Z会 イマドキ中学受験情報【21】
プロが解説!中学受験「理科」の勉強法・差がつく単元のコツ

更新日:2023年3月15日
執筆:中学受験コース教材作成者・T

Z会 イマドキ中学受験情報【21】プロが解説!中学受験「理科」の勉強法・差がつく単元のコツ国語や算数の対策が中心で、理科は後回しになりがちなお子さまも少なくないと思います。
しかし、理科は点数を落とさないことが大切な教科。

今回はZ会小学生向けコースの理科教材の担当者から、効率的に学習ができるおすすめの勉強法、差がつきやすい単元のおさえておきたいコツをお伝えします。

目次

 
 

理科対策の基本

① 4分野のなかに苦手をつくらない

中学受験における理科の出題範囲は、物理・化学・生物・地学の4分野に大きく分けられます。
入試では各分野からバランスよく出題されることが多いので、苦手分野を作らないことが大切です。

 

② 「覚える」→「考える」の順で学習を進める

理科では非常に多くの知識を身につける必要があります。くわえて、計算問題などでは「考える力」も必要です。

理科の学習では「覚える」と「考える」の両方が求められるのですが、「覚える」→「考える」の順で学習を進めましょう。
というのも、考える力が問われる問題では、知識が身についていることを前提としたものが多いからです。

問題に取り組むときは、丸付けをした後の学習も大切にしましょう。
しっかりと復習を行うことで、知識を定着させるだけでなく、問われかたが変わっても対応できる力が身についていきます。

【学習の進め方】

「覚える」
基礎的な知識や解法をしっかりと身につける

「考える」
さまざまなパターンの問題に取り組む

【復習の仕方】

〇間違えた問題
覚えておくべき知識に抜けがないかを確認。
必要に応じて、参考書などで知識を整理しておく。

〇正解した問題
解説を読み、知識を定着させる。

理科が苦手な子は何が原因?

知識や解法がしっかりと身についていないまま問題に取り組んでいる場合が多いです。

上で説明したとおり、理科は基礎的な知識や解法を知っていることを前提として、そこから考えさせる問題が出題されます。入試問題でも、問題文で初見の内容を与え、知識と組み合わせて考えさせるというパターンが多いです。理科が苦手なお子さまは、まずは基礎的な知識や解法に抜けがないかを確認してみましょう。

 

③ 入試本番は時間配分を意識する

理科に限った話ではないですが、入試本番では時間配分が大切になります。物理・化学・生物・地学の4分野から出題される学校が多いので、最初から解くよりも、まず全体を見て、自分が得意な分野から・すぐに解けそうな問題から等、自身に合った順番で解いていくことをおすすめします。

例えば・・・
・点が取りやすい知識問題を片付けてから、計算問題にじっくりと取り組む。
・手も足も出ない問題は後回しにして、まずは他の解けそうな問題を解くことや解けた問題の見直しに時間を使う。

 
 

【物理編】
差がつく単元のコツ
力学「てこ」

物理分野で差がつきやすい単元は力学

他の分野に比べ、物理分野で覚えることは少ないですが、論理的思考力や計算力が必要な問題が多く出題されます。
まずは基本的な知識や解法を身につけてから、さまざまな問題に取り組みましょう。

物理分野では力学・電気・光・音・熱などから出題されますが、とくに入試頻出かつ差がつきやすい単元は「力学」です。

 

力学「てこ」のコツ

力学で頻出の「てこ」について解説します。

絶対におさえておきたいのは以下のポイントです。
「右まわりに回そうとするはたらき = 左まわりに回そうとするはたらき」のときにつり合う

問題を解くときはつねにこのポイントを意識しましょう。
ただ何となく形で覚えていると、【図1】のような基本的な形の問題は解けても【図2】のような問題に対応できなくなります。

しっかりとポイントをおさえていれば、【図1】【図2】どちらも考え方は同じだということが分かります。

他にも、「棒に重さがある」「棒の太さが一定でない」などの条件が加わる場合もあります。そういった場合でも、棒の重心におもりがついていると考えれば、あとは同様の手順で解くことができます。

 

