更新日:2022年7月29日
執筆:中学受験コース教材作成者・M
中学受験の世界では、御三家と呼ばれる3つの学校があります。前回記事では、男子御三家と呼ばれる男子校3校(開成・麻布・武蔵)を紹介しましたが、同じく女子校にも女子御三家と呼ばれる3校があります。
今回は、女子御三家をテーマに、御三家の入試で求められる力や合格のために何を対策すれば良いかについても解説。
「女子御三家ってどこのこと?…」という方から「受験を考えている」という方まで必見の内容です。
女子御三家は、
桜蔭・女子学院・雙葉
女子校の御三家、いわゆる女子御三家といえば、一般的に桜蔭・女子学院・雙葉の3校です。
3校とも伝統・実力を兼ね備えた人気の高い女子中学校です。
男子御三家と同様、人気だけでなく入試の難易度もトップクラスであり、多くのハイレベルな受験生が集うことから、最難関中学としても有名です。
3校とも私立の女子中高一貫校ということは共通していますが、校風や教育方針は様々で、各校とも独自の教育を実践しています。
桜蔭中学校
創立:1924年(大正13年)
東京都文京区にある中高6年一貫校。
東大をはじめとする難関大への抜群の合格実績を誇り、全国屈指の進学校として名高い桜蔭。
建学精神である「礼と学び」の心を大切に、自立した女性の育成を実践。特徴の一つにキャリア教育があり、さまざまな分野に関わる卒業生による講演会を実施しています。
女子学院中学校
創立:1870年(明治3年)
東京都千代田区にある中高6年一貫校。
プロテスタントのミッションスクールで、女子御三家のなかで最も歴史のある学校です。
制服やこまかな校則がなく、生徒の自主性を尊重する明るく自由な校風のなか、自立した女性の育成を実践しています。中高どちらのカリキュラムにもある週に一度の「聖書」の時間も特徴の一つです。
雙葉中学校
創立:1875年※(明治8年)※雙葉学園の前身となる女子の語学校「築地語学校」を築地明石町に設立。
東京都千代田区にある中高6年一貫校。
カトリックの精神に基づく全人教育を教育方針に掲げ、「一人ひとりを大切にすること」が学校生活の柱となっています。全学年にある「宗教」の授業や、中学3年から始まる「フランス語」の授業などが特徴です。
女子御三家の
受験科目と配点
「問題を解くスピード」が合否を左右する
男子御三家の入試と同じく、女子御三家の入試も非常に難しいです。
難易度の高い問題が出題されることにくわえて、ハイレベルな受験生による競争が起こります。
まずは、各学校の入試問題の科目と配点を見てみましょう。
難関中学の配点は、国語・算数が高く、理科・社会は低い傾向にありますが、女子学院は4教科とも同一配点であることが特徴的です。
(2022年度)
学校\科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 |
---|---|---|---|---|
桜蔭 | 100点 | 100点 | 60点 | 60点 |
女子学院 | 100点 | 100点 | 100点 | 100点 |
雙葉 | 100点 | 100点 | 50点 | 50点 |
つぎに、試験時間と問題数(解答箇所)を見てみましょう。すると、女子御三家の入試の特徴が浮かび上がってきます。
(2022年度)
学校\科目 | 国語 | 算数 | 理科 | 社会 |
---|---|---|---|---|
桜蔭 | 50分・18 | 50分・15 | 30分・38 | 30分・52 |
女子学院 | 40分・43 | 40分・35 | 40分・63 | 40分・34 |
雙葉 | 50分・41 | 50分・12 | 30分・34 | 30分・41 |
※注意する必要があるのは「問題の難易度が非常に高い」ということです。
表に書かれている問題数(解答箇所)ですが、誰でも解ける・ただ暗記していれば解けるという簡単な問題の数ではなく、並の受験生ではまず解けない・ハイレベルな受験生でさえ一苦労するほど難しい問題の数であるということは把握しておきましょう。
以上をふまえると、次のことが分かります。
・問題の難易度と問題数(解答箇所)に対して、解答時間が短く、1問1問を素早く解いていく力が要求される
女子御三家の入試問題は、ただ知識さえあれば素早く解けるという訳ではありません。
一般的に、知識をただ問うだけの問題が多いのが理科・社会です。しかし、女子御三家の理科・社会の問題では、小学生には馴染みのない題材を扱い、リード文に考えのヒントがいれてあるなど、出題が工夫されています。
この能力が女子御三家では求められているのです。
女子御三家の対策
「何を答えるか」ではなく
「どう考えるか」に注目
女子御三家の入試では、1問1問を最短時間で解答していくことが重要、とお伝えしました。
それでは、どのようにしてそのような力を伸ばしていけばよいのでしょうか。
それは、様々な問題や視点・解法に触れ、より良い考え方をコツコツ身につけていくことが確実な方法だと考えます。
たとえば、以下の問題を考えてみてください。
164 × 99 と 396 × 9 をそれぞれ計算して…というのでは、スピードが求められる女子御三家の問題には太刀打ちできません。
工夫して計算することが大切で、問題をパッと見た瞬間、多くの人はまず「9」が共通していることに着目すると思います。
99 = 11 × 9 ということに気づいた場合
【解法1】
164 × 11 × 9 + 396 × 9
= (164 × 11 + 396) × 9
= (1804 + 396) × 9
= 2200 × 9
= 19800
しかし、396が99の倍数であることに気づけば、さらに早く計算することができます。
396 = 99 × 4 ということに気づいた場合
【解法2】
164 × 99 + 99 × 4 × 9
= (164 + 4 × 9) × 99
= 200 × 99
= 19800
「ただ正解すればよい」という考えでは、女子御三家が要求する解答スピードは身につきません。より良い解法、より正解に近い考え方を普段の学習から追求していきましょう。
また、様々な出題に触れることも効果的です。同じ内容でも出題のされ方が違うと、うまく知識が引き出せないこともあります。
たとえば、一つの教材を何度も繰り返すのではなく、同じくらいのレベル・テーマを扱った他の問題集に取り組んでみましょう。
「やったことがある問題だけど、なぜかいつも解けないなぁ」とお子さまが感じているような場合は、いつもとは違う問題集に取り組ませるとよいでしょう。
まとめ
女子御三家の入試では「問題を解くスピード」が重要!
<対策法>
・より良い解法がないかを追求する
→ 答えだけでなく、考え方も適切なものだったか確認する。より簡単に・より早く解ける解法があれば、習得する。
・様々な出題形式の問題に取り組む
→ 同じテーマでも問われ方が異なるだけで、解けなくなることもあります。様々な問われ方に慣れることで、知識が定着するだけでなく、知識を引き出すスピードも上がります。
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【対象学年】
・3~6年生
【ポイント】
・毎日練習ブック/練習問題/月例テスト(提出課題)など、様々な教材をご用意。多種多様な形式の問題に取り組めるので、学習内容の定着・問題を解くスピード向上につながります。
・月例テスト(提出課題)では、添削者が答案を細かくチェックします。自分ではなかなか気づきにくい、より良い表現・解法が身につくよう指導します。
今回は、女子御三家について解説しました。
3校の特徴や入試で重要となる能力が分かったのではないでしょうか。
女子御三家に挑戦したいという方は「問題を解くスピード」を普段から意識して学習しましょう。
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