東大理系数学

東大理系数学(2020年度)− 東大過去問対策 合否を分けた「差がつく一問」

Z会の東大コース担当者が、2020年度入試の東大理系数学を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、東大理系数学の攻略法を詳しく解説します。

まずは、2020年度の「東大理系数学」を俯瞰しよう

はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を正確に把握しましょう。

解くべき問題を見極めて確実に得点する!

2020年度の東大理系数学は、典型問題から思考力が必要な問題まで、いろいろなタイプが出題されており、難易度もさまざまです。限られた時間内で合格点を確保するためには、解けそうな問題を見定めて最適な解法を選択し、確実に得点することが近道です。

 

合否の分かれ目は?

受験生の答案データを見てみると…

大問 合格者
平均
不合格者
平均
第1問 13.6 7.8 5.8
第2問 6.6 3.2 3.4
第3問 17.3 11.8 5.5
第4問 7.6 4.5 3.1
第5問 8.5 7.6 0.9
第6問 3.1 0.3 2.8

上の表は、再現答案をZ会で分析した採点基準に照らして採点した結果です。合格者と不合格者で差が大きかった問題は、第1問、第2問、第3問でした。

第1問は証明問題であり、証明の方針はわかっているものの、記述力の差によって得点にも差がついたようです。また、第3問は数学IIIの微積分の典型問題で、手がつけられなかったという人はほとんど見られなかったですが、分量が多いため、最後まで解ききることができるかどうか、つまり腕力があるかどうかで差がつきました。

このように、第1問、第3問は方針はわかったものの記述力、計算力の差によって明暗が分かれましたが、第2問はそもそも解答の方針がわかったかどうかで差がついています


差がつく一問は
≪第2問≫

問題のPDFはこちら

差がつく一問の注目ポイント

数学では、もちろん記述力も計算力も大切ですが、まず方針が立てられなかったらどうにもなりません。第2問は、小問がなく、問題文中に何を使って解くかという手がかりもないので、自分で方針を発想しなければならない問題です。この問題は、実は中学範囲の知識でも解けるのですが、最初に方針を見誤ると、解くのに時間がかかったり、正解にたどりつけなかったりします。以下で、どのように「発想すればよかったか」を見ていきましょう。

 

受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう

Z会では、受験生が作成したこの大問の再現答案を、独自の採点基準に基づいて添削しました!

結果はこちら

再現答案にZ会が添削!

Z会が採点した結果は、20点中1点。最終的な答えにたどり着けなかったことも響き、Z会が設定した目標点である12点を大幅に下回る結果となりました。

得点分布グラフ
※満点・目標点はZ会の分析による。志望科類(学部)によって、過去問添削の成績表に表示される目標点と異なっていることがあります。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。

目標点とのギャップをどう埋める?

この答案では、Xが内部にあるときは不適であることを述べています。これは先に断っておくのがよいですね。そして、座標を導入して考えていますが、一般性を失わないように設定しているところはよいです。あとは、絶対値記号をはずしてSを整理するわけですが、ここで力尽きています。朱筆でも示したように、絶対値記号をはずすためには、Xの位置で場合分けすることが必要です。さらに、場合分けに気づけば、Sが1つの三角形の面積で表されることにも気づきやすくなります。そこまでいけば、平面幾何の解法を思いつくことができ、目標点に到達できるでしょう。

受験生全体の解答傾向は?

紹介した答案のように、座標を導入することはすぐに思いつきますが、この方法だと、後の処理が非常に大変になります。また、△ABCを直角三角形にするなど、特別な場合だけを考えたものがいますが、これも大きく減点されます。

この問題では、あとの処理も考えて「何を用いて解くか」を決めることが重要であり、ベクトルや平面幾何の利用に気づくことが第一歩です。これができたのは全体の35%で、そのほぼ全員が合格者でした。これに対し、不合格者では、座標を導入した人やそもそも方針が立てられず白紙の人が目立ちます

ベクトルや平面幾何の利用に気づいた後は、△ABCと点Xの位置から6つの場合に分ける、「図形の条件→式の条件」に読みかえる、という2つのポイントがあります。合格者では、方針に気づき1つ目のポイントまでクリアできた人が大部分です。2つ目のポイントは処理できなかった人も多いですが、図形問題では頻出の考え方であり、これができれば、ほかの人に差がつけられたといえます。

Z会が独自作成。この大問の採点基準はこちら!

大学から採点基準が公表されていない中、Z会では、実際の受験生の再現答案や得点開示データを毎年収集し、綿密に分析。長年の分析に基づいて作成した独自の「採点基準」で、本番に限りなく近い採点を可能にしています。

「2020年度入試 東大理系数学 第2問」の採点基準

配点 20点

  • 6つの場合に気がついて:6点
  • XがD1,D2にあるときの領域を求めて :各4点
  • 上記の面積を求めて:各2点
  • 答を得て:2点

一言コメント:
Z会で分析した結果、以上のように大まかに配点されている様子が見てとれました。

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Z会東大コース担当者からのメッセージ

参考書・問題集の学習では、どの分野の問題であるかがわかって問題演習することが多いですが、本番ではもちろんそんなことはわかりません。自分で問題を分析し、「何を用いて解くか」を判断しなければなりません

上記で紹介した第2問について合格者アンケートで「『面積を答えさせるのに図示させない』ということは、面積は求めやすいが、図形を式で表すのは大変なんだろうと思い、平面幾何で攻めた」という感想がありました。見事な分析力ですね。このような分析力や発想力をつけるためには、本番形式の演習をするのが一番です。また、第1問、第3問では記述力、計算力で差がついたと述べましたが、その2つを磨くこともお忘れなく!

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