てこを利用した道具

てこを利用した身近な道具について、入試で出題されることがあります。支点・力点・作用点の3点について正しく理解しておきましょう。

【くぎぬき、せんぬき】
支点から力点までの距離 > 支点から作用点までの距離 
⇒ 力点に加えた力 < 作用点にはたらく力

【トング】
支点から作用点までの距離 > 支点から力点までの距離 
⇒ 作用点にはたらく力 < 力点に加えた力

 
 

【化学編】
差がつく単元のコツ
水溶液「中和反応」

化学分野では計算力が求められる

化学分野では、気体や水溶液、燃焼などから出題されます。
小学校の学習では計算問題はほとんど出ませんが、中学入試では計算問題・グラフを読み取る問題が多く出題されます。

また、実験器具やその使い方は小学校でも実験を通して学習しますが、入試でも問われることがあります。
覚えていれば点数が取れるところなので、しっかりと覚えておきましょう。

 

「中和反応」のコツ

化学分野の中でも、とくに入試で出題されやすいのが「中和反応」です。

中和反応の問題では、以下のポイントをおさえておきましょう。
水溶液の中にどんなものが溶けているかを、〈つぶの目〉で考える。

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜ合わせたときの反応を〈つぶの目〉で表したのが、次の図です。

中和反応


塩化水素(●□)と水酸化ナトリウム(◎■)が反応すると、酸性のもとになる とアルカリ性のもとになる ■ が結びついて水(■)ができます。
この反応が「中和」です。また、 と ◎ が結びついて、食塩(◎)ができます。

次に、中和の進むようすを考えます。
【図A】〈つぶの目〉で見て、塩酸の中に塩化水素のつぶ ●□ が3つあるとします。

図A

これに水酸化ナトリウムのつぶ ◎■ を1つ・2つ・3つ……と加えていくと、次のようになります。

中和反応が進むようす

※図では、水のつぶは、反応でできたもの以外は省略しています。また、実際には食塩はナトリウムイオンと塩化物イオンに電離していますが、ここではわかりやすさのため、食塩の形で図解しています。


【図B】
Aに ◎■ を1つ加えると、●□ のうちの1つが「●□+◎■ → ◎■」のように反応します。
Aと比べると、塩化水素のつぶ ●□ が1つ減り、食塩のつぶ ◎ が1つ増えています。

【図C】
Bに ◎■ をもう1つ加えると、さらに反応が起こります。

【図D】
Cに ◎■ をもう1つ加えると、さらに反応が起こります。
このとき水溶液の中にあるのは、水のつぶをのぞけば、食塩のつぶだけです。

【図E】
Dに ◎■ をもう1つ加えると、水溶液の中に ●□ がないので反応が起こりません。
Dと比べると、水酸化ナトリウムのつぶが1つふえています。

A~Eの水のつぶ ■ を省略すると、次のようになります。

図A~図E


図A→B→Cでは、酸性のもとになる の数が少なくなっていくので、酸性が弱くなっていきます。

次に、図Dのように、水溶液の中が食塩のつぶだけになります。
塩化水素のつぶも水酸化ナトリウムのつぶもないのは、2つが過不足なく反応したからです。
このとき水溶液は中性で、この点を中和点といいます。

中和点をこえると、図Eのように、加えた水酸化ナトリウムのつぶ ◎■ がそのまま水溶液の中に残ります。
アルカリ性のもとになる ■ があるので、水溶液はアルカリ性です。
Eにさらに水酸化ナトリウムを加えていくと、アルカリ性のもとになる ■ の数が多くなっていくので、アルカリ性が強くなっていきます。

目に見えないため理解が難しい中和反応でも、このように図を描くことで、水溶液の変化がわかりやすくなるでしょう。

 
 

【生物編】
差がつく単元のコツ
植物「対照実験」

生物分野は基本を確実に覚えておく

生物分野では、植物や動物、人体などから出題されます。覚えるべきものが多いので、とにかく知識のインプットが大切です。

入試ではあまり聞いたことのない生物について出題されることもありますが、大抵は問題文で説明があるので、無理に覚える必要はありません。
まずは、教科書や参考書で扱っているような生物を確実に覚えましょう

教科書や参考書を読んだり、暗記カードを作ったりなど、覚え方はお子さまが取り組みやすい方法でかまいません。

 

