かれている内容を自分の主観で歪めずに正確に読み取り、ポイントを落とさずに端的にまとめる記述力を身につけていくことが必要です

受験生全体の解答傾向は?

Z会で作成した採点基準をもとに再現答案を採点すると、文系(30点満点)・理系(20点満点)ともに、合格者平均と不合格者平均で概ね2点程度の差がつく結果となりました。会話文が中心となり主語の省略が多いため、リード文や注なども踏まえて人物関係をきちんと押さえられたかどうかが分かれ目となりました。特に〈二人の中納言〉をきちんと区別できていない解答が多く見受けられました。
全体として、
・登場人物の人物関係・場面状況全体を正確に把握したうえで解答を作成する。
・文法事項などの基礎知識をしっかり固めたうえで,ポイントを落とさず端的にまとめる。
・問題文や設問の趣旨に合致するよう、解答のまとめ方や用いる表現を工夫する。
といった東大古典において求められる取り組みの差が、実際の答案における出来の差として表れたといえるでしょう。

Z会が独自作成。この大問の採点基準はこちら!

大学から採点基準が公表されていない中、Z会では、実際の受験生の再現答案や得点開示データを毎年収集し、綿密に分析。長年の分析に基づいて作成した独自の「採点基準」で、本番に限りなく近い採点を可能にしています。

 

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Z会東大コース担当者からのメッセージ

文章が「読める」からといって、それだけで設問が「解ける」とは限らないことが、東大国語の大きな特徴です。東大国語で合格点を確保するには、限られた解答欄に読み取った内容を的確にまとめ、答案の完成度を高めるための記述・表現の工夫が求められます。東大頻出の文章ジャンルや東大特有の狭い解答欄に慣れるためにも、早い時期から過去問演習に取り組んでおく必要があります。加えて対策として重要なのは、問題をただ解いただけで終わりにせずに、添削指導を受けて答案の出来や改善点を把握し、入試本番に向けて解答の質を高めていくこと。Z会の「過去問添削」なら、入試本番に近い形の演習と、東大国語を熟知したプロの添削指導によって、合格にぐっと近づくことができます。

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