Z会 イマドキ中学受験情報【20】
プロが解説!中学受験「算数」の勉強法・比と割合のコツ

更新日:2022年10月4日
執筆:中学受験コース教材作成者・S

Z会 イマドキ中学受験情報【20】プロが解説!中学受験「算数」の勉強法・比と割合のコツ中学受験の合否を左右するとされている「算数」。
図形・比と割合・速さなど重要な単元も多く、効率的な学習が求められます。

今回はZ会小学生向けコースの算数教材の担当者から、どの単元にも共通するおすすめの勉強法、そして重要単元の一つである「比と割合」の基礎に関するコツについてもお伝えします。

目次

 
 

中学入試は「算数」が
合否を左右する

中学入試の合否を左右するといわれるほど重要な教科である算数ですが、その理由としては主に以下の2つが挙げられます。

① 配点の割合が高い

全教科の総合点で判断される入試では、配点の割合が高い教科 = 合否に影響を与えやすい教科といえます。

中学入試は学校によって各教科の配点が異なるのですが、国語・算数 > 理科・社会のように、国語・算数の配点を理科・社会よりも高く設定している学校も多いです。

【参考】
・灘中学校:3教科(国・算・理)計500点のうち200点が算数。(算数の割合 = 40%)
・桜蔭中学校:4教科(国・算・理・社)計320点のうち100点が算数。(算数の割合 = 31.25%)
※両校とも2022年度入試

② 得点差がつきやすい

受験者平均点と合格者平均点の差が大きく開きやすいのも算数の特徴です。

各校のHP等で公開されている入試結果を見てみると、他教科に比べて算数だけ大きく差がついているケースは珍しくありません。
極端な例にはなりますが、算数だけ受験者平均点と合格者平均点の差が30点もあった一方で、他教科は10点程度だったということもあります。

得点差がつきやすいということは、得意な場合のアドバンテージは非常に大きいですが、苦手だった場合のハンデも非常に大きいということです。
他教科が突出して得意であっても算数が苦手な場合、結果的に他の受験生に差をつけられやすくなってしまいます。

差がつきやすい原因は、算数の出題形式と採点基準?

【出題形式】
理科・社会は単純に知識を問うだけの出題もあり問題数が多くなりますが、算数は答えを導くのにどうしても途中の計算や図示が必要になるため問題数は少なくなります。その結果、1問あたりの配点が大きくなります。

【採点基準】
国語の記述問題の場合、完璧な解答でなくても正しい要素を書いていればその分は加点されます。100%の答えが書けた人、70%の答えが書けた人、50%の答えが書けた人…に対し、与えられる得点も10点、7点、5点、…のように細かく分けられることが多く、完璧な解答の人とそうでない人であまり差がつきにくくなっています。

一方で、算数は完璧に解答できたかどうかが大きな基準になっています。正しい答えには多くの点数が与えられるのに対し、途中まであっていても計算ミスなどで最終的な答えが違った場合は大きく減点されます。その結果、国語と違い、「100%できた人」と「それ以外の人」で分かれることになり大きな差がつきやすくなります。

ご覧のとおり、算数は合否を左右する非常に重要な教科ですのでしっかりと準備をしておきましょう。

 
 

算数を得点源にする勉強法
実力が伸びる秘訣は「ふり返り」

算数で問われるのは「丁寧さ」と「効率性」

算数で扱う単元は多く、一体何をすれば算数が得意になるのか、得点源になるのか、悩まれている方も多いと思います。
単元に関係なく算数全体で問われるのは、丁寧さと効率性です。

丁寧さ:計算ミス・問題文や条件の見落としを防ぐ

効率性:本質を見極め、操作を単純化する・時間を短縮する

どちらかが不十分だと以下のようなパターンになってしまい、どちらのパターンも最終的に点数が伸びません。
・「問題自体は解けるが、うっかりミスを連発してしまう」
・「丁寧に計算ができるが、応用問題になると手が動かない、時間が非常にかかってしまう」

日頃の学習においても、丁寧さと効率性の両方を伸ばすことを意識しましょう。

 

算数の実力は「ふり返り」によって伸びる

丁寧さと効率性の両方を伸ばすためには、問題を解いた後のふり返りが非常に重要です。
問題をただ解いて〇×をつけるだけでは、自分の算数における弱点はなかなか解消されません。

間違えたとき・正解したときの場合別に、ふり返りの方法を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

間違えた問題・・・「誤答原因」をしっかり把握する

とくに「答えを書いたけれど間違えた問題」については、考え方が違ったのか計算ミスなのか、どこが間違っていたのかをしっかり把握するようにしましょう。把握するためには、解くときに自分が行った過程を正しく思い出す必要があるため、途中式・筆算は必ず残しておくようにします。

・考え方が違った場合:なぜその考え方になったのか、何か見落としていた条件等はないか。
・計算ミスの場合:位を間違えたのか、九九を間違えたのか、くり上がりの書き方がまずいのか。

