「受験勉強は計画性が大切…」とよく言われるものの、スケジュールを立てるうえで悩みをもつ受験生も多いはず。そこで今回は、東大受験生から「スケジュールに関するお悩み」を募集し、東大に合格した先輩に回答してもらいました!
気になるトピックをお選びください。
「苦手克服に手こずっているが、それでもこだわって取り組むべき?」
東大に合格した先輩にお伺いします!
苦手の克服にどうしても時間がとられてしまいスケジュールどおりに進みません。それでも苦手克服には時間をかけるべきでしょうか?
「得点の最大化」を常に考えて計画を立てましょう。苦手の克服はもちろん大切ですが、そればかりに時間を取られてしまい他が疎かになっては意味がありませんし、苦手を全て潰すのも不可能です。そのため、「得意」あるいは「普通」の教科をより伸ばしていったほうが全体の得点としては伸びると思います。苦手を「得意」までもっていく必要はないので、苦手克服は、強い苦手意識をなくせる程度の対策を行う程度にとどめ、他の教科・分野の「得意」を伸ばしていくことに注力するのがおすすめです。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
受験では、ほとんどの大学が合計点勝負になります。受験科目全体を見渡し、効率的に合計点を上げるための戦略を立てるのがポイントです。取り組みやすい「得意」を伸ばすほうがよいタイプの人もいれば、伸びしろが大きい「苦手」を底上げするほうがよいタイプの人もいます。残された時間においてどうすれば効率的に合計点を上げられるかという視点で、苦手を克服するべきなのかを考えてみるとよいと思います。
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
「入試において、苦手教科、苦手分野がどれほど重要か」により、割く時間、労力は変わってくるでしょう。個別試験の配点の比重が大きいような国立大学を第一志望としている場合、共通テストのみで使う教科や配点が少なめの分野が苦手であるときは、「諦める」「他の分野を優先する」というのも戦略の1つかと思います。一方で、どれだけ苦手であろうと、どれだけたくさんの勉強が必要だと予想されても、個別試験において高い配点を占める分野なら、ある程度継続的に勉強をする必要が出てくるでしょう。粘り強く基礎から勉強していきましょう。
(東京大学理科一類)
(東京大学理科一類)
苦手克服は、得意を伸ばすことよりも、得られる効果が点数的に大きいと思うので、私は時間を割いて問題ないと思います。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
苦手克服には時間をかけるべきだと思います。私も、受験期にはほとんどの時間を苦手科目の基礎固めに費やしました。得意科目で10点伸ばすのは難しいですが、苦手科目であれば、基礎が身についていない分野を克服することで10点は伸ばすことができるはずです。苦手克服によってスケジュールが乱れてしまうのであれば、予め「必ず確保する得意教科の勉強時間」を決めておき、そのほかの時間でできるだけ苦手克服をするのがよいでしょう。大切なのはスケジュールを守ることではなく、入試で1点でも多く点数を取るための勉強をすることです。
(東京大学理科二類)
(東京大学理科二類)
私は、数学が苦手(というより天敵)だったので、数学の対策はとても苦労しました。(ちなみに、東大模試での数学の最低点は80点中9点です)そこで、数学で点をとることは諦め、そのかわり致命傷にならない点をとることを目標にしていました。毎日少しずつ時間を割いて実力を積み上げることを意識し、9月以降は数学の大問2問を毎日解いていました。逆に言えば、それ以上に特化して数学の対策をしたわけではないので、苦手克服はまさに「継続は力なり」だと思います。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
「応用問題集と過去問、どちらから取り組むのがおすすめ?」
東大に合格した先輩にお伺いします!
「応用問題集に取り組んでから過去問演習に入る」のと「過去問演習を始めてから、適宜、応用問題集に戻る」のと、どちらのほうがよいのでしょうか?
