大学入学共通テストを乗り越える方法 ~〔政治・経済〕から見えるこれからの入試~

センター試験は2020年1月実施が最後になり、それ以降はセンター試験にかわって「大学入学共通テスト」が行われます。センター試験のかわりに行われる「大学入学共通テスト」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

 

センター試験と共通テストの違いとは?

大学入試センターは、大学入学共通テスト実施に先駆けて、2018年度は、約1,800校の協力校から約80,000人(いずれも延べ数)に対して施行調査(プレテスト)を行い、問題作成の方針等を決定していくために必要となるデータの分析、検証を行っています。大学入学共通テストがどのようなものになるか、試行調査の問題からある程度推測することができそうです。

 

たとえば、「政治・経済」では次のような問題が試行調査で出題されました。

【第4問 問7】

冬美さんは、オープンキャンパスの模擬授業で 2015 年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の 17 個の目標の中に、「貧困をなくそう」が掲げられていることを知った。次の会話文は、この「貧困をなくそう」という目標に関して冬美さんが父親と交わしたものである。
(中略)

冬美:民間による援助とともに、政府開発援助(ODA)も重要ね。それにしても、どうして先進国は発展途上国へ援助しなければならないの。

父 :それは、「情けは人の為ならず」だからじゃないかな。つまり、「人に親切にすれば、その人のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる」ということだよ。
無償資金協力や技術協力によって発展途上国を支援しておくことは、めぐりめぐって日本のためになるということだね。

冬美:えー、そういう意味だったの。私は、「人に情けをかけて助けてやると、その人は親切心に甘えて自立できなくなってしまうから、結局その人のためにならない」という意味だと思っていた。

父 :ちゃんと国語辞典で調べなさい。

冬美:でも、日本の ODA に関連する資料を見ると、私の理解もまちがっていないような気がするな。
今日のオープンキャンパスで、担当の先生は、日本の ODA の重要な基本方針の一つに、「X」があると言っていたの。先生は、「Y」の資料が、この基本方針と関連すると説明していたわ。

父 :確かに、関連があるのかもしれないな。

「X」に当てはまる基本方針
a 人間の安全保障の推進
b 非軍事的協力による世界の平和と繁栄への貢献
c 発展途上国自身の自発性と自助努力を重視

「Y」に当てはまる資料(図表が提示されています)
資料ア ODA総額に占める贈与比率の国際比較
資料イ 日本の二国間政府開発援助実績の地域別配分の推移
資料ウ 日本の政府開発援助実績の対国民総所得(GNI)比の推移

一方、2019年1月実施のセンター試験「政治・経済」では、たとえば次のような問題が出題されました(一部、表現を改めている箇所があります)。

【第1問】

問1 近現代の日本について特別裁判所に当たる裁判所として正しいものを、次の1~4のうちから一つ選べ。

1 家庭裁判所
2 皇室裁判所
3 知的財産高等裁判所
4 地方裁判所

問6 国連海洋法条約が定める内容についての記述として正しいものを、次の1~4のうちから一つ選べ。

1 公海では、すべての国に航行の自由が認められるわけではない。
2 大陸棚の幅は、沿岸国の基線から測定して200海里を超えることはない。
3 領海の幅は、沿岸国の基線から測定して最大3海里までである。
4 排他的経済水域では、沿岸国に天然資源を開発する権利が認められる。

試行調査の問題を概観すると、センター試験に比べて、より「考える」問題が目につきます。

今回紹介したセンター試験の問題では、基本的には「知識を問う」設問になっていますが、試行調査の問題では、複数の資料を比較検討して考える設問が見られます。

大学入試センターは大学入学共通テストにおいて、「思考力・判断力・表現力」を問いたいと明確に打ち出しています。たとえば、「政治・経済」の作問のねらいとする「思考力・判断力・表現力」について、次のように述べています(下線は筆者)。

【政治・経済】作問のねらいとする主な「思考力・判断力・表現力」についてのイメージ(素案)

  • 諸資料を活⽤し、現代における政治、経済、国際関係に関わる課題をとらえることができる。
  • 現代における政治、経済、国際関係に関わる「考え⽅」や制度、政策などの本質をとらえることができる。
  • 現代における政治、経済、国際関係に関わる事象の関係やその意味や意義について考察することができる。
  • 現代における政治、経済、国際関係に関わる事象について吟味し、その因果関係を多⾯的・多⾓的に考察することができる。
  • 現実社会の諸課題を多⾯的・多⾓的に考察し、課題の解決に向けて、公正に判断することができる。
  • 現実社会の諸課題について、その解決に向けて、様々な⽴場からの主張を根拠に基づいて考察し、公正に判断することができる。

たとえば、今回ご紹介した「政治・経済」のODAに関する問題でも、「ODAについての異なる立場について考察し、その根拠となる資料を正しく判断する」ことが求められています。

こうした「思考力・判断力・表現力」が大学入学共通テストでは今まで以上に求められるでしょう。

 

新しい大学入試に向けて、何をする?

これからの入試で求められる力とは、端的にいえば、

「物事の課題や本質を適切に捉え、多角的に考察し、課題解決する力」

といえるかもしれません。試行調査における「政治・経済」以外の科目である国語の「作問のねらい」をみても、そこには共通して求められる「力」があることがわかります。国語は記述式問題の出題を取りやめましたが、改めて「出題教科・科⽬の問題作成の⽅針 」として以下を掲げています。

 

 

 

⾔語を⼿掛かりとしながら、⽂章から得られた情報を多⾯的・多⾓的な視点から解釈したり、⽬的や場⾯等に応じて⽂章を書いたりする⼒などを求める。近代以降の⽂章(論理的な⽂章、⽂学的な⽂章、実⽤的な⽂章)、古典(古⽂、漢⽂)といった題材を対象とし、
⾔語活動の過程を重視する。問題の作成に当たっては、⼤問ごとに⼀つの題材で問題を作成するだけでなく、異なる種類や分野の⽂章などを組み合わせた、複数の題材による問題を含めて検討する。

「政治・経済」にせよ、「国語」にせよ、実は、求められる「思考力・判断力・表現力」は大きく乖離していません。いずれの科目も、求められるのは「物事の課題や本質を適切に捉え、多角的に考察し、課題解決する力」といって差し支えないのではないでしょうか。普段からすそういった観点をもって、学習したり、新聞や記事を読んだり、ニュースを見たりすることが大事だと思います。

同時にそれだけでは漠然とした不安は拭えないかと思います。大学受験生はやはり実戦形式でも学習していくことが必要です。Z会の通信教育 【専科】共通テスト攻略演習(大学受験生向け)は、全科目の対策が可能。Z会の独自分析により、思考力や判断力が求められる「新傾向」の問題にもしっかり対応。毎月の演習と復習を通して、「自分で考え、答えを出す力」を伸ばします。

 

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