共通テスト学習相談室(2023年8月号)

投稿日時:2023年8月19日

今回は、受験生なら誰もが気になる「学習の進め方」に関する質問を、回答分量・アドバイス多めでご紹介。ぜひご参考ください!

 

夏休みの学習の進め方について

受験生の悩み

何から手をつけていいのか分かりません。

共通テスト対策を始めるのか、それとも過去問等を解き始めたほうが良いのでしょうか?また、重点的に学習しておいた方が良い教科はありますか?
志望校を早めに絞りたいのですが、この夏の模試の結果をみて考えたいと思っています。学習の進め方のアドバイスをお願いします。

【高3、京都大学 経済学部 志望】

Z会がお答えします!

学習支援担当

【共通テスト対策は基礎理解が大切】「各分野に対する基礎的な理解」が共通テストではとても大切です。基礎的な理解の補強がそのまま共通テストの対策になりますので、時間がとれる夏に、理解が曖昧な分野を重点的に整理・確認し、知識の定着を図りましょう。

【過去問演習について】本格的な過去問演習は、志望校が確定してからで良いですが、本番形式の模試を受ける予定でしたら、その予行演習と思って1、2年分解いてみるのは手です。志望校を確定させて過去問演習に本腰を入れるまでは、基礎レベルの参考書や教科書等を活用し、既習分野のなかから「理解が不十分なもの」を洗い出して、全体的な知識の補強を図りましょう。

【重点を置いた方がよい教科】どの大学を志望するにしても二次試験で使う英数国です。その中でもさらに優先順位をつけながら学習していくと良いでしょう。
例えば、苦手な単元がある場合は、その単元は優先的に教科書や参考書で基本知識を確認することから始めて、参考書で少しずつレベルを上げて演習を積むなど時間をかけて学習していきましょう。

「英語」については、京大阪大ともに高い水準の和文英訳・英文読解の能力が求められます。英文解釈と英作文の学習は、いずれにせよ合格に結びつく力になるはずです。

「数学」「国語」については基本的な解法や知識(=国語は特に古文・漢文)は重要なので、毎日時間をとりたいところです。ただ、基本レベルに不安がなければ、過去問演習を開始してから、志望校の出題傾向に合わせていくというスタンスでも良いでしょう。

一次試験でしか使わない「理科(基礎)」または「理科」、「社会(地歴公民)」は、毎日一定の時間を割くことをお勧めします。なお「地歴」については、志望校を京大にした場合、スムーズに二次試験対策に移行できるよう、知識の定着にとくに力を入れておくと良いです。

【志望校について】合格しやすさという観点では、模試の判定や大学自体の難易度は重要な指標ですが、出題傾向や配点との相性も関わってきます。迷われている阪大と京大では「制限時間の長さ(90分と120分)」「配点(二次試験の比率)」「教科(地歴の有無)」などにも違いがあります。この辺りも踏まえつつ、ご自分にあった志望校決定をされるとよいかと存じます。

志望校は早めに決めたほうが良いですが、焦って決めるのは良くありません。夏の模試の結果で決めようということでしたが、夏はまだ基礎固めが中心になると思うので、結果には表れづらいと思います。そのため、成績が原因で志望校を決めかねているようでしたら、秋の冠模試ごろまでは京大を目指して学習していき、秋の冠模試の結果で最終的な第一志望校を決めるのでも遅くはありませんよ。ただ、こうする場合は、地歴は二次試験を意識した学習を夏のうちから行うようにしてくださいね。

夏休みの学習計画について、効率の良い時間配分を教えてください!

受験生の悩み

夏休みには本腰を入れて勉強に励みたいと思っているのですが、午前中に学校があって午後しか勉強できない日、オープンキャンパス等で夜しかまとまった時間が取れない日の勉強の時間配分があまりよく分かりません。限られた時間を有効活用するためにはどうすればいいでしょうか。
直近の模試は学校で受けた河合塾の第二回全統共通テスト模試で、その得点率は65%(自己採点)で、個人的に満足のいく結果ではなかったです。世界史、理科基礎は夏休みに総復習をやる予定です。

【高3、東京外国語大学 言語文化部 志望】

Z会がお答えします!

