共通テスト学習相談室(2022年9月号)

投稿日時:2022年9月23日
今回は8月〜9月に寄せられた質問を中心に紹介します。科目別の対策に加え、メンタル面でのお悩みも寄せられました。Z会の高校学習支援担当がアドバイスをおくります。
日本史・世界史の勉強の優先順位や対策の進め方は?
受験生の悩み
夏休みに通史を終わらせることに加え、教科書の精読、一問一答の復習、論述を始めるなどを目標にしていましたが、盛りだくさんにしすぎて計画が滞っています。冠模試に向けて過去問の中で既習範囲のものには数問取り組みましたが、特に世界史はまだまだつながりを意識した記述ができていないと感じます。
共通テスト模試は日本史、世界史ともに8割ほどです。勉強の優先順位やその方法についてアドバイスをいただきたいです。
【高3、東京大学 文科二類 志望】
Z会がお答えします!

共通テスト模試で8割得点できているのであれば、用語については概ね問題ないレベルに達していると思いますので、知識を整理することを目的に、論述問題に取り組むことを中心に進めるとよいと思います。
論述を書いてうまくいかない部分が、知識不足なのか、知識の整理不足なのかを見極めることが重要です。前者なら一問一答などで補強しましょう。後者ならば、歴史上の出来事の縦と横のつながりを整理すべく、教科書等での理解に努めてください。
日本史は一国内の歴史を学ぶため、同時代の政治・経済・文化などを割と細かく問われることが多いので、歴史の因果関係を様々な角度から整理してください。世界史は各地域の縦の繋がりを大まかに理解し、同時代の他地域との関連を整理すれば、概ね書けるようになるはずです。
数学:解答解説を見ると理解できるが、共通テスト模試では点数が伸びない…。
受験生の悩み
私は元来数学が苦手なのですが、それでも最近は記述模試で7割程度点が取れるようになってきました。ただ、共通テスト模試の点数が1A2Bともに一向に上がりません。どれだけ取れても6割が限界で、酷ければ5割を切ります。
解答解説を見れば「まあそうかな?」とも思うのですが、特殊な設定に乗れないというか、誘導に乗れないというか、自分でも原因がよく分からないのですがとにかく点が取れません。
せめて本番で8割は取りたいと思っているのですが、何かよい対策はあるのでしょうか。
【高3、京都大学 総合人間学部(理系) 志望】
Z会がお答えします!

共通テスト独特の形式への慣れによって、時間内に処理できるスピードを身につける必要があるように思われます。
一度取り組んだ問題に、時間無制限で再度取り組み、それでも解けない問題があるなら、その部分は問題集等で基本事項を確認してください。時間無制限で取り組めば概ね正解できるようであれば、冒頭に書いた慣れの問題ですので、共通テスト型の問題に時間を計って取り組むことで、慣れていきましょう。
ただし、個別試験対策が優先ですので、共通テスト型の問題への取り組みは、週に1回程度としてください。それでも改善しないなら、直前期に演習量を増やして対応することになります。
物理:共通テストと個別試験の得点を同時に伸ばしたい!
受験生の悩み
物理の共通テストの大問の後半が取れず、点数が伸びません。
物理は個別試験対策を優先したいのですが、共通テストも同時に伸ばしたいので、それを可能にする勉強の仕方を知りたいです。
【高3、京都大学 理学部 志望】
Z会がお答えします!

物理であれば、個別試験対策を行うことで、同時に共通テストの対応力も上がりますので、まずは物理全体の力の底上げをはかってください。
共通テスト物理は時間配分で困ることはないようにできています。正しく理解ができていて、問われていることを立式して評価できるようになれば、必ず高得点を取ることができます。
周りのアドバイスや環境に振り回されて不安になり、成績が思うように伸びない…。
受験生の悩み
勉強量は確保し続けられているものの、共通テスト模試の結果について塾の先生に「この時期で得点率70%は弱い、自分で自分にプレッシャーをかけすぎている」と言われ落ち込みました。「リラックスして臨めば相応(8割くらい)の実力は出せる」とも言われましたが、のんびり構えてはいられず模試前に集中して勉強をする一方、「もしどこかでつまずきまた『弱い』と言われたら立ち直れるかな…」という思考に陥り、つらいです。
夏休みに毎日15時間ほどしっかり勉強した事を誇りに思っていましたが、「もっと休息をとったほうがいい」とも言われ、気持ちが揺らぎました。ただ、やるべきことをこなすためにはまとまった休息を取ることはできないです。
周りに東大志望がいないうえ東大受験に詳しい人が全くおらず、何をするにも「東大志望らしく、周りより圧倒的にできなくてはならない」というプレッシャーは感じていますが、これを手放した瞬間にモチベーションは保てなくなる気がします。
【高3、東京大学 文科二類 志望】
Z会がお答えします!