入試頻出の内容を効率よく覚えられる!
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入試に出る生物を厳選して掲載したZ会発刊の中学受験用の図鑑です。
図鑑専用の無料復習ドリルもあり、「覚える」→「確認する」を効率よく進められます。

 

「対照実験」のコツ

生物分野でよく出題されるのが「対照実験」をテーマにした問題です。

対照実験をあつかう問題では、以下のポイントをおさえておきましょう。
・条件の差異に注目する
・実験で設定されている条件以外のことはわからない

以下の例で説明します。

【実験結果の違いは、条件の違い】
この実験では、植物の成長に適当な温度が必要かどうかを調べるために、温度以外の条件をア~ウすべてで揃えています。

実験の結果、温度が低すぎるアや温度が高すぎるウであまり成長していないことから、植物がじょうぶに成長するためには適当な温度が必要であることがわかります。

【実験で設定されている条件以外のことはわからない】
入試では「実験の結果からわかること」をよく問われます。その場合、実験の条件からわかることだけを考えましょう。

この実験では光があれば必ずしも日光が当たらなくても成長することはわかりますが、光がない状態と比べていないため、成長に光が必要かどうかまではわかりません。
今回の実験結果から植物の成長に必要だとわかるのは「適当な温度」だけなので、この実験からわかることを問われた場合、「植物の成長には日光が必要である。」など、実験の条件からはわからないことを答えてしまうと誤りになります。

 
 

【地学編】
差がつく単元のコツ
天体「月」

地学分野で差がつきやすい単元は天体

生物分野と同様、地学分野でも覚えるべきものが多いです。
星の明るさや色、星座早見を使った星座の観察方法、東西南北の空の星の動き、太陽の動き、太陽系の天体、月の動きや満ち欠け、天気と気温や湿度の変化、季節ごとの天気の特徴、流れる水のはたらき、火山、地震など多岐にわたります。

とくに入試頻出で差がつきやすいのは「天体」に関する問題です。

入試頻出の内容を効率よく覚えられる!
おすすめ教材

また地学分野では、理科の時事問題がよく出題されます。
ニュースそのものが問われるというよりも、その年に話題になったニュースを導入として、教科書や参考書などの知識を問う問題が多いです。
その年に話題になったできごとに関連した内容や用語を確認しておくとよいでしょう。

 

天体「月」のコツ

つまずきがちなお子さまが多い、月の形と見える時刻について解説します。

月の問題では、以下のポイントをおさえておきましょう。
・宇宙から見た図を描いて、太陽との位置関係で考える
・「宇宙からはどう見えるか?」「地球からはどう見えるか?」の2つの視点で考える

まずは、次の図を描けるようになっておきましょう。
セットで4方向の時間帯も覚えておきます。

※地球を北極点側から見た図なので、地球は反時計回りに自転しています。
もっとも明るくなる(太陽の正面を向く)ときが正午で、そこから自転方向に時間が進んでいくと理解しておきましょう。

あとは、この図のどこで上弦の月や満月といった形に見えるのかがわかれば、その形の月が見える時刻も自然とわかります。
いくつか例を掲載しておきます。

【上弦の月】
正午ごろ出て(地球では図のAの位置)、午後6時ごろ南中し(B)、午前0時ごろ沈みます(C)。昼間は太陽の光が強いので、地球から見えるのは夕方ごろからです。

【満月】
太陽と反対の位置にあります。午後6時ごろ出て(A)、午前0時ごろ南中し(B)、午前6時ごろ沈みます(C)。月の出から月の入りまで一晩中見ることができます。

ただ暗記するのではなく、宇宙から見た図を描いて太陽との位置関係で考えることがポイントです。

入試では、午前〇時のような具体的な時刻ではなく、以下のように示されることがあるのであわせておさえておきましょう。

 
 
 
 


今回は理科の学習法と差がつきやすい単元のポイントについて紹介しました。
中学受験はどうしても国語や算数の学習に時間がかかるので、なかなか理科に手をつけられないお子さまも多いかと思います。

今回紹介したようなポイントをおさえつつ、効率よく学習を進めていきましょう。

 
 

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