1番は「やりやすい方法で」ということです。私の場合は夏の模試で撃沈した際に、「この良問をいい加減に解くことはもったいないから、立ち向かえるだけの知識を兼ね備えてから戦おう」と感じたので、過去問より応用問題を優先しました。しかし、東大もそうですが、各大学特有のクセに適応できるかが点数に作用する部分も大きいので、クセへの不安が大きい人は過去問を優先すべきだと思います。自分と大学の問題の相性をよく研究してみてください。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
私の場合は、並行して取り組みつつ、分野別に行っていました。当初は基礎問題集→応用問題集→過去問の順番で取り組む予定だったのですが、思ったよりも時間がなく、最後の2つを同時に取り組むこととなりました。取り組む際のポイントとしては、「分野ごとに徹底的にやる」です。1週間などの期間を決めて、その期間は応用問題集・過去問ともに決めた分野のみに取り組んで、その分野を徹底的に潰していきました。
大事なのは取り組む順番ではなく、「自分に合った取り組み方で、確実に力をつけられるか」なので、この分野別学習を強くすすめたいと思います。志望大のよく出る分野を調べて、そこに力を入れるのがよいでしょう(ex:東大数学なら微積、図形と方程式、確率など)。
(東京大学文科三類)
大事なのは取り組む順番ではなく、「自分に合った取り組み方で、確実に力をつけられるか」なので、この分野別学習を強くすすめたいと思います。志望大のよく出る分野を調べて、そこに力を入れるのがよいでしょう(ex:東大数学なら微積、図形と方程式、確率など)。
(東京大学文科三類)
応用問題集に取り組んでから過去問を解くのをおすすめします。過去問は数も限られているので、ある程度力がついた状態で利用するのがよいと思います。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
個人的には、過去問に取り組めるだけのレベルに達したなら、応用問題集に取り組む必要はそんなに無いと思います。ただ、過去問で弱点が見つかった時に、問題集に戻って補強するのはよいと思いますが、過去問演習と応用問題集に併行して取り組む場合、過去問と比べ過度に難しい問題演習をすることになるか、過去問演習に必要な学力が身につかないままに過去問演習に取り組むという状況に陥る可能性があります。
(東京大学理科一類)
(東京大学理科一類)
残された時間が十分であれば応用問題集でしっかりと力をつけてから過去問演習に取り掛かるのがよいと思いますが、時間がない状況では同時並行で進めていくのがおすすめです。過去問演習を進めていくと自分の志望大学の問題がどのような力を求めているのかがだんだんわかってきます。過去問演習を通して見出した志望大の傾向を踏まえて応用問題集の問題を取捨選択することにより、受験対策を効率的に進められると思います。
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
受験勉強の基本は過去問なので、過去問重視で進め、過去問対策が一通り終わってから応用問題集に取り組む…でもよいと思います。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
「問題集の選び方・取り組み方のコツは?」
東大に合格した先輩にお伺いします!
「この問題集の次はこれ」のようなおすすめの順番をよく耳にするのですが、予想以上に時間がかかり、全教科でそれをやるには時間が足りません。問題集の選び方・取り組み方で、なにか工夫はありますか?