想像ですが、塾の先生は日頃見ているあなたの力を発揮すれば、もっと良い得点を取ることができると思っていらっしゃる結果、塾の先生ご自身がある意味ショックを受けられたための発言なのではないかな、と思われます。往々にして、これらの先生に悪意はなく、むしろあなたに期待をして、熱心に指導をしたい一心での発言ですので、悪い方向に考えてしまうと損です。発言に一喜一憂することなく、必要なときに必要なだけ頼らせてもらうつもりでお付き合いすればよいと思います。
また、あなたのライバルは東大志望者であり、自分自身ですので、他の東大志望ではない人に対して「圧倒的にできなくてはならない」と考える必要は全くありません。共通テストの得点にしても、自分自身でその得点になった理由を把握できており、修正するために動いているのであれば、気にする必要はありません。他人の言動は変えることはできないので、自分の受け取り方を変えて、気にしないようにすることが一番です。
Z会からのアドバイス:共通テスト型の問題が解けない方へ
共通テストに変わって3年目となりますが、かつてのセンター試験の記憶を引きずって、「共通テストで得点できないのに、難関大学の個別試験で得点できるわけがない」と考える方が多いようです。共通テストの性質について、今一度整理しておきましょう。
共通テストの難度は高い。教科書や一般的な問題集に取り組むだけでは不十分。
共通テストの出題範囲は教科書の範囲全般ですが、だからと言って教科書に記載のない事項が出題されない訳ではありません。教科書の内容を理解していれば、その応用で解くことができる問題が出題されますので、当然、一般的な問題集では見られないような設定、内容の問題が多く出題されます。
くわえて、問題量に比しての試験時間は短いため、高得点を取ることは非常に難しい試験であり、ある意味では難関大学の個別試験よりも難度が高いと言えます。したがって、教科書や問題集でしっかり対策をしたからと言って、共通テストで必ず高得点を取ることができるとは言いきれません。
「なぜ得点が取れないのか」の原因を正しく把握することが大切
共通テスト模試での得点が奮わずに悩んでいるならば、共通テスト型の問題に時間を計って取り組み、制限時間内の得点率を最大化するためのトレーニングを行う必要があります。個別試験対策の延長線上で得点を取ることができるようになる科目も存在しますが、少なくとも、英語・数学・国語で高得点を取るためには、共通テスト独自の対策は不可欠だと考えられます。
共通テストまでの残り時間が少なくなった今だからこそ、「なぜ得点が取れないのか」の原因を正しく把握することが大切です。自分の失点の原因が理解・知識不足によるものなのか、出題形式への慣れと時間内での処理能力に起因しているのかを正しく見極めましょう。後者であれば、共通テスト型の問題演習の分量を増やして対策を進めることが必要です。
(Z会高校学習支援担当 山邊圭祐)
Z会でできる大学受験対策
◆[専科]共通テスト攻略演習
共通テストの傾向をふまえた教材に取り組みます。毎月の演習で、基礎固めから最終仕上げまで段階的に対策を進められます。
◆[Z会の映像]共通テスト対策映像授業
「授業」を中心に学習を進めたい方におすすめ。Z会精鋭講師陣による質の高い解説講義(映像授業)で、共通テストの攻略ポイントを学びます。
◆[Z会の通信教育]高2生向け講座
高2から難関大合格を見据えた学習を始めておくことが、共通テストでの高得点にもつながります。
同じカテゴリの人気記事
共通テスト学習相談室

共通テスト学習相談室(2024年6月号)
2025年1月実施の共通テストから「情報」が追加されることが決まっており、皆さんもどのように学習を進めていったらよいのか、気になっていますよね。今回は「情報」についての相談(おすすめ問題集・参考書、学... (続きを読む)
詳細を読む
「Z会共通テスト対策サイト」の人気記事
指導担当者による共通テスト対策アドバイス

【2025年からの共通テスト】地理歴史・公民は2科目1セットで出題
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は2025年1月から大きくかわります。地理歴史・公民での変更内容と必要な対策について、Z会担当者が解説します。(「Z会の通信教育」大学受験地歴・公民担当・荒川裕子... (続きを読む)
詳細を読む