誤答原因を把握することで、自分の間違い方の傾向が見えてくるはずです。自分の傾向をしっかり意識できれば、同じミスの繰り返しを防げるようになります。

入試算数では、複数解をすべて見つけ出す、場合分けしてすべての場合を洗い出すといった問題が多数出てきます。こういった問題では、自分が誤答しやすい部分を把握しておかなければ、どれだけ練習しても答えが合いません。自分が考えてきた過程を見直す習慣をつけましょう。

手も足もでなかった問題・・・解答解説を少しずつ見ながら一緒に解いていく

さっぱりわからなかった問題については、いきなり解答解説をすべて見てしまうと、解法を「考える」ことよりも「覚える」ことに意識が向いてしまいがちです。とくに応用問題の場合は、同じ問題がそのまま出ることはあまりないため、解法を覚えるよりも考える方が重要になります。

いきなりすべて見るのではなく、少しずつ見ながら一緒に解いていきましょう。

具体的には、以下1~3をくりかえすイメージです。
1. 今の自分が分かる範囲まで考えてみる(問題文の条件整理を行う)

2. 詰まったら、その部分の解答解説を見る

3. さきに進めたら、また自分が分かる範囲まで考えてみる(問題文の条件整理を行う)

解き方がさっぱり分からないという場合でも、問題文の条件整理は行いましょう。
今の自分が分かっていることをまとめておくことで、解答解説を見たときに、どの条件に注目するべきだったのか等の正解に近づくためのヒントが得られます。

【問題文の条件整理の例】
・登場人物は何人いるのか、前日と今日で何がどう変化したのか
・今分かっている角度や長さはどこか、求められそうな角度はないか
・線分図や面積図、表やベン図なども不完全でもよいので途中まで書いてみる
・これらもできそうになければ問題文の大事な箇所を写す、言葉の式などで書き直す

こうした作業は、最初からうまくはできません。しかし、こうした地道な積み重ねと「自分で考えて解けるようになる」という当事者意識がなければ、算数の応用問題はいつまでたっても解けるようになりません。

正解した問題・・・より良い解法がないか確認する

算数の基本的な問題なら解けるという場合、基本パターンに対する自分なりの「解法の型」がある程度できていることと思います。
しかし、算数の応用問題は出題自体がパターンから逸脱していることが多く、問題を自分の「解法の型」に落としこむことが難しくなります。

自分の中の「型」を柔軟に広げるためには、解けた問題でも別解や効率的な方法を知っていくことが大切です。

・自分の解法と解説の解法を比較
・別解には必ず目を通す、余裕があればそのやり方で解きなおす

自分が正解できた問題のほうが「どこから解法に違いが出るのか」「どういう効率化の方法があるのか」「この別解によってどのように計算が楽になるのか」を実感しやすくなります。正解した問題も、一度解説を確認するくせをつけましょう。

算数の学習において大切なのは、問題に取り組んだあとの「ふり返り」です。解いて終わりにするのではなく、自分の解き方を広げて算数の力を磨きましょう。

 
 

苦手な人は必見!
「比と割合」のコツ

さきほどは、算数のどの単元にも共通する勉強法をお伝えしましたが、ここからは具体的な単元のコツを紹介します。

中学受験の算数には、図形・速さ・場合の数・比と割合などいくつもの重要単元がありますが、今回は苦手なお子さまの多い「比と割合」について解説します。以前、平面図形について解説した記事もありますので、気になる方はそちらも読んでみてください。

【平面図形の頻出パターンについて、知っておくだけでグッと解きやすくなるポイントを解説!】

 

頻出、されど難しい「比と割合」

比と割合の考え方は入試でほぼ確実に出題されます。なぜなら、速さ・平面図形・立体図形という中学入試を代表する頻出単元と比の概念がたいへん親和性が高いからです。比と割合の文章題だけでなく、他分野と融合して数多く登場します。

しかし、比と割合を学習したとき「よくわからない」と感じる人は少なくありません。とくに割合は、用語が多く、問題文を読み取りにくく、小数の計算も多いため「難しい」「苦手」という意識をもちがちです。

そんなお子さまのために、まず初めにおさえておきたい基本的なコツを紹介します。
(以下、教科書によって表現が多少異なりますが、基準量を「もとにする量」、比較量を「比べられる量」と表記して説明します。)

 

コツ1.
問題文を簡単に式にする方法

もとにする量・比べられる量で混乱するという場合には以下の方法を覚えてみましょう。
問題文を簡単に式にすることができ、もとにする量・比べられる量もすぐに判断できます。