私も世間一般に言われている「参考書ルート」のような参考書を解き切ることはできませんでした。ですが、必ずしもそれをやる必要はないと思います。まずは、自分の今の実力を見極めてどのレベルの問題集をやればよいのかを見極めましょう。その後、問題集を実際に解くさいも、「問題集を終わらせるために問題数をこなす」ことを目標にするのではなく、「問題演習を通して、分野ごとに解法や知識を身につける」ことを目標に問題集を使いましょう。このように復習を大事にして、目標をしっかり持って問題集を利用すれば、何冊もこなさなくてもしっかりと身につくはずです。
(東京大学理科二類)
(東京大学理科二類)
「時間が足りない…」という悩みは、よほど要領のいい人以外には当然のことなので、まずは焦らないことが大事です。
問題集の取捨選択にあたっては、「自分がどの教科で何点とってどれほどの点で合格したいか」を考えてみてください。「合格に満点は必要ない」と割り切ったうえで、今の自分に必要なのが、どの教科の&どの難易度の勉強なのかを考えてみましょう。分厚い参考書一冊はしんどいと感じる人は、Z会のテキストを1回ずつコツコツやるだけでも効果があると思います。
(東京大学文科三類)
問題集の取捨選択にあたっては、「自分がどの教科で何点とってどれほどの点で合格したいか」を考えてみてください。「合格に満点は必要ない」と割り切ったうえで、今の自分に必要なのが、どの教科の&どの難易度の勉強なのかを考えてみましょう。分厚い参考書一冊はしんどいと感じる人は、Z会のテキストを1回ずつコツコツやるだけでも効果があると思います。
(東京大学文科三類)
受験勉強は時間が限られています。その中で問題集を積み上げ式に考えていくといくら時間があっても足りません。ぜひ、逆算で計画を立ててみることを心がけてみてください。問題集の場合は、受験当日にこのレベルのものを仕上げておきたいというものがあると思います。そこから逆算して、取り組む問題集の内容・レベルを考えることで、計画が狂うことが少なくなると思います。
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
問題集を順番に並べることで着実な計画を立てることができますが、受験生になってから取り組み始めると分量、時間の面から現実的ではないことも多いです。「この程度はせめて押さえておこう」という最小限の問題集の進め方を決めておきましょう。例えば、物理や化学ならば教科書傍用の問題集、標準的な難易度の問題集(重要問題集など)、そして過去問演習という三段階は必須かと思います。数学なら、参考書が質、量ともに充実している場合も多く、その参考書をどれだけやりこんでいるかにより追加の問題集をどれだけやるか、勉強法は変わってくるかと思います。
(東京大学理科一類)
(東京大学理科一類)
完全に仕上げていない状態で無理をして上のレベルに行くよりは、1つ下のレベルであっても完璧にする方が圧倒的に力がつきます。また、受験生は時間が命なので、無理をして他の問題集に手を出すのは得策とは言えないでしょう。参考書の基本は「1冊を完璧にする」です。自分に合ったレベル・やり方で着実にものにしていきましょう。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
受験勉強では、ある程度の取捨選択が大事です。自分がよいと思う参考書を突き詰めて取り組んだ方がよいと思います。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
(番外編)「数学について、標準レベルは解けるが応用問題には歯が立たず…どうすればよい?」
東大に合格した先輩にお伺いします!
数学について質問です。学校配布の問題集を繰り返し解き、標準的な力は身についたはずなのですが、東大レベルの問題になると解けません。どのように対策すればよいでしょうか?
これはたくさんの受験生がよく悩むことの一つだと思います。過去問演習を進めていくと全然解けず、どのような勉強をしたらよいか悩むと思いますが、「解けなかった問題が何の力を問うている問題なのかを考える」ことがおすすめです。東大の過去問の多くはよく分析してみるとチャートレベルの例題の組み合わせで出来ていることが多くなっています。それに気づくことができれば、復習の際に該当の問題を問題集で解き、その後過去問演習に戻るということができるようになると思います。ぜひ、過去問演習はチャートなどの問題集と一緒に取り組んでみてください。
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
(東京大学教育学部教育実践・政策学コース)
