1人1台タブレット配備の次はデータ活用 ~教育DXの前に起こること~ [Z会先生向け教育ジャーナル]

【2021年12月】

GIGAスクール構想や新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、1人1台端末の配備が加速度的に進みました。

近年では、「教育DX(教育デジタルトランスフォーメーション)」という用語なども聞かれはじめ、児童・生徒が1人1台端末を所持した後の教育のあり方について論じられはじめています。

しかし、端末が配備された次の段階として「教育のDX化」という用語を使うには時期尚早です。

現在、文部科学省をはじめとする関係省庁(デジタル庁・総務省・経済産業省 以下、関係4省庁)では、端末配備の次の段階となるデジタルを活用する段階に向けた準備を進めています。この議論が実現されていくと教育ICTのあり方も大きく変容してくることが予想されます。

今後の学校現場ではどのような変化が起こる可能性があるのか、いまできることは何かについてまとめてみました。

 

 

 

1.教育DXの段階と、いま関係4省庁で考えられていること

DX化には3つの段階があり、関係4省庁ではこの段階に照らして教育現場におけるデジタル活用の状況と課題を以下のようにとらえています。

<DX化の3つの段階と教育現場における関係4省庁の解釈>

段階1:デジタイゼーション(ツールをデジタル化する、紙などのアナログなものをデジタルデータ化する)
【関係4省庁の解釈】
  教育現場における1人1台端末の整備は概ね完了。他方、学校現場の更なるICT利活用環境の強化が必要。

 

段階2:デジタライゼーション(デジタルデータを分析・活用する)
【関係4省庁の解釈】
ICTをフル活用して、学習者主体の教育への転換や教職員が子供達と向き合える環境にすることが必要。

 

段階3:デジタルトランスフォーメーション[DX](制度や仕組みなどに変更が発生する)
【関係4省庁の解釈】
  デジタル社会を見据えた教育の在り方についても制度等の見直しが必要。

 

※「教育データ利活用ロードマップの検討状況について」を一部加工して作成

関係4省庁は、2021年12月現在の教育現場における状況を1人1台の端末が配備されて、「段階1(デジタイゼーション)」であるとしています。

段階1の状態ではデジタルの良さを活かしきることができないため、関係4省庁は「段階2(デジタライゼーション)」を実現するための環境整備をまずは行おうとしています。そのために論点を整理するために「教育データ利活用ロードマップ」を作成しています。

特に「教育データ」に目が向けられ、「ICTをフル活⽤して、学習者主体の教育への転換や教職員が子供達と向き合える環境」を目指しています。具体的には下図で示したような将来を実現することがイメージされています。

 

 

出典元:教育データの利活用に係る論点整理(中間まとめ)概要 より抜粋

 

 

2.教育データとは何か?

教育データの定義は、「  教育データの利活用に関する有識者会議」にて下記のように定められています。

一部抜粋したものを以下に掲載しました。

(1)年齢・段階

 初等中等教育段階の学校教育※における児童生徒(学習者)の教育・学習に関するデータ(「公教育データ」)を基本とする。

(2)主体

 ①児童生徒(学習面:スタディ・ログ / 生活・健康面:ライフ・ログ)

 ②教師の指導・支援等(アシスト・ログ)

 ③学校・学校設置者[地方自治体](運営・行政データ)

(3)対象

 定量的データ(テストの点数等)だけではなく、定性的データ(成果物、主体的に学習に取り組む態度、教師の見取り等)も対象とする。

 

※この定義における「学校教育」は、学校教育として活用されるデータを指している。このため、学校という場所で行われているということを指しているのではなく、学校教育として行われているものは家庭等の学校の外で行われているものを含む。

 

教育データを活用する際の視点として、2つの分類があると考えられています。

 

(1)一次利用(現場実践目的)二次利用(政策・研究目的)という視点

 一次利用:学校現場における教育や学習のため、学習者や教師が教育データを直接利用すること。
 二次利用:行政機関や大学等の研究機関が社会全体のための利用を目的として二次的に利活用すること。

 

