東大日本史

東大日本史(2021年度) − 東大過去問対策 合否を分けた「差がつく一問」

Z会の東大コース担当者が、2021年度入試の東大日本史を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、東大日本史の攻略法を詳しく解説します。

まずは、2021年度の「東大日本史」を俯瞰しよう

はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を正確に把握しましょう。

東大日本史固有の提示文形式を攻略できたかがカギ!

比較的取り組みやすい問題が多く、例年以上に取りこぼしを防ぐことが合格へのカギでした。過去問などで演習を積み、東大日本史の形式に慣れていたかどうかが、出来に影響しました。取り組みやすい第2問で確実に高得点を取ること、さらに第1問と第3問Bで提示文を丁寧に読み取って得点につながる解答の要素を見抜くことが重要でした。

 

合否の分かれ目は?

再現答案の分析では、2021年度の全体の平均得点率は第2問・第4問が約70%、第1問・第3問が約60%でした。例年、近・現代史かつ知識重視の形式で問われる第4問は得点率が低めですが、2021年度は基本的な知識で対応でき取り組みやすかったことから、得点率が高めとなりました。また第2問も取り組みやすい内容で、大きく点数を落とす人が少ない大問でした。全体の得点率が低めとなった第1問・第3問でどれだけ高得点を獲得できたかが、合否を分けるポイントとなりましたが、いずれも、提示文を設問と結びつけて読み取り、解答の要素となる情報を引き出すことができたか、すなわち、提示文形式の問題を攻略できていたかで、答案の出来に大きく差がつきました。
とくに第1問は、東大で頻出のテーマが扱われたため、東大日本史対策が十分にできていた受験生にとっては高得点もねらえる問題で、提示文を踏まえた要素の取捨選択ができたかどうかで答案の完成度に差がつく問題でした。


差がつく一問は
第1問

問題のPDFはこちら

 

差がつく一問の注目ポイント

第1問は、摂関政治に関する出題で、東大頻出テーマでした。十分な過去問研究をできていた受験生には提示文から引き出すべき情報を判断しやすく、高得点を獲得することができていました。一方、東大日本史の対策が不十分であった受験生は、提示文を使いこなすことができず、大きく失点していました。

 

受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう

Z会では、受験生が作成したこの大問の再現答案を、独自の採点基準に基づいて添削しました!

結果はこちら

 

Z会が採点した結果は、15点中9点。Z会が設定した目標点である10点には届きませんでした。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。

 

目標点とのギャップをどう埋める?

9世紀後半の政治体制の変化について、提示文(1)(2)を踏まえて、文人官僚が衰退し特定の貴族に権力が集中したことを指摘できていました。また、政治体制が変化した背景にある「天皇の在り方の変化」にも着目できていました。但し、東大日本史では提示文を活かすことが鉄則です。提示文(3)の文徳天皇の政治への関わり方や、提示文(4)の幼い清和天皇の即位を、解答に反映したいところでした。「天皇権威の衰え」に留めず、「天皇の政務への関与が低下したこと」まで踏み込んで書くことで、得点を伸ばすことができました。さらに、提示文(4)で藤原良房・基経の摂政任命に注目し、外戚の藤原北家が天皇に代わり政治を行ったことにも言及する必要がありました。

 

受験生全体の解答傾向は?

第1問〜第4問全体を通して高得点(50点台)を獲得していた受験生は、第1問ではほぼ満点を獲得していました。
全体で40点台を獲得した受験生も、おおむね目標点である10点を超えることができています。一方、30点台以下の場合では、大きく失点している答案が散見されました。
第1問で、とくに答案の出来に差がついたのは、「天皇の政務への関与が低下したこと」と、「外戚の藤原北家が天皇に代わり政治を行ったこと」に言及できたかどうかでした。
これらを解答に盛り込むべきと判断できるようになるには、一般的な日本史の受験勉強をして知識を習得することだけでは不十分です。東大日本史の過去問研究を十分に行って提示文形式を攻略する、東大日本史第1問(古代)の頻出テーマに沿った学習をする、といったことがカギとなりました。

 

Z会が独自作成。この大問の採点基準はこちら!

大学から採点基準が公表されていない中、Z会では、実際の受験生の再現答案や得点開示データを毎年収集し、綿密に分析。長年の分析に基づいて作成した独自の「採点基準」で、本番に限りなく近い採点を可能にしています。

「2021年度入試 東大日本史 第1問」の採点基準

① 承和の変以後、皇統は嵯峨天皇の直系に統一されて安定した。…3点
② 有能な文人官僚の勢力は後退し、…2点
③ 権力は家柄により固定され、大学別曹での子弟教育で権力の継承がはかられた。…3点
④ 一方、官僚機構や法典・儀式の整備による…1点
天皇の政務への関与の低下は、幼帝の即位を可能にし、…3点
外戚の藤原北家の摂政が天皇を代行するようになった。…3点

提示文(3)(4)に注目し、⑤・⑥を解答に盛り込むことができたがどうかが、答案の出来を大きく左右しました。

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東大対策にみがきをかけよう。あなたの答案をZ会が添削。自分では見抜けない弱点が浮き彫りになる。

Z会では、特別講座『過去問添削』を開講中です。長年の分析に基づく正確な採点で現在の実力を正確に把握。そのうえで、あなたの答案に寄り添った適切なアドバイスにより、次の打ち手が明確になります。実戦力を効果的に高められる講座です。

 

Z会東大コース担当者からのメッセージ

2021年度は、東大日本史固有の提示文形式の問題への慣れ、東大頻出テーマの学習が大きくモノをいう試験でした。得点が伸びなかった受験生の中には、日本史の知識はしっかり習得できているにもかかわらず、提示文を使い切ることができず、解答が得点につながらないケースが散見されました。
東大日本史は、日本史の基本的な知識を確実なものにするとともに、提示文や資料から読み取った情報を活用して考察するという“東大日本史の解き方”に慣れておくことが重要です。Z会の通信教育「過去問添削」で、過去問演習を積みながら、答案の書き方から内容まで添削指導を受けて論述力を磨くとともに、丁寧な解説で復習を行うことにより、東大日本史への対応力を高めましょう。

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