STEP1:割合である百分率・歩合を小数に直す&「倍」をつける 
※割合は●倍の「倍」を省略したもの

ア)1年生の人数は2年生の人数の40%です。
イ)先月の売り上げに対する今月の売り上げが8割でした。

ア)1年生の人数は2年生の人数の0.4倍です。
イ)先月の売り上げに対する今月の売り上げが0.8倍でした。

STEP2:主語(~は・が)と割合でかけ算の式にする

ア)1年生の人数は2年生の人数の0.4倍です。
イ)先月の売り上げに対する今月の売り上げが0.8倍でした。

ア)1年生の人数 = ● × 0.4
イ)今月の売り上げ = ● × 0.8

STEP3:残りの要素を当てはめる

ア)1年生の人数 = 2年生の人数 × 0.4
イ)今月の売り上げ = 先月の売り上げ × 0.8

STEP4:「比べられる量 = もとにする量 × 割合」を当てはめる

比べられる量もとにする量 × 割合
ア)1年生の人数2年生の人数 × 0.4
イ)今月の売り上げ先月の売り上げ × 0.8

 

コツ2.
「~%増」を求める式はこれを使う

次の2つの文はまったく意味が異なります。まずは、「増」や「減」を見逃さないようにしましょう。
①「本日の売り上げは先日の5%でした。」
②「本日の売り上げは先日の5%でした。」

次は、もう少し丁寧に書いてみます。
「本日の売り上げは先日の5%増でした。」→「本日の売り上げは、先日の売り上げよりも増加しました。増えた額は先日の5%です。」

これを式であらわすと、「本日の売り上げ = 先日の売り上げ + 先日の売り上げの5%」になります。
つまり、「本日の売り上げ = 先日の売り上げ + 先日の売り上げ x 0.05」で求められます。

しかしこの方法だと、難しい問題のときに対応しづらく、計算も間違いやすくなります。
そこで、次の式で求められるようにしておきましょう。
本日の売り上げ = 先日の売り上げ x(1+0.05)
        = 先日の売り上げ x 1.05

この式は、本日の売り上げが先日の売り上げの何倍だったのかを考えています。先日の売り上げを1として、本日の売り上げを考えているということです。

先日の売り上げを1としたとき、先日よりも増えた分は先日の5% = 0.05。
つまり、本日の売り上げは、先日の売り上げ(1)と増えた分(0.05)を合わせた 1+0.05 = 1.05にあたります。
先日の売り上げを1としたとき、本日の売り上げが1.05にあたるとわかるので、「本日の売り上げ=先日の売り上げ × 1.05」で求められるのです。

「AはBの ~% 増です。」は「A = B x(1+増加分)」で求められる。

増加分が5%なら、A = B x(1+0.05)
増加分が20%なら、A = B x(1+0.2)

 

コツ3.意味を正しく理解しておく~原価・定価~

売買と割合の問題では、小学生にとってあまり聞き慣れない用語が出てきます。用語の意味を正しく理解できていないと、解法を身につける以前にそもそも問題文を読めません。売買の問題が苦手だというお子さまは、いちど用語の意味を確認してみましょう。

原価や定価が出てくる問題では、お客さんではなくお店の人の立場で考えます。売買問題の基本的な流れとあわせて、用語の意味を理解しておきましょう。

【問題の基本的な流れ】
①:店が商品を仕入れる ※仕入れ:売るための商品を買うこと
②:仕入れた商品にもうけが出るよう値段をつける
③:商品をお客さんに売る。
④:③の定価で売れなかった場合は、商品を値引きして売ることもある。

【用語】
①:仕入れ値(または原価):仕入れたときの値段。①~④の中で変化しない。
②:利益(または見こみ):お店がもうけるために高くした部分の値段
③:定価:お店がお客さんに売る値段。お店のもうけが含まれている。
④:売り値:定価より値引きした、お店がお客さんに売る値段。

 

定価 = 仕入れ値(原価)+ 利益(見こみ)

売り値 = 定価 - 値引きした金額

損益(利益または損)= 最終的な売り値と仕入れ値(原価)の差

 

コツ4.濃度算ではこれを忘れない

売買の他に、割合をよく扱うのが濃度に関する問題です。今回は一般的によく出てくる食塩水を使って話をします。

濃度は、食塩水の重さに対して食塩の重さがどれだけなのか(何%を占めるのか)ということです。
濃度5%の食塩水100gの場合、食塩の重さは100 x 0.05 = 5g と求められます。

食塩水の濃度は以下の式で求められます。

食塩水の濃度 = 食塩の重さ ÷ 食塩水の重さ x 100

食塩水の問題では上記の基本的な濃度の求め方のほかにも、おさえておくべきことがあります。
これらは問題文には記載されませんが、知らないと問題が解けませんので、必ず知っておく&問題を解くときもしっかりと意識するようにしましょう。

・食塩水から水を蒸発させても、食塩は蒸発しない。
⇒ 水を蒸発させたとき、食塩水の重さと濃度は変化するが、食塩の重さは変わらない。

・2つの食塩水A・Bを混ぜたとき、AとBの食塩水や食塩の重さの和は変わらない。

この2点を気にしながら、各容器内の操作前後の食塩の重さ・食塩水の重さ・濃度を整理することが濃度算では大切です。

 
 
 


今回は算数の学習法と比と割合の基礎について解説しました。
Z会では、基礎から難関中学入試に対応できるレベルまで学習できる教材をご用意しています。

算数を得意科目にしたいという方は、ぜひ一度ご検討いただければと思います。

 
 

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