難しい問題は、基本的な問題が計算量の多さや条件の複雑さにより難しくなっているか、基本的な問題が組み合わさってできているかのいずれかです。難しい問題が解けないというときには、問題を解くための基本的な考え方が見抜けないか、基本的な解法が十分に身に付いていないかのいずれかである場合が多いと思います。過去問と同程度、または少し易しいくらいのレベルの問題で、問題の本質を見抜く力、基本的な解法を最後まで実行する力を養っていくと良いでしょう。
同じ大学の問題でも、当然難しい問題と簡単な問題が含まれます。簡単な問題を解けるよう、典型的な解法を全て身に付けておくことが、最初にすべきことです。問題演習をするにあたっては、難しい問題と簡単な問題を見抜くことも重要です。問題集の中で難しめの問題を解く、過去問の簡単な問題を解く、苦手な分野の解法をまとめておく、など自分の実力を向上させるために一歩一歩やるべきことに取り組めば、難しいレベルの問題にも太刀打ちできるようになるはずです。
(東京大学理科一類)
同じ大学の問題でも、当然難しい問題と簡単な問題が含まれます。簡単な問題を解けるよう、典型的な解法を全て身に付けておくことが、最初にすべきことです。問題演習をするにあたっては、難しい問題と簡単な問題を見抜くことも重要です。問題集の中で難しめの問題を解く、過去問の簡単な問題を解く、苦手な分野の解法をまとめておく、など自分の実力を向上させるために一歩一歩やるべきことに取り組めば、難しいレベルの問題にも太刀打ちできるようになるはずです。
(東京大学理科一類)
「分野ごとの問題に一対一で対応する知識としての解法」はしっかり身についているが、「複合的な考えを必要とする問題に対し自分で解き方を一から考える」問題に対応する力は身についていない状況だろうと思います。
そのような場合は、複数分野にまたがるような複合的、実戦的な問題の演習を通して、入試問題に太刀打ちする力をつけていきましょう。まずは、分野ごとに、「初見の問題を見たときにどうアプローチするか」という考え方がしっかり自分の中で確立できているかを確認しましょう。具体的には、問題を復習するときに、「この解法を思いつく理由は?」「なぜこの操作、計算をするのか?」「他の問題にも使える考え方はないか?」という目線で復習するとよいでしょう。
東大レベルの入試問題を解くためには、自分の中で解法を抽象化し、体系立てて整理する能力や、問題に合わせてそれをうまく組み合わせて使う力が必要になります。復習の仕方を工夫して、問題演習や過去問演習を進めましょう。
(東京大学理科二類)
そのような場合は、複数分野にまたがるような複合的、実戦的な問題の演習を通して、入試問題に太刀打ちする力をつけていきましょう。まずは、分野ごとに、「初見の問題を見たときにどうアプローチするか」という考え方がしっかり自分の中で確立できているかを確認しましょう。具体的には、問題を復習するときに、「この解法を思いつく理由は?」「なぜこの操作、計算をするのか?」「他の問題にも使える考え方はないか?」という目線で復習するとよいでしょう。
東大レベルの入試問題を解くためには、自分の中で解法を抽象化し、体系立てて整理する能力や、問題に合わせてそれをうまく組み合わせて使う力が必要になります。復習の仕方を工夫して、問題演習や過去問演習を進めましょう。
(東京大学理科二類)
まず、標準的な力がついていることは受験においてとても強いことです。東大の問題はすべからく、解読不能な問題ではありません。東大側は、難しい問題を解ける力だけでなく、難しい問題と簡単な問題を見極める力も求めていると思います。最後は、標準的な問題をしっかりと解ける人が差をつけることができるので、自信を持ってください。その力を持って、過去問や少し捻りのある問題を解き続けていけば、2月には多少難度の高い問題も解けるようになります。
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
誰でもみんな最初はそうです。東大レベルとはいっても解答に使用するのは基礎的な内容が中心なので、まずは、過去問の中でも簡単なものから取り組んで東大の問題に慣れるところから始めるのがよいでしょう。赤本などには、問題の難易度やかかる時間が明記してあるので、それを参考に「今の自分が解けそう」あるいは「少しなら取り掛かれそう」と思う問題から取り組んでみてください。そして、その次に難しい問題にもチャレンジしましょう。最初は解けなくてもよいので、何回も取り組んで解答を覚えるくらいまでやり込むことで、少しずつレベルアップでき、東大レベルにも対応できるようになると思います。ここでいう「解答を覚える」とはただの丸暗記ではなく、解答をつくるときの論理構成を理解し、自分で解答をつくれるようになることなのでお間違えのないように!
(東京大学文科三類)
(東京大学文科三類)
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