学習支援担当

日ごろの学習には、問題演習のようにまとまった時間がほしいもの、単語暗記のように隙間時間に行うもの、の2つがあります。この2つを上手に使えるような学習計画を考えましょう。

【まとまった時間での学習について】まずは、午前中・午後・夜でそれぞれ何時間学習できるのかを把握しましょう。実際に何時間できるのかわからなければ、何をどれくらいやるかの目安ができなくなります。
標準的には、午前中は9時〜12時の3時間、午後は14時〜18時の4時間、夜は20時〜22時の2時間で計9時間です。1週間ごとに予定を書きだし、学校のある日は午後・夜、オープンキャンパスのある日は夜のみ、と考えて計画を立てていきましょう。まとまった時間での学習は、英語の長文演習、共通テスト対策の問題演習など、隙間時間には取り組めないものを中心にするのがおすすめです。Z会教材はかかる時間が比較的計算しやすいですから、「1日1つ」といった形で、夏休みもぜひご活用ください。

【隙間時間での学習について】隙間時間は、学校の行き帰りの電車内、風呂上り、食事前など、どうしても手待ちになる時間に行うと良いでしょう。
5分、10分しか取れない場合がほとんどですので、時間を有効活用するためにも、何をするのか、事前に教材を2〜3個に絞り込んでおくことがおすすめです。たとえば、英単語、古文単語のように、赤シートなどを使いながら短時間で取り組めるものが良いです。

また、模試の成績を拝見しました(※)。現時点では共通テストの成績に一喜一憂する必要はありませんが、全科目の底上げが必要と考えられます。夏休みは応用問題を解く前提として、必要な道具である基礎を強化する期間です。数学の『チャート式』(数研出版)をはじめとする網羅型問題集、英語の『ネクステージ』(桐原書店)などの文法問題集といった、入試問題を解くにあたって必要になる知識を収録した問題集については、この夏に9割以上は解けることが目標になります。ぜひこの点を意識して学習を進めていってください。
※Z会では、模試の成績をもとにしたアドバイスも行っています。

 

共通テスト形式の問題はいつから解き始めるのが良いですか?

受験生の悩み

共通テスト型問題は、何月頃から始めるのが望ましいでしょうか? 夏休み中から始めるべきですか?

【高3、名古屋大学 法学部 志望】

Z会がお答えします!

学習支援担当

どの教科も秋以降から手をつけ始めて良いと思います。

夏からした方がいいのでは、、、?と不安になるかもしれませんが、夏は各教科の苦手分野を強化したり、記述力を高めることに当ててください。なぜなら、共通テストの形式は秋から対策を始めても間に合うくらい比較的慣れやすいですが、記述は効果が出るまでに時間を要するからです。そのため、イメージとしては夏までに各教科の苦手分野の底上げと2次試験の記述の学習をメインに行い、秋から共通テスト本番までの1ヶ月ちょっとで2次試験の対策を中断し共通テスト対策に専念するのが良いでしょう。

ただし、夏休みの学習を記述対策メインにすると、共通テストでしか使わない科目の対策が手薄になってしまう恐れがあります。共通テストでしか使わない科目は高1高2の間に履修していたので、基本的な内容をほとんど覚えていない、という場合は教科書や学校で配られた問題集を使って、夏休み中に基本的な知識の確認をしていくとよいでしょう。そうすれば、秋以降の共通テスト型の問題を解く段階にスムーズに移行できるでしょう。

共通テスト予想問題集はどのように活用できる?

受験生の悩み

共通テスト対策として予想問題集をやろうと思っているのですが、全科目やるべきでしょうか。それとも科目数を絞ったほうが良いでしょうか。
また、共通テスト予想問題集は周回すべきでしょうか?

【高3、横浜国立大学 経済学部 志望】

Z会がお答えします!

学習支援担当

共通テストは全科目の合計点数をもとに合否を判定する以上、全科目でバランスよく得点することが求められます。試験の出題傾向や解答形式など、共通テスト特有の傾向への対策も必要なため、基本的には受験する全科目の対策をバランスよく取り組むべきと言えます。

ただ、対策を始める前に、各科目の基礎的な内容を定着させることが最優先です。いまの時期は、理科や社会などの未習範囲をはじめ、他の科目でも基礎的な内容がまだ十分に身についていない分野があることでしょう。共通テストも2次試験も、基礎的な内容が十分に理解できていない状態では、効果的な対策につながりません。理解があいまいな部分や苦手な分野が残っている場合は、弱点を克服し、しっかりと基礎を定着させてから予想問題集に着手しましょう。(なお、未習範囲が残る科目は、授業で習い終えてから対策を始める方針で構いません。)

共通テストの予想問題に取り組む際も、一度解いた問題をもう一度解いてみることが大切です。ただし問題数が多いため、間違えた問題や曖昧な問題に限って取り組む方針でも構いません。どの問題も、「正しい考え方に従って正解を出すことができているか」は必ずチェックしましょう。実力を高めることはもちろん、自分の成長も実感できるためおすすめです。

対策を得点に結び付けられるように、基礎を固めて対策に臨みましょう。

英語:時間内に解き終わるためには、どのような対策が効果的ですか?

