Z会の東大英語コース担当者が、2021年度入試の東大英語を徹底分析。受験生の再現答案や得点開示データをもとに、合否を分けた「差がつく一問」を選定し、東大英語の攻略法を詳しく解説します。
まずは、2021年度の「東大英語」を俯瞰しよう
はじめに、問題構成や出題傾向をおさえて、「自分が受ける入試問題」を正確に把握しましょう。
時間配分を意識して、慌てずに「解ききる」戦略を。
東大の問題量は膨大であるため、難易度の高い問題や記述問題にどれだけ時間を割き「解ききる」か、その時間配分が合否を分ける決め手になるでしょう。2021年度は昨年度と同様に大きな出題傾向の変化は見られませんでしたが、東大英語は設問形式が決して一定ではないため、変化に惑わされないことも大切です。
合否の分かれ目は?
問題の見た目と難易度の違い
一見すると英文を日本語で要約しなければならない1(A)は難しいように思えますが、2021年度の難易度は昨年並みであり、問題指示文にも「10代の若者の気質の変化について」と要約するポイントも明記されているので、要約問題を事前に練習していればそれほど大きな差はつかなかったものと思われます。
では、どこで差がついたのか…?
2(A)の「あなたにとって暮らしやすい街の、最も重要な条件とは何か」という自由英作文は、身近なテーマではあるもののなぜその条件が「あなたにとって」重要なのかがわかる内容にしなければ高得点は狙えなかったため,正確にテーマを読み解く力が求められていました。理由を述べる際にも,あなたにとってなぜ重要なのかがわかるように,自分中心となって書く必要があったでしょう。
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差がつく一問は
≪大問2(A)≫
差がつく一問の注目ポイント
自由英作文が他の問題と異なるのは、英語力だけでなく「発想力」と「説得力」も求められる、ということに尽きるでしょう。与えられた題材に対して自分なりに考え、それを限られた時間内で正確かつ第三者にわかりやすい表現でまとめるというのは想像以上に大変な作業です。
2021年度の「あなたにとって暮らしやすい街の、最も重要な条件とは何か」という問題は、一見身近なテーマではありますが,いざ書こうとするとアイディアが出しづらかったという方も見られました。会員へのアンケートでは「肉づけしにくい抽象的なアイディアしか浮かばず,焦った」「賛成・反対型ではなかったのですぐに思いつかなかった」という回答もありました。短い時間で質の高い解答を作成するには、早いうちからの対策が必須。今後の対策につなげるためにも、今解くべき一問と言えるでしょう。
受験生の再現答案&添削を見ながら、差がつくポイントを確認しよう
以下の答案は、実際に入試を受験したZ会員の先輩が作ってくれた再現答案です。残念ながら目標点(合格ライン)には達していません。
まずは、実際の答案をZ会の添削指導付きで見てみましょう。そのうえで、Z会の分析を読み、どこで差がついたのかを確認していきましょう。

それでは、この答案には、「どんな要素が足りなかったのか」「どういう対策をしていれば目標点に届いたのか」を詳しく見ていきましょう。
目標点とのギャップをどう埋める?
「文法・語彙」面での大きな減点はありませんが、今回減点されている表現は見直す時間があれば修正することができたかもしれません。「内容・構成」面では、1文目で「暮らしやすい街では多様性を受け入れることが必要だ」という自分の意見を明記しています。しかし、その意見をサポートする理由が一般論を述べるだけになっており、「なぜその条件があなたにとって重要なのか」が曖昧であるがゆえに説得力があまりない内容となってしまっています。自分の意見をサポートする部分をより自分ごとに落とし込むことで、問題指示に沿った文章を書くことができたでしょう。今年度の問題でも「60〜80語」という制限がありましたので、「意見」「理由」「結論」の3つの要素をいかにシンプルかつ説得力のある内容で表現できたかが勝負の分かれ目だったでしょう。
受験生全体の解答傾向は?
Z会が作成した採点基準をもとに再現答案を採点すると、不合格者平均は4割程度の得点率でした。今年度の大問3は、自分の意見とそれをサポートする理由をすぐ思いついた方は余裕をもって説得力のある解答を作成できていたようです。身近なテーマではありましたが、アンケートでは「過去問ではスラスラ解けていたが、いざ本番となると書く内容を考えるのに時間がかかってしまった」「話題は親切で身近なのに、構成に苦労した」という声も寄せられたので、内容をどれだけ早く思いついて書けるかが重要でしょう。しかし、それでも「内容・構成」面での減点が大きい答案が多かったと思われます。特に不合格者の答案では、自分の意見は書けているもののそれをサポートする理由が「あなたにとって重要な理由」になっていないものが少なからずありました。英語表現の正しさももちろん必要ですが、自由な発想力と、いかに問題指示の内容・趣旨を十分に理解して相手にわかりやすく伝えるかも重要な評価ポイントであったと言えるでしょう。
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