GIGAスクールの次にくる学校DX~新たなICT環境のあり方~

2023.01.16
Z会
Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
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2022(令和4)年12月8日に今後の学校におけるICT環境の整備の在り方などを議論する「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」(以下、有識者会議という)が設置されました。

現在、教育ICT化に向けた環境整備については、「方針」「5カ年計画(2018~2022年度)」が策定されています。今回設置された有識者会議では、この後に続く議論が進められる予定となっています。

本来、2022(令和4)年度で期限を迎えるICT環境整備計画ですが、議論する内容が多岐に渡るため計画期間を2年間延長することとし、有識者会議では2025(令和7)年度に向けた「方針」を策定することになりました。

有識者会議の議論が2年延長した一方で、文部科学省は教育ICTに関する2023(令和5)年度の予算概算要求で前年度から120億円程度増額した金額を提示しました。「学校DX(デジタルトランスフォーメーション)」というキーワードを掲げ、教育現場でICTがより活用されるような施策を構想しているようです。

今回は有識者会議の資料を元にこれまでの教育ICT化の目標と現状(GIGAスクール構想を含む)に焦点をあてつつ、「学校DX」の方向性や今後の議論の論点についてまとめました。

 

「2018年度以降に目指したICT環境」と「現状」

前述したようにICT環境の整備について、方針と計画は以下の通りに策定されいます。2019(令和元)年度から始まったGIGAスクール構想もこの方針や計画を実現するための施策となっています。

2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について

● 第1 新学習指導要領の実施等に向けたICT環境整備の必要性等

● 第2 学校におけるICT環境整備の検討に当たっての視点

● 第3 これからの学習活動を支えるICT機器等と設置の考え方

● 第4 校務におけるICT活用

● 第5 ICT環境整備促進と同時に必要な対応事項

教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)

<目標としている水準>

● 学習者用コンピュータ 3クラスに1クラス分程度整備

● 指導者用コンピュータ 授業を担任する教師1人1台

● 大型提示装置・実物投影機 100%整備 各普通教室1台、特別教室用として6台
(実物投影機は、整備実態を踏まえ、小学校及び特別支援学校に整備)

● インターネット及び無線LAN 100%整備

● 統合型校務支援システム 100%整備

● ICT支援員 4校に1人配置

●  上記のほか、学習用ツール(※)、予備用学習者用コンピュータ、充電保管庫、学習用サーバ、校務用サーバー、校務用コンピュータやセキュリティに関するソフトウェアについても整備
(※)ワープロソフトや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトなどをはじめとする各教科等の学習活動に共通で必要なソフトウェア

学校のICT環境整備に関する近年の取組と現状より

この方針や計画に対して、ICT環境の整備状況がどのような状況なのかについて文部科学省では調査を行っています。2022(令和4)年3月1日現在の調査結果は以下の通りです。

● 小・中学校における学習者が使用する教育用コンピュータや教員の校務用コンピュータの整備については、目指すべき姿を実現できている状況

● 高等学校における教育用コンピュータについては、都道府県によって整備の状況が異なるが、以下のような見込み

  • 2022(令和4)年度中に全ての都道府県(政令指定都市含む)において、令和4年度1年生の1人1台環境整備が完了予定。
  • 2024(令和6)年度までに、学年進行による整備を進める自治体も含め、全学年の1人1台環境整備が完了予定。

● 一方で、無線LANの整備、校務支援システムの整備については、当初の水準を達成していない状況

    令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)より

     

    GIGAスクール構想・学校DX関係 2023(令和5)年度概算要求(背景・課題)

    上記したように、GIGAスクール構想に基づき整備された1人1台端末の利活用は少しずつ進展していますが、以下のような課題が発生しています。2023(令和5)年度概算要求では、端末更新などの次なるフェーズが到来するまでの数年間で集中的に課題を解決するために方向性を示し、「学校DX」に向けた予算が編成されました。

    現在の問題点と令和5年度概算要求の方向性

    ● 自治体・学校間の利活用状況、教師の指導力の格差が拡大している
    → 自治体間、学校間、教師間のICT活用に関する格差解消

    ● 単なる紙→デジタル への置き換えに留まり、子供の学びの変革につながっていない
    → ICTを活用した効果的な実践例の創出とその普及・横展開

    ● 校務のデジタル化が進んでおらず、教師がデジタルの恩恵を受けていない
    → 教師の働き方改革等のための次世代の校務デジタル化の推進

    ▶ 全国の学校で「学校DX」に向けた動きを始める

    具体的な施策は以下の通りです。

    学校のICT環境整備に関する近年の取組と現状より

     

    令和7年度以降のICT環境整備の方向性(論点)

    これまで学校のICT化に関する議論は使用できる環境をいかに整備するかが論点となっていました。しかし、GIGAスクール構想などで学習者が1人1台端末を手にできる状況となり、2025(令和7)年度以降の議論の論点は、ICTの環境や機能を標準化し、継続的で、安全で、効果的に利活用するような内容に焦点を当てたものが多いように感じます。

    また、「クラウド活用を前提とした」内容についても議論されることで、教育データの管理の仕方についても一定の方向性が示されています。

    ここでは、「GIGA スクール構想を踏まえた新たな ICT 環境整備方針策定に向けた主な論点(たたき台)」を一部編集して、今後の議論の論点について整理しました。

    総論

    (1)GIGA スクール構想下における新たな ICT 環境整備方針の策定に当たっての基本的視点

    ● 児童生徒1人1台の ICT 端末(以下、「1人1台端末」)を活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の目指すべき姿について

    ● 「理想とする ICT 環境及び機能」について

    ● 全国の学校において最低限保障すべき「標準的な ICT 環境及び機能」について

    ● 学校現場における1人1台端末の活用実態をどのように考えるか

    ● 地域や学校、教師によって生じている1人1台端末の活用状況の差をどのように考えるか

    ● 障害のある児童生徒や日本語指導が必要な児童生徒など、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する ICT 活用の今後の在り方について

    各論

    (2)1人1台端末環境を活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の実現のために必要となる ICT 機器とその整備の在り方

    ● 学校現場におけるクラウド活用を前提とした1人1台端末に求められるスペックや機能を含めた整備の在り方について

    ● 1人1台端末環境を継続的に維持していくために必要となる予備機の整備や端末の保守の在り方、調達方法(購入/リース)について

    ● 指導者用の ICT 端末(教務・校務)に求められるスペックや機能を含めた整備の在り方について

    ● 校内ネットワークの整備や通信環境の在り方について

    ● 大型提示装置や実物投影機などの周辺機器とその整備の在り方について

    ● 情報セキュリティ環境の整備の在り方について

    ● 災害等の緊急時においても学びを継続するための ICT 環境整備の在り方について

     

    (3)「クラウド時代」における校務のデジタル化に必要となる環境整備の在り方

    ● クラウド活用を前提とした GIGAスクール構想下における校務のデジタル化に必要となる環境整備の在り方について

     

    (4)ICT 環境整備と同時に検討が必要な事項

    ● 1人1台端末の持ち帰りを含めた日常的な活用をさらに推進させていくための方策について

    ● 教師の ICT 活用指導力を向上させるための方策について

    ● 情報通信技術支援員(ICT 支援員)をはじめとした支援体制の在り方について

    ● デジタル教科書やデジタル教材、ソフトウェア等の整備の在り方について

    ● 先端技術や教育データの効果的な利活用を推進していくための方策について

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