受験生の悩み

時間が足りず、全ての設問を解けないことに困っています。

速読力などが不足している点が原因だと感じていますが、大問を読む順番についても様々な情報が耳に入り、何がベストなのかわかりません。模試などでいくつかの方法を試してみましたが、結局時間内に解き終わることには繋がらなかったので、どれが効果的だったのかいまいち分かりませんでした。

【高3、東北大学 法学部 志望】

Z会がお答えします!

学習支援担当

大問を読む順番については、解きやすいように進めていただければ良いです。全設問を時間内に解くために必要なのは、速読力だけではなく読解力を伸ばすことです(読解力があがると、その分スムーズに設問に取り組めるというわけです)。

読解力向上のための学習方針が決まっていらっしゃる場合、それを貫いていただければ大丈夫ですが、悩んでいたりはっきり固まっていない場合の参考に、以下では読解力を伸ばすための道筋を提示しておきます。

読解力が伸びない原因としては、「①英文の構造が把握できていない」「②英文読解の経験値が浅い」「③語彙力が万全でない」3つが考えられます。

①:英文の構造が把握できていないとは、英文法の知識を、文章の意味を理解するために必要な知識に変換できていない、ということです。ただ文法問題が解けるだけの知識では、読解には使えません。読解ができるようになるためには、まず英語を英語のまま理解できるようになる必要があります。主語がどこからどこまでか、どこまでが関係節で何を修飾しているのか、こういったことが見抜けるようにならないといけません。
このような英語の構造を把握する能力を養うには、『大学入試 世界一わかりやすい英文読解の特別講座』(KADOKAWA)という参考書がおすすめです。この参考書の説明を読めば、英文の構造を把握することの大切さもわかると思いますので、ぜひ一度手に取ってみてください。

②:単に英文読解演習の経験が浅いことも考えられます。こちらについては、ぜひZ会の共通テスト予想問題などに取り組み、その復習を時間をかけてしっかりと行なってみてください。解説をじっくり読んで、読み方・解き方を習得することで、ただ闇雲にたくさんの問題を解くよりも学習効果が高くなります。

③:語彙力が万全でないという原因も考えられます。標準的な語彙については、少しでも記憶が曖昧だと英文全体の読解に支障をきたします。ですので、シス単などの標準的な単語集を何度も繰り返して標準的な語彙を完璧にしていきましょう。

繰り返しになりますが、共通テストのリーディングにおいて解く順番はさほど重要ではありません。問題全体の傾向としては、前半の方が難易度は低いことが多いため、前から順番に解いていく形でかまいません。もちろん、演習を積む中で自分のやりやすい順番で解いていけば良いのですが、今回のように時間内に解き終わらないことが悩みである場合は、まずは読解力をどう向上させるかを検討することがポイントです。

Z会からのアドバイス

 

上記の相談内容にもあるように、夏休み前後に、皆さんの共通テスト対策へのモチベーションが高まります。
本試験まで時間がありますが、模試の結果などを参照して計画的に・優先順位をつけながら対策を進めていってほしいと考えています。

共通テストは、平均点付近には、1点に何千人、何万人が位置する試験となるため、ちょっとしたことで相対評価(偏差値、判定など)は大きく変わります。
そのため、模試の成績の相対評価をもとに一喜一憂する必要はありませんが、絶対評価=得点は、常に気にしておく必要があります。

皆さんの志望する大学・学部の合格者平均点は公表されているため、本番で何点程度取る必要があるかは容易に明らかになるはずです。
本番で必要となる得点(=目標点)と、現状の得点のギャップを確認し、差が大きい科目から優先的に対策を行うようにしましょう。

対策の方法については、これまでも何度も書いていますが、あらためてお伝えします。

  • 「時間無制限でも目標点に達することができない」場合は、基礎力の不足を疑い、教科書や基本問題集での基本の確認を優先
  • 「時間内の得点率が上がらない」場合は、共通テスト形式に慣れるため、共通テスト専用の問題に時間を測って取り組む

皆さんの学習を応援してます!

(Z会高校学習支援担当 山邊圭祐)

 

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