国公立大学の推薦入試定員は何人増えている? 〜数字でみる入学者選抜〜

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Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
Z会ソリューションズでは、中学・高等学校の先生向けに教育情報を配信しています。大学入試情報、文部科学省の審議会情報をはじめ、先生方からお伺いした教育についてもご紹介します。

文部科学省は令和3年9月29日に令和4年度の国公立大学における入試情報まとめを公表しました。俗に「推薦入試」といわれる方式情報をまとめたもので、毎年この時期に公表されています。この情報は7月末時点に国公立大学が公表しているものがもとになっています。

令和4年度国公立大学入学者選抜の概要(PDF)

近年、大学入試改革の影響で、一般入試(学力試験)以外の入試方式の定員数が増加傾向にあります。私立大学では定員の約半数が一般入試以外の入試方式での選抜となっており、この流れは国公立大学にも波及していて、その動向にも注目が集まっています。
令和3年度入試では「大学入学共通テスト」に注目が集まりましたが、AO入試・推薦入試についても名称が下記のように変更され、募集定員にも大きな変化があらわれています。

・アドミッション・オフィス入試(AO入試) → 総合型選抜

・推薦入試                  → 学校推薦型選抜

本記事では、国公立大学の入学者選抜動向が一目見てわかるように、文部科学省が公表している過去の「国公立大学入学者選抜の概要」をもとに資料を作り直してみました。

 

募集人員は大幅に増加

まずは、募集人員の変化についてみていきます。
下表は、全国の国公立大学数と学部数です。公立大学数と学部数が少し増加していますが、国立大学数にほとんど変化はありません。

 

次に募集人員の変化についてみていきます。
転換期はやはり昨年度(令和3年度)入試からでした。名称が変更になった初年度で総合型選抜・学校推薦型選抜の定員が国立大学だけで1,000人ほど増加しています。一方で、一般入試の後期日程の募集人員が1,000人ほど減少していることがわかります。

国立大学の募集人員における平成29年度の総合型選抜・学校推薦型選抜(旧AO・推薦入試)と後期日程を比較すると、当時は募集人員にほとんど差がありませんでした。近年、総合型選抜・学校推薦型選抜(旧AO・推薦入試)の募集人員は徐々に増加傾向にありますが、その一方で、後期日程の募集人員は減少傾向にあることが見てとれます。

 

国立大学と公立大学の比較

最後に、総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(旧推薦入試)を分けてその動向を追ってみたいと思います。

総合型選抜ですが、平成29年度と令和4年度を比較すると国立・公立ともに総合型選抜の実施大学・学部が増加傾向にあることがうかがえます。数字が大きく変化しているところはやはり昨年度入試(令和3年度入試)ではありますが、年々増加傾向にあったと言えるでしょう。

一方、学校推薦型選抜(旧推薦入試)は、平成29年度と令和4年度の公立大学は多少増加傾向にあるものの国立大学ではほとんど変化がありません。国立大学は82大学中の76~77大学という高い割合で学校推薦型選抜を実施しているとはいえ、実施学部の割合は70%ほどにとどまっているという状況でした。

 

【執筆担当者より】総合的な探究の時間は、総合型選抜・学校推薦型選抜で使えるか?

ここからは、執筆担当者による感想をご紹介します。

様々な学校にお伺いしていると一般入試の対策で手一杯というお話もよく伺う一方で、進学校といわれる高校でも一般入試の学力試験による合格を目指しながらも、総合型選抜・学校推薦型選抜でも合格者を出せるような取り組みを意識されている学校が出てきているように感じます。もちろん学校の教育理念が背景にはありますが、様々な教育活動が大学入試につながることを意識して時代に合わせてカリキュラムを変更しているようです。特に論文指導などのアウトプット活動に力を入れていらっしゃる傾向があるように思います。

国立大学の総合型選抜・学校推薦型選抜に合格する生徒といえば、自ら進んで校外学習などに取り組んでいる生徒か、SSHやSGH認定校に通う生徒というイメージもあります。探究活動を行う機会や環境に恵まれているという点もあり「何となくSGHやSSH認定校に通う生徒の方が総合型選抜には有利な状況になっている」と個人的には感じています。細かくみていけば、SSHやSGH認定校でなくても学校独自の取り組みをしているケースや、そのような取り組みに積極的な先生がいるといったケースもありますし、生徒自らが動くケースもあるでしょう。

ただ、執筆担当者としては、教育の公平性という観点から、どの学校に通っていても、授業の中で深い探究活動を行う機会を与えられ、総合型選抜にも対応できるような体験を積むことができるのが望ましいと考えています。その一つのきっかけとして期待しているのが、令和4(2022)年度から施行される新課程で設置される「総合的な探究の時間」です。

様々な事情があり、全ての学校が入試に絡めたような取り組みができるという訳ではないでしょうが、これをきっかけとして改革を行う学校も出てくるのではないかと考えています。

なお、弊社では、2021年7月に「総合的な探究の時間」に関するアンケートを実施いたしました。その結果は以下で公開しておりますので、参考にしていただけますと幸いです。

https://www.zkai.co.jp/solutions/teacher/sogotankyu_survey/

また、小論文対策講座もご用意しております。こちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
https://www.zkai.co.jp/solutions/teacher/writing/essay/

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