(2)公教育データ個人活用データという視点

 公教育データ :定期テストの結果など、学校教育を行う上で学校・学校設置者の責任の下で、一定の範囲で悉皆的に把握・活用することが必要なもの。
 個人活用データ:学校外のデータを含め、個人として活用していくデータ。二次利用を含め、政府全体で検討を深める必要あり。

 

この2分類を組み合わせ、「公教育データの一次利用」「公教育データの二次利用」「個人活用データ」という3つの視点での教育データの利活用が検討されています。有識者会議では、まず全国の学校現場で「公教育データの一次利用」ができる環境の整備が急務であるとしています。

このような検討を経て、前出の関係4省庁が作成する「教育データ利活用ロードマップ」では、教育データ利活用のための「ルール」「利活⽤環境」「連携基盤(ツール)」「データ標準」「インフラ」などの検討事項が整理されています。

 

 

3.文部科学省の狙いはデータの標準規格を作ること

教育データを全国で利活用するためには、標準化したデータを収集する必要があります。

 

この教育データ(特に学習データ)の「活用と収集と標準化」を進めていくにあたって、文部科学省はデジタルを活用したMEXCBT(メクビット)という学習システムを開発しました。

MEXCBTという名称は、文部科学省の英語表記MEXTとCBT(Computer Based Testing)を掛け合わせて作成したもので、その名の通り、文部科学省が開発したコンピュータベースのテストシステム=CBTということになります。

インターネット上にあるMEXCBTという学習システムの中に、一部の自治体が用意した問題や全国学力調査などの問題が格納されており、学校でも自宅でも問題に取り組むことができます。

すでにMEXCBTは一部の学校で活用が始まっており、2021年11月下旬から全国の小・中学校においてこのシステムを導入できるようになっています。公立学校だけでなく、私立学校でも申し込みができるようです。

 

ただ、問題に取り組むことができてもテスト結果やその学習履歴を閲覧する(振り返る)機能はMEXCBTには備わっていません。学習結果はMEXCBTの中に蓄積されているのですが、それを人間の目に分かりやすく表示する機能がないということになります。そこで登場するのが、学習e-ポータルです。

学習e-ポータルは、MEXCBTから学習データを受け取り、成績データなどを綺麗に画面上に表示することができ、初めて人にとって見やすい形でデータが表現されます。それだけの機能であればMEXCBTで実装してしまえばよいということになりますが、学習e-ポータルは、様々な学習システムのプラットフォームのような役割を果たすことが期待されています。

MEXCBTが成績データまでを表示せず、学習e-ポータルに任せているのは、今後各校がMEXCBT以外の学習サービスを導入し、その学習サービスの成績表もe-ポータルで閲覧できた方が児童・生徒にとって使い勝手のよいものになると考えられているからです。

つまり、文部科学省やデジタル庁では、MEXCBTや学習e-ポータルで教育データの標準化モデルを整え、各企業が標準化された規格を使った様々なサービスを展開していくことを想定していると考えられます。

 

 

【執筆担当者より】いま、やるべきことは?

ここまで教育データが利活用されるための環境整備が行われようとしていると記載してきましたが、実は、どのように教育データを活用したら良いかということについては、議論があまり進んでいない状況のようです。

そこで、文部科学省とデジタル庁は、MEXTCBTや学習e-ポータルなどを使ってどのように教育データを利活用していけば良いのかということに関する事例を集めてはじめています。

 

Z会ソリューションズとしても、先生方にお任せするだけでなく、実力テストのデータやアセスメントのデータなどを活用して様々な角度から生徒たちの様子を把握し、データ活用についてご提案していこうと考えております。

また、問題集など紙だけでご提供していたものとデジタルを融合させることで、これまで取得するのに手間がかかったデータをすぐに取得できるようなサービスを展開してまいります。

 


【生徒の様子を測定するサービス】

▼中学・高校アドバンスト
https://www.zkai.co.jp/solutions/teacher/advanced/

▼LIPHAREシリーズ
https://www.zkai.co.jp/assess/

▼DiscoveRe Method
https://www.zkai.co.jp/solutions/teacher/discovere_method/

 

【問題集とデジタルを融合したサービス】

▼Googleドライブ経由データ提供サービス
https://www.zkai.co.jp/books/school/gftest/

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