共通テスト【数学】指導担当者による対策アドバイス

投稿日時:2024年9月13日
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の「数学」についてZ会の指導担当者が解説。はじめて実施されてから2024年度まで4回行われてきました。多くの受験生が臨む「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B」は、2022年度が例外的にかなりの難易度の高さでしたが、この年度を除くと平均点は数学Ⅰ・Aが約55点、数学Ⅱ・Bが約60点ほどで落ち着いています。
しかし、平均点が安定していても、決してやさしい出題ではありません。その理由は、共通テストには「一貫した出題方針」があり、年度にかかわらずその方針を踏襲した問題が出題されるからと分析しています。出題方針はいくつかありますが、そのうちの一つを具体的に見ていきましょう。(「Z会の通信教育」数学担当・飯田健一)
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数学的手法で課題の発見・分析・問題解決をする力が必要!
共通テストは、数学的手法で課題の発見・分析・問題解決をする力を評価する出題をめざしています。2024年度もそれをうかがわせる出題がありました。一例に挙げられるのが「数学Ⅰ・A」の第1問(2)です。
地面に垂直に立っている電柱の高さを、影の長さと太陽高度から求めていく問題。2024年度の大学入学共通テスト「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・A」から。令和6年度 本試験の問題はこちら(大学入試センターページ)
この設問は、地面に垂直に立っている電柱の高さを、影の長さと太陽高度から求めていくというものでした。地面は平坦とはかぎらず、坂があったり、計測した時刻が異なるために太陽高度が異なったりします。このように、日常の身近な事象の問題を「数学を用いて」解決していきます。こうした一連の流れが共通テストの特徴の一つと位置づけられます。
共通テストの数学では「知識の運用力」が今後も重視される。
先のような出題に対応するには、数学の知識(この出題の場合は三角比)が備わっていなくてはなりません。もちろん、普段から基本問題の演習を繰り返すことは欠かせませんが、それだけでは十分とはいえません。共通テストでは、さらに一段上の「知識の運用力」が問われており、このような力は少なくともパターン練習や知識の詰め込みだけでは身につかないからです。
知識の習得を大前提に、その本質を理解し、さまざまな場面で用いられる力を日々の学習で自分のものとし、洗練していかなければなりません。おそらく、多くのみなさんにとって現在の勉強のスタイルを見直すことが求められるのではないでしょうか。
2025年度の共通テストは、新しい学習指導要領に沿って見直され、数学でも「数学Ⅱ・B」が「数学Ⅱ・B・C」に代わるなど、大幅な変更があります。出題範囲の変更などに対し、特に受験生のみなさんは不安に思うかもしれませんが、出題方針そのものが大きく変わる可能性はそれほど高くはないのではないかと思われます。つまり、これまでの共通テストの問題に挑戦し、出題方針に触れることは意義のある取り組みと考えてよさそうです。
中学生・高校生への共通テスト対策アドバイス
中学生:「なぜ」考える習慣を
中学生のみなさんは、問題を解くときに公式やルールにあてはめて正解を導くことだけに満足するのではなく、「この公式やルールを使えるのはなぜだろう?」と考えることを大事にしてほしいと思います。学習する内容を体系的に理解し、深める姿勢を培いましょう。
高校生:条件をかえて力試し
高校生のみなさんは、数学と向き合うときに「道具」としての知識を欠かすことはできません。使い方を身につけるだけでなく、その解法を用いる理由をあわせて考えると理解が深まります。思考力や判断力を高めるため、解いたことがある問題の条件をかえるとどうなるのかも考えてみましょう。もとの問題との類似点や相違点がイメージできるようになれば、それは力がついている証拠にほかなりません。
【朝日中高生新聞9月8日号から】
本サイトでは、最新年度共通テストのZ会入試分析もみることができます。ぜひ共通テスト対策としてお役立てください。
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