【学校向け】Z会の実力テストから見える「模試になると点数が取れなくなる」生徒の課題

Z会ソリューションズ 先生向け教育ジャーナル
Z会ソリューションズでは、中学・高等学校の先生向けに教育情報を配信しています。大学入試情報、文部科学省の審議会情報をはじめ、先生方からお伺いした教育についてもご紹介します。
Z会では、「定期テストでは点数が取れるのに、模試になると点数が取れなくなる・・・」と悩む生徒を多く見てきました。その要因は、「Z会の 添削+トレーニング」数学の記事でも述べた次の3点と考えています。
- ①【知識・技能】 「典型的な処理」や「定石的な考え方」が身についていない。
- ②【思考力】1つの問題に対しある程度まとまった時間をかけて試行錯誤していない。
- ③【表現力】普段から他人に見せる答案を書く練習をしていない。
2025年1月に実施したZ会の実力テスト「高校アドバンスト」の高1数学の問題(2問)を題材に、生徒が抱える課題を具体的に見ていきましょう。
本問は、2次関数の最大値についての問題です。
①【知識・技能】
絶対値記号の処理を苦手とする生徒は多いです。高校1年生のうちに、確実に処理ができるようになってほしいことから扱いました。(1)の出来はまずまずでしたが、以下の誤答が見られました。
- 「x2-4x+3=1」しか考えないもの
- 「x≧0のとき,x2-4x+3=1」「x<0のとき,-(x2-4x+3)=1」と誤った場合分けをしてしまうもの
②【思考力】③【表現力】
数学の問題は、グラフや図を用いて視覚的に捉えると考えやすくなります。また、採点者に考え方や根拠が伝わりやすくなります。ただ、答案を見てみると、グラフや図をかいていないものが少なくありませんでした。(2)において、f(x)の最大値が1となるのは次の図の3つの場合がありますが、グラフをかいていない答案に場合分けのモレが目立ちました。
また、(3)は、次の図のようにf(x)=f(x+1)をみたすxの値t1,t2に注目することがポイントです。グラフを用いて試行錯誤できるかで差がつきました。復習の際に「グラフを用いて試行錯誤すること」の大切さを実感し、今後の学習にぜひ生かしてほしいと思います。
★受験校の先生方のお声★
- グラフが単純なおかげで、何を考えさせたいのかが明確に伝わる非常によい問題だと感じました。
- この時期にこのレベルの模試ならば、それなりの実力差が測れるように思う。
- 数学Ⅲを履修していないと複雑なグラフの最大最小問題に触れる機会があまりないので、高校1年生には良い刺激になる問題。
本問は、さいころの目の数による点の移動を題材とした確率の問題です。Z会の確率の問題は、公式にあてはめるだけ、数え上げるだけで解けるものは少なく、事象の捉え方がカギになるような応用問題を出題しています。
①【知識・技能】③【表現力】
(1)は、2回目の試行の確率も3回目の試行の確率も、題意をみたす目の数の組を調べて求めた答案が想定通り多く、字を丁寧に書いていない答案に数えモレが目立ちました。読みやすい答案を作成することは、ミスを防ぐためだけでなく、採点者に自分の考えを正確に伝えるためにも重要ですが、答案のまとめ方が不得手な生徒が年々増えている印象です。
②【思考力】
(2)において題意をみたす目の数の組を調べるのは大変なため、この方法で正答にたどりつく答案はわずかでした。(1)の結果から、2回目の試行までの動点P、Qの移動の仕方は関係なく、3回目の試行だけに注目して確率を考えればよいことを見抜けるかで出来が分かれました。
ただ解き進めるのではなく、これまでの解決過程を振り返って、得られた結果を意味づけたり、活用したりすることもできるようになってほしいことから、(1)の形で出題しました。
★受験校の先生方のお声★
- ある程度書き出して挫折した生徒がいるのだろうと感じました。今回の問題設定を(1)で伝えようとする小問はすごくよかったです。
- 「自力で分類して」数えることを苦手とする高校生が割と多いように思うので、意外と得点は伸びないかもしれないが、このような問題は大切だと思う。
- 事象の捉え方がポイントになる問題ということは理解できます。
今回紹介した生徒の課題は、一朝一夕では克服できません。学校の先生方は、普段の授業の中でいろいろ工夫されていると思いますが、③【表現力】を育成する添削指導の時間まで確保するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
「Z会の 添削+トレーニング」数学では、Z会の実力テスト「高校アドバンスト」の問題と同様に、①【知識・技能】②【思考力]③【表現力】を磨くことができる添削問題を出題して、答案の書き方の指導も行っています。生徒の数学力向上への一助としてご活用いただけますと幸いです。
最新の記事
- 生徒の「数学的に表現する力」を伸ばす添削指導 ~添削指導の時間を確保できずにお困りの先生方へ~
- 【学校向け】Z会の実力テストから見える「模試になると点数が取れなくなる」生徒の課題
- 近年の大学入試で求められる国語の「知識」 ─新刊『入試 漢字・語彙2700』から『現代文キーワード読解』へ─
- 《小さな引き出し》から積み重ねる小論文対策
- 新課程の大学入試「英作文」はこう指導する! ~『アップリフト英作文』シリーズの学習指導~
- 『NEW TREASURE Third Edition』シリーズ採用で大学入試に向けた英語力の完成をめざす
- 「知識」を「実践」レベルへ~『NEW TREASURE Online Speaking』~
- Z会のリスニング新シリーズ ~リスニング上達への5つの観点と学習・指導の可視化~
- 受験生がリアルタイムに切磋琢磨する書籍とデジタルサービスの融合 ~『共通テスト直前トライアル』の活用方法~
- 共通テスト「情報Ⅰ」で出題される内容とは?~試作問題の分析を踏まえて~
Contact
小学校~高校の先生・職員の方
【東京営業所】
月〜金 午前9:00〜午後5:30
(年末年始・土日祝日を除く)
(年末年始・土日祝日を除く)
Fax:03-5280-0071
【大阪営業所】
月〜金 午前9:00〜午後5:30
(年末年始・土日祝日を除く)
(年末年始・土日祝日を除く)
Fax:06-6195-8560
【書籍に関するお問い合わせ】
月〜金 午前9:00〜午後5:30
(年末年始・土日祝日を除く)
(年末年始・土日祝日を除く)
Fax:055-989-1436
【Webからのお問い合わせ】
大学の先生・職員の方/法人の方
月〜金 午前10:00〜午後6:00
(年末年始・土日祝日を除く)
(年末年始・土日祝日を除く)
Fax:03-5280-0071
【大学の先生・職員の方】
【法人の方】
【取材のご依頼】